人気漫画は、構成の段階では脇役だったにもかかわらず、ある日突然、主人公やヒロインに抜擢されるケースがあります。次の4人もちょい役から大出世したキャラです。

◆脇役から大出世したキャラクター

 人気漫画でも、構想段階からすべてのキャラクター設定が必ずしも決まっているわけではありません。 中には、元々は脇役で登場する予定が主要キャラになったり、主人公に大出世したりしたケースもあります。

●主役は「あの博士」のほうだった?──則巻アラレ『Dr.スランプ』

 『Dr.スランプ』は、当初は異なるストーリーで、主人公もアラレではありませんでした。

 202438日に『東京新聞』が報じた記事「鳥山明さんとの出会いを鳥嶋和彦さんが語る Dr.マシリトは“いちばん嫌いなやつを描いてこい”で誕生」によれば、当初の構想では則巻千兵衛が主人公で、アラレは1話のみ登場予定だったそう。

 しかし、当時の編集担当だった鳥嶋氏の強い意向によって、アラレを主人公に据えることになったと明かしています。そのアイデアがピタリとハマり、アラレが話す「んちゃ」や「ほよよ」、「キーン」、「バイちゃ」などの、「アラレ語」は社会現象を巻き起こすほどの人気を博しました。

●脇役の構想から主役に大抜擢!──竈門炭治郎『鬼滅の刃』 

 世界で大ヒットを記録し、今年には新作映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の公開も予定されている『鬼滅の刃』。その主人公は竈門炭治郎ですが、実はネーム段階では主役ではなく、脇役として登場する予定でした。

 202025日に『livedoor News』が報じた記事「“鬼滅の刃”大ブレイクの陰にあった、絶え間ない努力――初代担当編集が明かす誕生秘話」によると、『鬼滅の刃』の前身作『鬼殺の流』の主人公は「盲目、隻腕、両足義足」というシリアスすぎる設定だったために見送られることに。

 当時の編集担当・片山氏が「この作品の中に、もうちょっと普通の子いないですかね」と、原作者・吾峠先生に聞いたところ、「炭を売っている男の子がいて、その子は家族全員殺されたうえに妹が鬼になっちゃって。男の子は妹を人間に戻すために鬼殺隊に入るんです」と、炭治郎の設定を説明した結果、主役に抜擢されることになりました。

 2つの前身作『過狩り狩り』、『鬼殺の流』で評価が低かった主人公に代えて、炭治郎を据えたことが功を奏し、『鬼滅の刃』は瞬く間に高い評価を受け、アニメ、舞台、歌舞伎など、さまざまなコンテンツで作品化されました。

詳しく読む⇒脇役から大出世した4人のキャラクター 『Dr.スランプ』アラレちゃんは「ちょい役」のはずだった?他

◆ちょい役からヒロインになったキャラ

 アニメ・漫画では1話だけの登場予定だったキャラクターが、人気が出過ぎて出番が増えていくことがよくあります。以下のキャラクターたちは最初はちょい役ポジションだったのが、その後晴れてヒロインになり作中で活躍しました。

●最初は1話限りのゲストキャラだった?──ラムちゃん『うる星やつら』

 今でこそ国民的アニメキャラのラムちゃんですが、『うる星やつら』初期の時点で第1話にしか登場しないキャラの予定でした。

 第1話ではあたるとラムちゃんが地球の運命をかけて鬼ごっこをしており、あたるからプロポーズをされたと勘違いします。そこでラムちゃんの出番は終わる予定でした。

 しかし作者の高橋留美子先生が、第3話の構成を考えていたときにアイデアが出なかったため「苦しまぎれ」ということでラムちゃんを再登場させ、それ以降はメインキャラクターになります。

 こうして第3話になって夫婦が同居するのは当たり前だと言い、彼女はあたるの自宅に押し掛けて来ます。

 高橋先生によれば、『うる星やつら』は当初5話短期連載の予定で、あたるが次々変な人に出会っていくオムニバス形式のストーリーをイメージしていたそうです。 第2話に1コマも出てこないのは、その名残というわけです。

 メインヒロインに据えなければ国民的ヒロインが生まれなかったと思うと、日本のポップカルチャーをも左右する英断だったといえるでしょう。

●読者人気で大出世?──ゆきめ『地獄先生ぬ~べ~』

 『地獄先生ぬ~べ~』のヒロインで1番人気と言っても過言ではないゆきめですが、なんとはじめはメインのキャラクターではありませんでした。

 原作の真倉翔先生は『ジャンプ+α』の「地獄先生ぬ~べ~ 30周年記念インタビュー」で「ゆきめをゲストキャラと考え、ヒロインにするつもりはなかった」と語っています。最初の方針が変わった理由としては読者の人気が高かったからとのことで、再登場させたのちメインヒロインとなりました。

 さらにゆきめが律子先生を庇った回では死亡する予定で、作者自身もその回の巻末にて「ゆきめさんの登場はこれで終わり」だと書き記しています。しかし読者の「死なないでほしい」という声を受け、またしても予定より長きにわたって登場することになりました。

 当初、鵺野鳴介(以下、ぬ~べ~)は律子先生に好意を寄せている様子ですが、一途すぎるゆきめに押される形で結婚。

 その後の続編『地獄先生ぬ~べ~NEO』では結婚後のエピソードが描かれており、ゆきめはぬ~べ~の強い霊能力を長年浴び続け不治の病・霊力病にかかり別居してしまいます。

 しかし鬼天帝の強大な妖気が化学反応を起こし、彼女の体を再構築したため霊力病が完治。ついにぬ~べ~を含めた家族全員と暮らす夢が叶います。

 そして別居している間、ぬ~べ~はゆきめの病状を悪化させまいとあえて冷たく接していましたが、本当は誰よりもゆきめを想っていたことも明かされました。

 ゆきめがメインヒロインになったことで、人間と妖怪という異種族間の恋愛がより物語のドラマ性を引き立てているように思います。

 当初の予定のまま律子先生をメインヒロインとしていたら、ここまでドラマティックな恋愛は描くことができなかったといえるのではないでしょうか。

詳しく読む⇒ラムちゃんが「使い捨てキャラ」だったってマジ? ちょい役からヒロインになった4人のキャラ

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

 

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