現在放送中の『ぼくたちは勉強ができない』に登場するヒロイン達は、話数を重ねるごとに、主人公で同級生でもある高校3年生の唯我成幸に恋愛感情を募らせていますね。そんな恋心を恥じらうヒロイン達はとても可愛らしいく、ラブコメディの大きな見所の一つでもあります。

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 さて、ヒロイン達の恋愛パラメーターは日に日に上昇してはいますが、一人一人、やはり個人差はあるもの。そこで『ぼくたちは勉強ができない』に登場するヒロイン達が、主人公の唯我成幸に対しどのくらいの恋心を抱いているのか、各放送話で個人的にですが、印象的なシーンを振り返りながら、彼女達の恋心を考察してみたいと思います。そこで今回取り上げるヒロインは、理系の天才「機械仕掛けの親指姫」こと、緒方理珠についてです。

私達を見捨てて、たらい回しにするに決まっています

緒方理珠 第1話
画像引用元:https://boku-ben.com/story/01.html より引用掲載 ©筒井大志/集英社・ぼくたちは勉強ができない製作委員会

 第1話での理珠のセリフより。

 教育係として任命された唯我成幸に、理珠が言い放った言葉です。唯我に不信感と警戒心しか持っていないですね。それもそのハズ。理系の天才である彼女は、文系の志望大学合格のために、苦手科目の国語を克服するため何人もの教育係と接してきました。しかし思うように成績が上がらない理珠を、歴代の教育係は見限り、去っていくばかり。そんななかで新しく教育係に任命された唯我に良い印象は持てないですよね。恋愛感情なんてものは全くなく、敵と見なしているようでもあります。

あっ、ありがとう

 ここも印象的な第1話のセリフ。上記であげた辛辣な言葉から、ガラリと変わったお礼の一言。理珠が唯我から、苦手科目のアドバイスノートを手渡され、

「できない悔しさは良く分かるつうか、いくら天才だって、ほんとにやりたいことが出来ないんじゃ、決して幸せとは言えないもんな。だからさ、おまえらのこと幸せにしてみせるから、俺を信じて付き合ってくれ!」

 と告白された場面です。

 理珠は最初、嫌悪感を示しますが、「志望分野変えずに頑張る」という意味である、と唯我にあらためて説明され納得します。そして彼から目を逸らし、照れながら「あ、ありがとう」とお礼の一言を告げる。ここは理珠の気持ちが良い方向へ揺れ動いた場面ですよね。教育係の唯我に対し、信頼の気持ちが芽生える。ですが、恋愛感情とはまだまだ無縁。その証拠が、彼と図書室で一緒に勉強しているときです。理珠が唯我に、解らない問題を聞くため近寄った時、唯我にふくよかな胸が当たってしまいます。唯我は大きく動揺しますが、理珠は全然動じず。ここの段階では、良き教育係と生徒、といった関係です。

い、いえ……。というか、子供扱いしないでください!

緒方理珠 第3話
画像引用元:https://boku-ben.com/story/03.html より引用掲載 ©筒井大志/集英社・ぼくたちは勉強ができない製作委員会

 第3話では、理珠の気持ちに好意が芽生えたと実感できるシーンがあるところです。理珠が中間テストで、苦手科目で平均点をとるために、唯我から色々と勉強を教えてもらいます。平均点を取れなければ、教育係を辞めさせられるかもしれないと、裏事情を知っているだけに一生懸命です。ですが、もし平均点以下だったら……。そんな不安な気持ちをつい彼に漏らしてしまう。でもそこで唯我が言ってくれたのは

「中間ダメだったら、決まってるだろ。そんときゃ復習して次に活かす。他に何かあるか」

 との温かい言葉。そして気付けば頭をそっと撫でられている。ここで理珠は思わず顔を赤くし照れてしまいます。この時が、理珠の気持ちに好意が芽生えた瞬間なのではないかと思います。理珠が抱いている不安な気持ちを、優しく受け止め、包み込んでくれる唯我に、理珠はキュンとしてしまった。さらに、

「い、いえ……。というか、子供扱いしないでください……!」

 と慌てて手を払いのけるところなんかは、観ていてとても甘酸っぱい。やはり理珠と唯我の関係に、なにやらラブコメの波動が漂いだしてきたと、思わせてくれる場面だと言えるのではないでしょうか。

