アニメのオープニング映像に出てくる、謎のキャラクターの登場にワクワクしながら視聴していたのに、本編には登場しないまま完結し、「あれって何だったの?」と思ったことがある人もいるでしょう。
以下のアニメにはオープニング詐欺ともいえるようなシーンがあり、意味ありげな演出が謎を残したため、逆にファンが考察に闘志を燃やす現象が起きました。
◆最終形態かと思いきや……『新世紀エヴァンゲリオン』12枚の羽根の生えた初号機
「残酷な天使のテーゼ」の「羽根があること」の歌詞に合わせ12枚の光る羽根を広げる初号機が登場しますが、このような姿の初号機は本編で最後まで登場しません。
「結局なんだったの……」と思われていたこの初号機でしたが、のちに劇場版『Air/まごころを、君に』の『まごころを、君に』編でリリスとの最終局面にて登場しました。
ちなみにこのアニメの監督をつとめる庵野監督の対談本である『スキゾ・エヴァンゲリオン』によると、12枚の羽根が生えた初号機はルシファーのイメージだそうです。
また、『デビルマン解体新書』の永井豪先生との対談で、『新世紀エヴァンゲリオン』のイメージ・ソースは『デビルマン』とも述べています。
ルシファーは12枚の羽根を持つといわれており、主人公が搭乗する機体でありながらも悪魔的なイメージを持つというのは、かなり中二心をくすぐられるのではないでしょうか。
ちなみに劇場版の『Air』編の最後にも光の羽根が生えかけた初号機が登場しますが、それを見ていた人が「まさに悪魔か……」とつぶやいています。
◆本人のみならずモンスターも空気? 『遊戯王GX』三沢の炎のドラゴン
『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』(通称、遊戯王GX)の1つめのオープニング『快晴・上昇・ハレルーヤ』で、三沢が登場するシーンで両脇に2匹の竜が登場します。
そのうちウォータードラゴンは本編でのデュエルで使っていましたが、炎をまとったドラゴンは結局最後まで登場しませんでした。
三沢は作中にて「三沢君いたんだ」と影の薄さをイジられることが多い空気キャラですが、モンスターまで空気とファンの間でたびたび語り草になります。
三沢は序盤においては主人公・十代のよきライバル的なポジションでしたが、同じようなポジションのキャラクターが次々に登場してきたことで、三沢の出番はだんだんと少なくなっていきました。そうなると当然作中でデュエルをすることもなくなり、炎のドラゴンを登場させる機会がなくなってしまったのかもしれません。
近年『遊戯王』シリーズでは、過去作に登場したものの当時カード化されなかったカードが新たに発売されることが多いです。その流れで炎のドラゴンのカード発売を望むコアなファンも少なくありません。
◆ヒロインがガンダム!? 『機動戦士ガンダム00』緑目の女性キャラクター
1st seasonの1つめのオープニング「DAYBREAK'S BELL」に登場する、一見マリナに見えるが目の色が違う女性キャラクターは本編に一切登場しません。
オープニング映像では、この女性キャラクターが刹那と手を重ねたあとに両手を広げ、同じポーズをしたエクシアと重なる演出がありました。そのため、このキャラはエクシアの擬人化ではないかと考察するファンもいます。
このアニメのヒロインのマリナと似ていることと、1st season時点での刹那はガンダムでの武力介入こそが平和への唯一の道だと考えていたことから、漠然とした平和へのイメージがこの女性キャラクターだったのかもしれません。
1st season時点での刹那はあの有名なセリフ「俺がガンダムだ」にも象徴されるようにガンダム狂いともいえる妄信的な憧れを抱いていること、そしてほかの『ガンダム』シリーズに比べ恋愛要素が少ないことから「00のヒロインはエクシア」としてネタにされることも多いです。
◆未登場はもったいなさすぎ? 『少女革命ウテナ』 赤い甲冑を着たアンシー
オープニングには本編で一切決闘しないアンシーが手にランスを持ち、赤い甲冑を着た騎士のようなコスチュームで空を舞うシーンがあります。
アンシーもいずれ決闘することを期待した視聴者も少なくなかったかと思いますが、決闘することも花嫁もやめてオープニング映像のような騎士に……なんてことはもちろんありませんでした。
ちなみに主人公のウテナも同じような防具を身に着けていますが、剣を持って決闘はしていたものの、アンシーと同じように本編でそうした姿になることはありません。
多くのファンがさまざまな考察をするこの作品ですが、オープニング映像は強大な敵との決戦に向かうイメージ的なものではないかという考察もあります。
自我の薄いアンシーですが、大好きだった兄に見切りをつけ最終回で学園を去った友人・ウテナを自分の意志で探しに行くことを決めます。そのアンシーの決意を本編の薔薇の花嫁のドレスとは対照的な騎士のコスチュームという形で描く、ある意味でネタバレのようなオープニング映像なのかもしれません。
──テレビアニメのオープニングは、アニメの内容を伝えるだけではなくその作品のイメージを伝える役割も担っているように思います。
イメージを伝えることに注力するあまり、実際のストーリーの内容と少し異なる映像になってしまうこともあるのでしょう。
また『魔法少女まどか☆マギカ』のオープニングはまどか中心に構成されており、ほむらたち他の魔法少女のシーンが極端に少なく、あえて実際のストーリーとは違った映像でミスリードしています。たった1分30秒ほどのオープニング映像も、奥が深くて目が離せません。
〈文/michel 編集/諫山就〉
※サムネイル画像:Amazonより