アニメ・漫画にはテコ入れによる路線変更によって、さらに人気を得た作品がいくつもあります。中には下ネタ系からバトル漫画にシフトした作品も……。また、長期連載になると初期設定が忘れられることもあり、SNSなどを中心にそれがネタにされたりもしています。
◆テコ入れでさらに人気を得たマンガ
少年漫画では、ストーリーにバトル要素を取り入れて人気が出たら、それ以降のストーリーをバトル漫画として進めていくことがしばしばあります。
次の作品は、そのような路線変更してさらに人気が高まった作品といえるでしょう。
●シリアス展開になってもギャグは不滅!──『ジャングルの王者ターちゃん♡』
もともとは下ネタ満載のギャグ漫画でしたが、格闘漫画に路線変更してさらに人気が出ました。
当初は1話7ページという短めのギャグ漫画でしたが、のちに15ページの長編漫画になります。
路線変更してからは『新ジャングルの王者ターちゃん♡』とタイトルも改め、一転してシリアスな戦闘が中心になりました。
そしてストーリー中では、環境破壊について取り扱うなどメッセージ性の強い作品へと変わります。
しかし路線変更してからもシリアスなバトルの間にギャグシーンが挟まることもあり、根っこの部分は変わっていないといえるでしょう。
結果として1993年から1年間アニメが放送されるなど、路線変更によって一層人気の作品へと進化しました。
シリアスなストーリーに下ネタ多めのギャグが入ってくるという作風は、のちの徳弘先生の作品である『狂四郎2030』や『昭和不老不死伝説 バンパイア』などに受け継がれていきます。
●初期設定がウルトラマンすぎる?──『キン肉マン』
格闘漫画のイメージが強いですが、初期はギャグ漫画でした。
内容としてはウルトラマンなど変身ヒーローのパロディ的なもので、当時のキン肉スグル(以下:スグル)にはにんにくを食べると巨大化してビームを出したり、空を飛んだりできるようになる能力が備わっていました。
さらに驚くべきことに連載前の読み切りでは、キン肉マンはウルトラの父の行きずりの子とされています。つまり設定上は当時のウルトラ兄弟の末っ子(非公認)です。
このような設定もあり、初期はウルトラマンのように怪獣などの敵を倒していくストーリーでした。
休載などが重なり色々な壁にぶつかった後に、第20回超人オリンピック編がスタート。ここからは以前のギャグ路線とはうってかわって格闘路線に変わり、ギャグもありつつシリアス中心のストーリーへと変わっていきます。その結果、一層人気を博していきました。
その後第2次怪獣退治編にてギャグ路線に戻ることもありましたが、格闘路線の根強い人気から再び第21回としてオリンピック編が開始します。
格闘漫画に転向したことで、アニメ化やキャラクターのフィギュア型消しゴム(通称、キン消し)のブームなど社会現象化しました。
第1次ガチャガチャブームはキン消しのブーム時とされており、路線変更によって、おもちゃ業界の未来をも変えたといえるでしょう。
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◆「初期設定」がどっかに行ったキャラ
『ドラゴンボール』や『NARUTO -ナルト-』など、連載が長期化した作品には、作中で回収されなかった設定や、1度だけ登場しただけで忘れ去られてしまった「死に設定」が少なくありません。
次のの作品に登場した初期設定も、読者に「あれ? 初期設定はどこにいった?」といわれることが多いものです。
●天津飯にかめはめ波が効かない──『ドラゴンボール』
『ドラゴンボール』の初期には、「天津飯にはかめはめ波が効かない」という設定がありました。
かめはめ波を生み出した亀仙流と対極の流派の鶴仙流の門下生だった天津飯は、そこで「気合い返し」という技を習得しています。この気合い返しは、印を結んだあとに手を前にかざすと、相手のかめはめ波を打ち返せるという技です。
天津飯が初めてこの気合い返しを見せたのは、天下一武道会でのヤムチャとの戦いでした。
この戦いでかめはめ波を初めて披露したヤムチャですが、天津飯の気合い返しによって虚しくも跳ね返されてしまいます。
その後の悟空と天津飯との決勝戦では、かめはめ波を撃とうとした悟空の姿を見て、観客席にいた亀仙人が「あの天津飯というやつ、かめはめ波そのものがきかんのじゃ。大小に関係なくな……」と忠告するとともに、気合返しの脅威を伝えていました。
しかし、セル編でその設定にほころびが見えてきます。
気合い返しを使えるはずの天津飯が、太陽系を消滅させようと、かめはめ波のパワーを練っているセルに何もしなかったのです。
この天津飯の様子を見た人からは、「天津飯はかめはめ波を跳ね返せるはずじゃ……?」という疑問が浮上するのでした。
●飛影は妖怪に変身ができる──『幽遊白書』
飛影が、額の邪眼の能力を解放しパワーアップすることは多くの人に知られていますが、物語序半では、それとは別の変わった邪眼の使い方をしていました。
飛影は、蔵馬と剛鬼の2人と徒党を組み、魔界の宝を盗んだ悪党として登場。宝を探すようコエンマに頼まれた幽助と戦うことになった飛影は、その戦いで妖怪の姿に変身します。
そのシーンでは、額だけではなく飛影の体中にいくつもの目が発現しました。また、体は緑色に変化し、いかにも妖怪といった見た目に変化します。
この体に浮き上がった目には金縛りの能力があり、幽助は身動きが取れなくなります。
また浮遊能力も付加されているようで、飛影は幽助を「邪眼の呪縛からは逃れられないようだな!」といって幽助を空中に持ち上げ、たたき落とす攻撃を繰り出しました。
このように、敵を捕縛するのに便利な邪眼の能力。しかし、原作漫画では暗黒武術会などで、飛影が邪眼の能力を使って変身をしたり、金縛り能力を使ったりすることはありませんでした。
アニメでは、コエンマの空想シーンや、劇場版第2作目の『冥界死闘篇 炎の絆』で敵の術にかけられたときにのみ登場しています。
初登場のときには、ほかにも普段のクールな性格とはかけ離れた小物感をただよわせるセリフを口にしたり、感情むき出しの性格だったりしたため、当時を知る一部の読者から「飛影の初登場は黒歴史」と囁かれています。
詳しく読む⇒「初期設定」がどっかに行った4人のキャラ 『幽遊白書』飛影って変身するんじゃ……
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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