素数列

 第4話、関城紗和子(緒方理珠が大好きユリ気味な子)が、唯我と理珠の、教育係と生徒との関係性を確かめる、恋仲ではないか疑うシーンでは、理珠が唯我を異性として意識している事が伺えます。それが素数列。唯我と理珠が勉強しているなか、紗和子は唯我にスキンシップや好意的な言葉などを駆使しちょっかいを出します、理珠と唯我が恋人同士ではないか確かめるために。が、理珠は黙々と勉強に励み、全然慌てる様子を見せない。さらに唯我の口から、そんな仲じゃないよ、と言われ、紗和子は自分の勘違いか~と、結論づけようとしますが、ふと、理珠が熱心に書いていた勉強ノートをめくると、びっしり書かれた素数列のページを見つけてしまいます。ここで理珠は実はかなり動揺していたことが判明します。自分以外の女子と親しくしていることに動揺していたのは、やはり唯我を異性として好きになりはじめたからだと言えるのではないかと思われます。

96パーセント以上の確率で誰かが助けに……。なっ!? なぜここで唯我さんの顔が!? 4パーセント未満の事象を優先してシュミレートするなど合理的ではありません!!

 第5話より、23日の自然豊かな山での学習強化合宿での出来事です。理珠が山で迷子になっていた時、ふと唯我の顔がよぎってしまい、その理由が解らず慌てて否定する場面は、もう恋している乙女だと言えるのではないでしょうか。そもそも山へ迷子になってしまったきっかけが、唯我に対するやきもきした気持ちのせいなんですよね。友人である古橋文乃の、

「さっきから唯我くんのことすごい見てるけど」

 をきっかけに、授業中に隣にいる唯我を大きく意識してしまいます。

 小さな消しゴムを必死に使っている唯我に自分の消しゴムを渡したくても渡せない→文乃が難なく唯我に渡す→理珠ぷくうっとむくれる。

 唯我くんが消しゴムを落とす→武元うるかさんが拾って渡す時、手が互いに触れ慌てる→理珠さんさらにぷくうっとむくれる。

 唯我を好きだからこそついイライラしてしまう。でもとうの理珠は

「これはきっとカルシウム不足です! ではなでなければこの原因不明なイライラに説明がつきません!」

 と自分のなかの未知なる感情を必死に否定します。なので、理珠は唯我のことを恋愛対象として好きであると言えるが、とうの本人はまだそれに気付いていない、いえ、解らない答えにモヤモヤしているといったところではないでしょうか。

 そんななかで唯我が何ごともなかったかのように話しかけてくるので、理珠はさらにイライラしてしまい怒って外へ出てしまう。

 でも唯我に対し身勝手な怒り方をした自分に反省し、仲直りするために彼が欲しがっていた山うどを採集するところは、理珠の素直なところがでていますよね。それに山うど採りに夢中になって、迷子になった理珠を助けに来た唯我が、理珠の採った大量の山うどを観て「すっげえ量じゃねえか! お前も好きなの!」の「好きなの」の部分に過剰反応を示すところもとても素直でいいですよね。

 そして2人は、無事に宿舎へ帰っていく……、わけもなく、少し駆け上がりにいた理珠は足を踏み外し、唯我が慌てて受け止めようとしたところ、2人の唇がふれてしまうというハプニングも起こります。

 いわゆるキスというものですが、これに関しては

「ただの接触事故、ですからね」

「俗にいうあれとは、概念が違います!」

 と照れながらもしっかり否定します。この部分はただ偶然に唇が触れあった物理現象として互いに片付けているので、恋愛へと大きく発展するものではなかったのかもしれません。ですが、このことをきっかけになにやらあやしい雲行きが第6話から始まるので、とても気になるところです。

 

――さてさて、「機械仕掛けの親指姫」こと、緒方理珠は、唯我成幸のことを、ただの教育係としてではなく、異性として好きであると言えますね。ですが、本人はその事が解らない、未知なる感情が自分の中に生まれている、という、不確かな解が今の理珠の心に存在しているという状態ではないでしょうか。そしてこれは、彼女にとっての初恋を意味しているようにも思えます。はたしてこの恋愛感情に、いつのタイミングで理珠は気付くのか、認めて受け止めるのか、その事で、唯我にどのようなアプローチや変化が起きていくのか、続きが気になりますね。理珠が恋という数式からどのような解を導くのかこれからも楽しみながら観ていきたいところです。

(Edit&Text/おみくじ)

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