ゴールデンウィークの連休を使って4日間ほどではありますが、久しぶりに中国へ足を運んでおりました。あいかわらずTwitterを閲覧するのにも苦労しまして、結局初日以降は日本へのアクセス断絶状態の日々でした。
今回はほぼ観光に徹したような形での訪問だったので、アニメにも映画にもあまり接触することのない訪中でしたが、それでも街中ではいろんなアニメキャラクターに出会うことが多かったです。
中国キッズたちを今魅了しているアニメキャラクターは『ペッパピッグ』!
観光中に出会ったアニメキャラクターの中でも数年前にはそれほど見かけなかったのに、今回の訪問でやたら見かけたキャラクターが『ペッパピッグ』です。
本作はイギリス生まれの子供向けアニメーション。上記のように日本版があるようにを世界展開もしている作品でして、中国もその展開先の一つ。今や中国の子供たちの間ではかなり人気が高い作品となっています。
見かける現地の子供たちの身に着けているものの装飾にも、持っているおもちゃにも、いたるところにペッパピッグが着いていてびっくりしました。ペッパピッグの浸透率、かなりハンパないことになっています。
実はかつてはこのポジションを『喜羊羊』という中国のアニメキャラクターが担っていたのですが『熊出没』といった別作品の登場などで、少しずつ人気が落ちてきまして、ここにきて、完全にそのポジションを食う作品が出てきたなと感じました。
中国のパロディコメディアニメーション『十万个冷笑话』の魅力
そんな今や落ち目のキャラクターとなってしまった『喜羊羊』というキャラクターを唯一見かけたのが、中国行きの飛行機の中。機内で観られる映画のラインナップに入っていた『劇場版十万个冷笑话2』の中にゲスト出演していたところです。
中国国内作品に限らず、日本やアメリカ、ネットミームなどもごった煮でパロディ化させた中高生以上の世代向けのコメディアニメーション作品が『十万个冷笑话』。
2017年に公開された、その劇場版の第2弾となるのが本作なのですが、なんでもありな作品らしい思わぬゲストキャラクターの登場に驚かされました(日本人にはニュアンスが伝わりづらいのですけど、『銀魂』とかに『アンパンマン』とか『しまじろう』がゲスト出演するような感覚でしょうか)。
その他、『マイティ・ソー』だったり『名探偵コナン』だったりとあいかわらずのなんでもありなパロディの連続でこちらを楽しませてくれる『十万个冷笑话』なのですが、この存在はもっと日本でも広く伝わっていいのに……なんてことも思いました。
意外と隣国であっても一つ海を越えちゃうと、流行り文化もなかなか伝わらないものなのですよね。
『名探偵コナン』VS『アベンジャーズ』
『マイティ・ソー』と『名探偵コナン』といえば、私が訪中している間に日本では、興行通信社が発表している週末の映画動員数ランキングで初週の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を公開3週目の『劇場版名探偵コナンゼロの執行人』を超えて3週連続首位を獲得するというニュースが話題になりました。
劇場版コナンの勢いがすごいことは以前【『劇場版名探偵コナン』シリーズの右肩上がりの興行収入!】立役者は東宝の林原祥一さん説でも紹介した通りで、年間一位レベルの勢いがあるブランドになっている昨今です。
マーベル・シネマティック・ユニバースの一つの節目でもある『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』をしても首位をコナンから奪えないというのは、コナンの壁というのはそれだけ厚いのだということと、今劇場版コナンが目指している高みというのはすごいところの数字なのだということを改めて思います。
ましてや、日本を超えて『劇場版十万个冷笑话2』内ではアメコミ作品と並んで『名探偵コナン』がパロディとして起用されるわけでして、コンテンツとして海外進出に成功している例として日本が誇れる一つの例なのは間違いないでしょう。
とはいえ、そんな『名探偵コナン』も中国での知名度こそ高いものの劇場版の進出具合ではマーベル・シネマティック・ユニバースには及ばないのが実際のところ。
『名探偵コナン業火の向日葵』、『名探偵コナン純黒の悪夢』と2年連続中国上映を果たしたコナンブランドですが、そこまで目覚ましい成績を残せなかったためか、2017年は『名探偵コナンから紅の恋歌』は上映されず2018年の初夏を迎えた今でも本作の上映の予定は発表されていません。
一方の『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』は2018年5月11日より中国でも大々的に上映が実施されるということで、街中は各所に映画の告知のポスターや映像、タイアップ商品が配置されているような状態でした。
日本でこそコナンがアベンジャーズを下したわけですが、世界スケールで観ればまだ全然コナンにとっても超えなきゃいけない壁はたくさんありますよ……という話で、今回のコナンのV3で苦虫を噛み潰すような思いのマーベルヒーローファンの皆様も、劇場版コナンへの拳を下げていただければと思います。
――そんな感じで、2018年のゴールデンウィークシーズンは中国と日本のアニメや映画コンテンツについていろいろ考えさせられる日々を過ごしました。
このリポートをゴールデンウィークシーズンの締め切り遅れの反省文の気持ちも含めてアニギャラ☆Zの読者の皆様と編集長に捧げます。
(Edit&Text,Photograph/ネジムラ89)