◆本編中のわずかな隙間でも魅せる『ぼっち・ざ・ろっく』
エンディングでの起用といえば忘れてはいけないのが『ぼっち・ざ・ろっく』。主人公の“ぼっちちゃん”こと後藤ひとりが参加するバンド“結束バンド”の楽曲に合わせて、スズキハルカさんによる可愛くディフォルメされたメンバーのアニメーションが展開されます。
エンディングで大々的にゲスト作家が起用されている一方で、『ぼっち・ざ・ろっく』では本編中にもさり気なく思わぬアニメーション描写が登場しています。
例えば第7話では、回転させることで静物が動いているように見えるゾートロープが登場しています。こちらはアニメーション制作を務めるCloverWorksでの制作だったようです。なかなか本編では起用されない手法なだけに驚きの演出となりました。
第6話では、ライブを目前にチケットノルマに悩むひとりの描写が描かれるのですが、その絶望する心情がドットアニメーションで再現されます。このアニメーションパートを担当するのは、数々のドットアニメーションで活躍している最低やさいコーナーさん。数秒ながら目を引く演出となっていました。
──どれも作風が全く異なる三者三様の作品ながら、ゲスト的に個人で活動するアニメーション作家が起用されている点は共通しています。今年の秋は、アニメーション制作“会社”としてだけでなく、アニメーション“作家”単位でもTVアニメーションを楽しみやすい土壌ができているといえるでしょう。
〈文/ネジムラ89 編集/乙矢礼司〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『MAPPA CHANNEL』より
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