君はカラミティ・ジェーンを知っているか!?
その名前を聞いて、ピンと来る人や名前だけは聞いたことある……なんてこともあるでしょう。
カラミティ・ジェーンとは、1800年代後半にアメリカ西部に実在した人物。大半が男性を占めるガンマンの世界で、珍しい女性の銃使いとして活躍し、その人生を自伝に残したことから後世に名が残ることとなり、これまでもなんども実写映画などで彼女の人生が描かれてきました。しかしそれも20世紀の話。
21世紀になり、カラミティ・ジェーンは二次元の世界で、美少女ガンマンとして活躍することとなるのですが、改めて近年カラミティ・ジェーンがどう描かれているのか。その代表的な例を追っていきましょう。
◆『モンスト』のカラミティ
<『モンスターストライク』のカラミティ・ジェーン>
<画像引用元:https://www.monster-strike.com/news/20200220_3.html より引用掲載 ©XFLAG>
2013年にサービスを開始し、“ひっぱりハンティングRPG”として今もなお日本のゲームアプリのセールス上位作品として君臨する『モンスターストライク』。オリジナルモンスターに加え、童話や神話、さらには漫画やアニメのコラボキャラクターと、幅広いジャンルのキャラクターが登場するゲームなのですが、そんな中に“歴史上の偉人”系のキャラクターが存在します。
坂本龍馬や、ダヴィンチ、クレオパトラなど国も時代も様々なのですが、そんな登場キャラクターの中にカラミティ・ジェーンも名を連ねています。
光属性で、マントに銃を携えた美少女キャラクターなのですが、“進化”というパワーアップをすると『平原の女王』という二つ名が添えられた銃を乱射するビジュアルに代わり、“神化”と呼ばれるパワーアップをすると『嵐を呼ぶ女』という二つ名が添えられたウェイトレス姿となります。“平原の女王”は異名として記されていたり、ガンマンの印象が強いカラミティですが、実際にウェイトレス時代があったとされるので、実在の人物に沿っている設定だったりします。
そして2020年には獣神化と呼ばれるさらなるパワーアップを経て『常識を破りし爆裂首領』という二つ名が添えられるキャラクターへと成長。彼女の破天荒ぶりがより感じられるビジュアルとなります。
◆『FGO』のカラミティ
歴史上の偉人が多数登場する作品といえば忘れてはいけないのがFGOこと『Fate/Grand Order』。『Fate』シリーズのスマホ向けゲームとして2015年にリリースされた本作も、日本のゲームアプリのセールス上位作品としておなじみのタイトルとなります。
専門用語を抜きに簡単に本作の内容を紹介すると、今作ではプレイヤーが、古今東西の偉人や英雄、神話のキャラクターなどを召喚し、世界を救うという内容となっているのですが、御多分に洩れず本作にも、カラミティ・ジェーンが登場しています。
モンスターストライクでも美少女ガンマンとして描かれていたカラミティですが、今作でも金髪で銃を駆使するキャラクターとして描かれながらも、設定としては“スペースチアガール”。近代的な形の銃と、やたら露出の多い姿で戦うキャラクターとして描かれています。
女性ガンマンであることや、アメリカ出身であることなどをデザインに落とし込んだ形となっています。
◆アニメーション映画のカラミティ
ある意味、自由な描かれ方をされまくっているカラミティ・ジェーン。
やたら軟派な方向に走らされ過ぎているんじゃないかと思った方にも注目してほしい、硬派な“二次元化”が実はこの秋に登場します。カラミティ・ジェーンを主人公としたアニメーション映画『カラミティ』の公開です。
『ロング・ウェイ・ノース地球のてっぺん』で知られるレミ・シャイエ監督の最新作となる本作では、カラミティ・ジェーンの子供時代を描くという試みの作品。まだ12歳でガンマンの姿も想像できないような少女のカラミティが、女性であるがゆえの制約や理不尽な事件に遭遇し、孤独な状態に陥りながらも、新たな出会いを経て前に進んでいく希望が描かれた映画となっています。
ジェンダーレスが叫ばれる昨今だからこそ響く考えさせられるテーマである一方で、単純に大地や空、そして自然が太陽の光を受けて様々な色合いを見せていく美術の美しさを楽しむこともできる作品です。
20世紀、そして21世紀と描かれ直されてきたこれまでのカラミティの姿ともまた一線を画す、新たなカラミティ像が今まさに生まれようとしていると言ってもいいのかもしれません。
――こうして新たなスポットが当たり始めているカラミティ・ジェーン。後世に残した影響力の差か、意外と実在の人物の知名度こそ知られてはいないとも言えますが、ここで挙げたようなキャラクター像の獲得から、“西部開拓時代と言えばこの人”として以前よりも多くの人が想起する存在となっていくかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
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© 2020 Maybe Movies ,Nørlum ,2 Minutes ,France 3 Cinéma
2020年|フランス・デンマーク|フランス語|日本語字幕|日本語吹替え|DCP|カラーCS|82分