アニメではひきこもり、ニート設定のキャラクターが多いですが、ずっと家にいてはストーリーの展開が難しくなるので思ったより外に出ています。次の4人はアニメ1クールの放送で、メインキャラクターなのにほとんど家から出なかったひきこもりたちです。

 その中には家から1歩も外に出なかった、ブレない最強ひきこもりもいます。

◆ひきこもりクイーン和泉紗霧──『エロマンガ先生』より和泉紗霧

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 和泉紗霧は親が再婚して義理の兄となった和泉正宗にあいさつして以来、ひきこもり生活をしています。2017年に放送されたアニメ全12話では、ついに家から一歩も出ることがなかったひきこもりクイーンです。

 紗霧のひきこもりは医者によると心的原因によるもので、お風呂やトイレなど必要なとき以外は部屋からも出ません。しかし、正宗のことを異性として強く意識し始めてからは、下着は自分で洗っている模様。

 わけあって兄と妹のほぼ2人暮らしをしているので、食事をはじめ身の回りの世話は正宗がしています。紗霧はなにか要求があれば2階の部屋から床をドンドンして、正宗はその音の調子で彼女が何を求めているのか分かるほど。

 しかし、彼女はニートではなく、12歳ながらペンネーム「エロマンガ先生」として正宗のライトノベルのイラストを描いて稼いでいます。人と会うのも嫌いなので、正宗の作家仲間の山田エルフやクラスメイトの神野めぐみが家に来ても、パソコンを通して部屋から会話に参加。

 ただ、美少女の下着や水着姿を見るのが大好きで、イラストの参考にするという言い訳をしながら性欲を満たしています。そのため、下着を見せてくれるエルフたちとは、積極的に交流するようになりました。

 また、正宗にパソコンを持ち運んでもらって、カメラとマイク越しに会話しながら秋葉原を楽しむなど進歩も見せています。エルフや千寿ムラマサに水着姿でツイストゲームをやらせるため自室に招き入れますが、自分は相変わらず外に出ようとしません。

 しかし、紗霧はかなりの美少女で、正宗は彼女のことが大好きです。ひきこもっていてもしっかりお金を稼いでくれるなら、正宗としては大事な紗霧に家から1歩も出ないでほしいという気持ちも持っているかもしれません。

◆ダラダラ生活のベテランひきこもり──『江戸前エルフ』よりエルダ

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 江戸時代に召喚されたエルフのエルダは、60年ほど前に近所の子どもに「耳長くね」と言われたのが理由で、ひきこもり生活を始めました。毎日、ゲームをしたりプラモデルを組み立てたり、ひきこもり生活を楽しんでいます。

 しかし、エルダは氏子(町内の人)たちからは「高耳様」と呼ばれ慕われている、高耳神社のご神体です。そのため、姿を現さないことで逆に尊ばれ、お菓子やラムネ、ゲーム機などエルダが好むものを奉納してもらっています。

 神社の敷地の外へ出ることはほとんどなく、外出する理由はほぼ神事と自分の欲しい物を手に入れるためです。16歳になった小金井小糸が巫女を継承した際の儀式では、エルダも彼女と一緒に月島を1周。しかし、時間は深夜なうえ、エルダがいっぱいの人と会うのは怖いから氏子は外に出たらダメというルールになっています。

 50年に1度の大神事、東京で一番高い場所から富士山を望み、徳川家康公に江戸の厄除けを祈願する富士遥拝の儀では、小糸とともにスカイツリーを訪問。しかし、移動は車であり、夜のスカイツリーは無人だったため人と出会っていません。

 また、その年の豊漁を願う弓耳祭の御弓神事では隅田川の船上へ。エルダは多くの氏子たちが見守る中、小糸が放った矢を的で受け止める大役を果たします。しかし、本来は御神輿に乗って会場まで行くはずだったのに、エルダが思ったより人が多いとダダをこねて車で移動しました。

 このほかに、もんじゃ焼きを食べるため夜に外出しますが、氏子である店主の門井きららが彼女に気を遣ってお店を貸し切り状態に。エルダが昼に出かけたのは、大好きなカエル戦車の超レア品ゴールデンカエルパンツァーを手に入れるため、商店街の福引を引きに行ったときだけでした。

 福引の抽選券となるスタンプラリーは他人へ譲渡禁止だったため、しぶしぶ小糸と出掛けます。しかし、相変わらず人と会うのは苦手で、最初エルダはガスマスクをかぶっていました。さすがに息苦しかったので、途中からほっかむりをすることに。そして、氏子の人たちもいつも通り気を遣って、電柱や木などに隠れてエルダが福引を引くのを見守っていました。

 彼女がこの60年間で人のために外に出たのは2度で、どちらも小糸を探しに行ったときです。1度目は10年前の小糸の母親の葬儀の日の夜でした。姿を消した小糸を探しに出て、公園で泣いていた彼女を連れて帰ります。

