漫画の何気ないシーンが伏線となり、読者を驚かせることは少なくありません。次の4つの作品は、「神がかった伏線回収」とファンの間で話題となりました。

◆「死神リュークの口癖」に隠された驚きの展開──『DEATH NOTE

<この記事には原作・TVアニメ『DEATH NOTE』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

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 死神リュークは、「面白(おもしろ)」というセリフをたびたび使っています。

 好奇心旺盛なリュークの性格を考えると、このセリフはただの口癖のように聞こえますが、漫画のラストシーンで、彼の恐ろしい本性を表しているセリフだったことが分かります。

 月は物語のラストで瀕死になり、相棒のリュークに助けを求めます。これまで、冷酷非道な月の行いを「おもしろ」と言って一緒に楽しんでいたリュークですが、月がほかの人間と同じように命乞いをする姿を見て幻滅。月に興味を無くしたリュークは、デスノートに月の名前を書き、あっさりと彼の命を奪うのです。

 この行動によって、リュークは月という相棒に思い入れがあったのではなく、人間の残忍な考えを「おもしろい」と感じていただけということが暴露されました。

 『DEATH NOTE』の伏線二つ目は、月の「新世界の神となる」というセリフです。

 月はデスノートを拾ったことで、「新世界の神となる」という野望を持ちますが、その野望は果たされず、彼は生涯の幕を閉じます。

 しかし、ある意味で月は野望を達成していたのかもしれません。

 それが分かるのは、漫画のラストで描かれた空に浮かぶ月を崇めている人々のシーンです。

 この人々は、月によって消された悪人たちに苦しめられていた者たちだと考えられます。

 空に浮かぶ月を依り代にして、苦しみから解放された感謝や、月の復活を願っていたのではないでしょうか。

 月は、「悪人がいない世界の神」にはなれなかったものの、「悪人に苦しめられた人々の神」にはなれたのかもしれません。

◆表紙の時点で「死亡フラグ」が立っていた?──『約束のネバーランド』

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 『約束のネバーランド』は、漫画の表紙にさまざまな伏線が隠されています。その一つが、漫画第1巻のカバー下のイラストです。

 第1巻のカバーの下には、うつむいている黒髪の少女が描かれていました。この少女の正体は幼い頃のイザベラで、カバーを外すことでイザベラもエマたちと同じ食用児だったことが分かります。

 そんな環境にいたイザベラが、GFハウスのママになったことから、食用児も成果によっては、生きて大人になれることが考察できます。

 また、カバー下に描かれているイザベラは暗い雰囲気をただよわせていますが、エマたちは明るく希望に満ちあふれた表情をしているのが特徴です。この構図も、エマたちがGFハウスの外の世界に出られるという暗喩だと考えられます。

 そして、『約束のネバーランド』のタイトルロゴには、どの子供が出荷されるのかが分かる伏線が隠されています。

 この漫画のタイトルロゴは、「バ」の文字あたりから三本線が伸びており、第1巻ではコニー、第4巻ではノーマンにその線が重なっていました。2人に「出荷されたキャラ」という共通点があることから、この線は出荷される食用児を示していたと考えられます。

◆「花嫁が誰か」は連載初期から決まっていた?──『五等分の花嫁』

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 『五等分の花嫁』の表紙やキャラクターの言動には、主人公の風太郎がどのキャラクターと結ばれるのか見抜くための伏線が盛り込まれています。

 風太郎が、最後に四葉を花嫁として選ぶと分かる伏線の一つが、漫画第5巻の表紙です。

 第5巻の表紙は、「五等分」と「の花嫁」の文字の間に「5」の数字が描かれています。

 この数字を漢字の「後(ご)」に置き換えると、「五等分“後”の花嫁」と読めるため、「四葉が最後に花嫁として選ばれる」というメッセージではないかと、読者の間で話題となりました。

 また、風太郎と四葉がキスをした場所。この場所のモデルとして囁かれているのは「幸せの鐘」という愛知県の観光スポットで、“四葉のクローバー発祥の地”としても知られています。

 “四葉“という言葉に縁のある場所が重要シーンのモデル候補になっているのも、伏線だったのではないでしょうか。

 ほかにも、「五択問題は四番目の確率が高い」というセリフが登場したり、風太郎が熱を出したとき、五つ子が彼の指を一本ずつ握るシーンで四葉が薬指を握っていたりと、四葉が花嫁になる伏線がいくつもありました。

◆「エレンの母親を葬った」のはまさかの──『進撃の巨人』

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 『進撃の巨人』は、未来のエレンが過去に遡って、巨人が現れた日に干渉していました。

 その伏線が、第1話で父親のグリシャがエレンに「帰ったら……ずっと秘密にしていた地下室を……見せてやろう」と言ったシーンです。

 第1話の時点では、子供のエレンに向かって言っているように思えたシーンですが、第121話を見てみると、グリシャの視線は大人のエレンの目を捕らえて話しているように見えました。

 そのため、このセリフは大人になった未来のエレンに対して言っていたことが分かります。

 また、不慮の事故だと思われていたエレンの母親の死も、未来のエレンが介入した結果の一つでした。

 巨人が初めて現れた日に遡ったエレンは、自分の母親を食べたはずの巨人が、母親ではなくベルトルトを襲っている場面に遭遇します。

 ベルトルトをこの時点で殺すわけにはいかないエレンは、巨人を母親の元に向かうように仕向けたのでした。

 そして、漫画のタイトルとなっている“進撃の巨人”の意味。これは、第88話「進撃の巨人」で、エレンが身に宿している巨人の名前であることが明かされました。

 進撃の巨人は、かつて父親のグリシャが持っていた能力で、エレンがグリシャを食べたことで引き継がれました。

 ──このような伏線には驚かされるばかり。『進撃の巨人』のようにエレンの母親を葬るように仕向けたのがエレンだったように、伏線というものは時に読者にショックを与えます。

 漫画を読み返す際は、こうした伏線を意識すると、初めて読んだときと違った楽しさを味わえるかもしれません。

〈文/伊藤悠〉

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