◆プーチン大統領も子供向けアニメの制作への支援を発表!

 今回の『チェブラーシカ』のヒットもあってか、ロシアにおけるアニメーション映画制作への税負担を軽減する指示が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領府から発表されました。

 “ロシアにおける創造的な分野での経済発展”を見据えた指示の中で、「子供と青少年向けのアニメーション映画の制作と配給に関して、全額国家資金を提供する」とロシア連邦の法律の修正案として、今年の9月までに行われることが明らかになりました*1。

 ロシアではウクライナ侵攻以来、多くの国が文化的にも経済的にもロシアに対して制裁処置を行なったことにより、以前のように気軽に制作工程や制作物を国内外でやり取りしにくくなってしまいました。そんな状況の中で今回の発表は、ロシアのアニメーションのクリエイターにとっては負担を軽減してくれる対応となり、制作状況の好転が期待できそうです。

◆日本展開は難しい?日本での展開は実は既にゼロ?

 これだけ話題になった映画なら、日本での公開も期待したいところですが、実は『チェブラーシカ』の日本展開は近年、ほとんどゼロの状態になっています。

 かつては日本でも『チェブラーシカ』のオフィシャルサイトや公式のSNS展開が行われていたのですが、それらは2021年12月31日をもって実はいっせいに終わっており、今は閲覧もできない状態です。多岐にわたって展開されていたチェブラーシカの日本向けグッズも新作が登場していません。

 かつてはチェブラーシカのライセンスについては、テレビ東京コミュニケーションズとロシアでチェブラーシカの権利を有していたソユーズムリトフィルム社間で契約していたようですが、その後に権利や事業がチェブラーシカ・プロジェクトLLPに引き継がれました。

 しかしこの権利関係に対して、ソユーズムリトフィルム社は公正な報酬が貰えていないことや、契約に基づくレポートが提供されていないと、日本に対しては新たなパートナーシップを結ぶことを希望していることを主張していました。

 すっかりチェブラーシカの日本展開が音沙汰なくなってしまったのは、これらの権利問題が整理されていない影響なのでしょうが、かつてはあれだけ広く展開されていたチェブラーシカが日本ではあまり見かけない存在となってしまったのは寂しくもあります。

 ロシアでは実写版だけでなく3DCGの新作チェブラーシカなども作られるなど、チェブラーシカもロシアでは今も元気に過ごしているようです。

 国際的な対立や権利関係で距離が出来てしまったチェブラーシカですが、いつの日か日本でも再び元気な姿を見せてくれる日が来るのでしょうか。その頃にはロシアとの関係も今とは違うものになっているのかもしれません。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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