 2度目は小糸が巫女になってからです。ふとしたことからケンカになり、小糸が飛び出して行きます。10年前と同じように彼女を探しに出て夜の公園に。しかし、長年のひきこもり生活で運動不足になっていたため、翌日は筋肉痛で苦しめられていました。

 氏子に甘やかされてひきこもり生活を送っているエルダですが、不老不死のため600年以上生きています。これまで多くの人が先に死んでいくのを見ているので、ひきこもっているのも、できるだけ人と関わらないようにするためなのでしょう。

◆人見知りで世間知らずなひきこもり小説家──『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』より朏素晴

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 ミステリー作家の朏素晴は家で仕事をしており、人が多いところは苦手で、外に出て遊ぶことにも興味を持っていないため、ひきこもり生活をしています。

 仕事をしていると食事をするのも忘れるほどで、幼なじみの矢坂大翔がよく食料などを差し入れに来ているので、素晴自身は買い物にすらあまり行かない模様。

 さすがに両親の葬式や墓参りには出掛けていますが、仕事の打ち合わせが人の多い喫茶店だったときは担当編集の河瀬篤に直接文句を言うほどです。両親以外の人間は創作や思考の邪魔になるものと考えており、自分から積極的に関わろうとはしません。

 素晴の外出が増えたのは、墓参りのときに出会った野良猫を見て新しい小説のネタを思いつき、自宅で世話するようになってからでした。そこからは新しい同居人の陽のために、ペットショップに行くように。

 人見知りでコミュニケーションが苦手、人との関係を持つことを嫌うので素晴は世間知らずなところも。店員に猫の名前を聞かれて、ペットショップでは自分の名前を名乗らないといけないのかと勘違いします。

 陽のためにペットショップにはよく行くようになりますが、猫好きの河瀬が素晴の家に来たがるようになったため、打ち合わせで外出することはなくなりました。ペットショップの店員と知り合い、トラブルから彼女の家を1度訪れたり、小説のサイン会でたまたま会ったり。

 素晴が出掛ける理由は、相変わらず陽と仕事のためだけ。アニメ全12話で自分のために出掛けたのは、小説の新シリーズのネタがまったく思い浮かばず、旅行をすすめられたときだけでした。

 事故で死ななければ、両親が行くはずだった徳島へ旅行します。しかし、陽を預けられるところがなかったこともあって12日の強行軍。

 陽との出会いで人との交流が広がり、以前よりも気持ちが前向きになっている素晴。しかし、旅行の帰りは嵐に見舞われ、帰って来ない素晴を心配して外に出た陽を探し回ることに。たまのお出掛けで嵐とトラブルに見舞われるというのは、素晴自身がやはり外出に向いていないのかもしれません。素晴が陽と一緒に出掛けられるようになる日はくるのでしょうか。

◆三十路のひきこもりニート女子──『ネト充のススメ』より盛岡森子

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 盛岡森子は三十路にしてこれまで働いていた会社を辞めて、ひきこもりニート生活を始めます。貯金を食いつぶしながらオンラインゲーム「Randgrid Online」で遊んでばかりの生活を送り、外に出るのは食料とゲームの課金カードを買いに行くためのコンビニくらい。

 近所のコンビニなので、すっぴんにジャージという格好で出掛けています。コンビニ以外に行ったところは、ゲーム中に寝落ちして風邪を引いたときの病院くらい。

 しかし、その際に偶然出会った桜井優太が、「Randgrid Online」で仲良くしているプレイヤーだったことで運命が変わります。と言っても、ほとんどゲーム内で話が進んでいくので、コンビニと病院以外で森子が出掛けたのは、アニメ全10話で飲み会2回と桜井とのデートだけでした。

 このほか、雨宿りで桜井のマンションに1度行きましたが、これもいつも通りコンビニに行ったときに偶然に出くわしたため。雨に濡れたので彼の家でシャワーを借りて、食事をしました。

 森子も人とのコミュニケーションを苦手としていますが、さすがに社会人をしていただけあって前述した3人よりはしっかりしています。

 残念ながら『ネト充のススメ』の連載は終わっていますが、きっと森子はこの先桜井と出掛ける機会が増え、ひきこもりを卒業していくのでしょう。

 

 ──メインキャラクターが外に出ないとストーリーを展開させるのが難しく、人との交流が増えるにつれて成長して、ひきこもりを卒業することも多いです。しかし、紗霧やエルダにいたっては、これからも安定のひきこもり生活を続けていきそうです。

 可能ならば仕事に行かず、家にひきこもっていたいと思う人も多いでしょう。リモートワークが当たり前になって来ている現代では、彼女たちのひきこもり生活に共感できる人も増えているのかもしれません。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。

 

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