アニメや漫画には珍しい名字のキャラクターが多く登場しますが、中には本当に存在する名字もあるようです。たとえば、『鬼滅の刃』の「栗花落」という名字は実際に存在するようです。ほかには、どんな珍しい名字が実在するのでしょうか?
◆本当にあるアニメキャラの“珍しい名字
アニメや漫画では、『幽遊白書』の主人公、浦飯幽助や『僕のヒーローアカデミア』の常闇踏陰など、その人物の特徴を表した独特の姓名を付けられたキャラクターがいます。その中には、初見で読めない珍しい名字でありながら実在するものも……。
「こんなにキャラクターにぴったりなのに、実際にある名字なの?」と驚くものもあるかもしれません。Webサービス『名字由来net』で、名前の由来や日本にその名字の人が何人いるのかも参照にしながら見ていきます。
●既に日本の「小鳥遊」(タカナシ)姓の人口を超えてしまった人気名字
2010年にアニメが放送された『WORKING!!』の小鳥遊宗太をはじめ、2012年の『中二病でも恋がしたい!』の小鳥遊六花、『パパのいうことを聞きなさい!』の小鳥遊姉妹で、この「小鳥遊」(タカナシ)という名字を初めて知った人も多いのではないでしょうか。
このほか『イナズマイレブン』の小鳥遊忍、『アリス・ギア・アイギス』の小鳥遊怜、『聖女の魔力は万能です』の小鳥遊聖など、アニメやゲームに多く登場する大人気名字となっています。
小鳥遊(タカナシ)の由来は「小鳥が遊んでいるなら、天敵の鷹はいない」ことから、タカナシと読むようになったと言われています。
『名字由来net』によれば日本に30人ほどしかいないとされ、近年のアニメ界では小鳥遊の姓を持つキャラクターが急激に増えたため、既に実在の小鳥遊姓の人口を超えたと話題になりました。
あまりの激レアネームのため実際に会ったことがある人はおろか、本名が小鳥遊の有名人に聞き覚えがある人も少ないでしょう。アニメやゲームに興味がなければ、一生出会うことがない名字なのかもしれません。
●インパクトが強くキャラの個性にぴったりの「蛇喰」(ジャバミ)
『賭ケグルイ』の蛇喰夢子で、この名字を知った人は多いでしょう。
蛇喰(ジャバミ)という名字は、現富山県の越中、現新潟県の越後、現福島県西半部の岩代の蛇喰邑、石川県輪島市の通称蛇喰谷から発祥していると言われています。インパクトの強い漢字のため、漫画の世界にしかいない創られたものかと思いきや実在する名字です。
ギャンブルのスリルに喜びを感じ、相手を追い詰めて打ち負かす夢子にぴったりの名字です。
『賭ケグルイ』では「蟲喰(ムシバミ)」や「陰喰(インバミ)」など実在しない名字も登場しており、「蛇喰」はあまりに夢子のキャラクターに合っている名字だけあって、原作者が創ったものかと思ってしまいます。
『名字由来net』によると、蛇喰の姓を持つ人は日本でおよそ10人と小鳥遊以上に珍しいです。
しかも、このインパクトのある蛇喰姓を背負うには、キャラクターがそれに見合う強い個性を持っている必要があります。そのため、アニメ界でも夢子の一族くらいしかいないレア度の高い名字です。
詳しく読む⇒「この名字が実在する」ってマジ? 本当にあるアニメキャラの“珍しい名字”4選
◆ホントに存在するの?インパクトの強いアニメ・漫画キャラの名字
漫画やアニメに登場するキャラはインパクトを与えたりキャラクターのイメージに合わせたりするため、珍しい名字がつけられることも少なくありません。中には、初見では読めないものや現実にいるのかと疑ってしまうものもありますが、果たして実在しているのでしょうか?
2017年に出版された『難読珍名「日本人の名字」クイズ』(出版社:ダイアプレス )を元に調べていきます。
●実は古い歴史がある名字だった「栗花落」
『鬼滅の刃』には竈門や不死川など多くの珍しい名字が登場しており、その中でも古い歴史を持つ名字が「栗花落」(つゆり・つゆ)です。
栗花落という名字は、1300年近く前に摂津国に住まう山田左衛門尉真勝という役人が、貴族の藤原豊成の娘・白滝姫に恋をしたことから始まります。真勝は白滝姫へ求婚しますが断られてしまい、哀れに思った第47代淳仁天皇がふたりに歌比べの場を設け、勝者の望みをかなえることにしました。
なお、『難読珍名「日本人の名字」クイズ』が出版された2017年の時点で、栗花落姓は全国で約5軒あるといわれています。
『鬼滅の刃』には、竈門炭治郎の同期である「栗花落カナヲ」(つゆりかなを)が登場しており、原作19巻の大正コソコソ話では、いくつかの候補のなかから自分で名字を選んでいました。
序盤のカナヲは無感情なキャラでしたが、炭治郎とコインの裏表をあてる勝負に敗れてから、自分の感情を表に出すようになり、炭治郎ともいい雰囲気になります。もしかしたら、真勝と白滝姫のエピソードにちなんで、名字がつけられたのかもしれません。
●字面からおそろしさが伝わる「百目鬼」
字面からも由来からもおそろしさが伝わる名字が、「百目鬼」(どうめき・どめき)です。
百目鬼の由来は川が氾濫したときの音とされており、「ごうごう」という音の「どよめき」から、百目鬼という字に「どうめき」の読みかたをあてたと考えられます。
また、治水された現代ならともかく、治水がままならない時代は川の洪水はおそろしいものだったハズ。百目鬼という漢字の構成からも、そのおそろしさが十分伝わってきます。
なお、百目鬼姓は茨城県で多く見られ、『難読珍名「日本人の名字」クイズ』が出版された2017年の時点で全国に約150軒いるようです。
百目鬼姓で有名なアニメキャラといえば、珍しい名字が多く登場する『XXXHOLiC』の「百目鬼静」(どうめきしずか)が挙げられるでしょう。
彼は名字からも連想できるように、目つきが鋭く無口でどこか近寄りがたい雰囲気を感じます。しかし、根は優しく、主人公・四月一日(わたぬき)を気にかけており、彼のことを考えて大学の専攻を決めているほどです。
また、名字の「鬼」という字に反してアヤカシを祓う力があり、作中でも弓を用いてアヤカシを祓っていました。
詳しく読む⇒「栗花落」に「毒島」の名字……ホントに存在するの?インパクトの強いアニメ・漫画キャラの名字
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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