『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ役で知られる緒方恵美さんが、4月26日放送のTBS系連続ドラマ『9ボーダー』第2話にて、占い師役で俳優デビューされました。
近年はベテラン声優のドラマ出演が相次いでいます。ドラマでも発揮されるベテラン声優の名演に注目です。
◆三石琴乃さん──美少女戦士から美魔女へ!
緒方恵美さんと同様に『新世紀エヴァンゲリオン』に出演し、葛城ミサトを演じていた三石琴乃さんもドラマで見かける機会が増えています。
『美少女戦士セーラームーン』シリーズでの月野うさぎ役では明るく活発な少女のイメージですが、2021年に放送されたドラマ『リコカツ』(TBS)では、主人公の母親の美魔女モデル役でレギュラー出演していました。
美魔女モデルという役柄は、ミサトや『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのマリューのような大人美女のイメージでしょうか。
また2024年にはNHKの大河ドラマ『光る君へ』で、後の最高権力者となる藤原道長の母の時姫を演じています。『ドラえもん』でののび太のママや、『ガンダムビルドファイターズ』でも主人公の母親を演じていますし、母性を感じられる声質なのかもしれません。
『リコカツ』のオファーについては、三石さんの出演するラジオドラマの監督をやっていた堤幸彦さんが、ドラマのプロデューサーに紹介したことがきっかけだそうです。
劇中では『美少女戦士セーラームーンR』のエンディングテーマ「乙女のポリシー」を歌う場面もあり、ファンへの目配せの利いた演出でした。
◆田中真弓さん──レジェンドの現在進行形
『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィ役や、『ドラゴンボール』シリーズでのクリリン役でおなじみの田中真弓さんも2024年にNHKでのドラマ出演がありました。
連続テレビ小説『虎に翼』で演じているのは、主人公の義姉となる花江の家の女中・稲の役です。
田中真弓さんはもともと劇団、テアトル・エコーの出身で、1978年のドラマ『白い巨塔』(フジテレビ)の第2話に看護師の役で出演しています。
ルフィやクリリンだけでなく、スタジオジブリのアニメ映画『天空の城ラピュタ』のパズー役や、『忍たま乱太郎』のきり丸役など、子どもたちに親しまれる少年の役を演じることが多いですが、田中真弓さん自身は舞台で女性の役も演じており、あくまで俳優です。正確に言えば、声優と俳優の区別が明確でなかった頃から活躍されているレジェンド俳優でしょうか。
声優としての女性役は、『サクラ大戦』シリーズの桐島カンナ役があります。恋愛シミュレーションゲーム要素もあるので、もちろん攻略して恋仲になることもできます。『サクラ大戦』は役の衣装を着てミュージカルもやっていたので、歌唱力も評判が高いです。
◆高木渉さん──大河でドラマデビュー!
高木渉さんは2009年のドラマ『連続人形活劇 新・三銃士』(NHK)に出演して、脚本家の三谷幸喜さんに気に入られたことがきっかけで、NHKの大河ドラマに出演しました。
『真田丸』での小山田茂誠役への抜擢は、当時アニメファンの間でも話題になり、その後も大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)で玉乃世履役を演じるなど、俳優としてドラマで見かける機会が増えています。
もともと舞台での活動もしており、三石琴乃さんも参加していた劇団あかぺら倶楽部の代表も務めています。
一方で当時はテレビドラマの声以外の出演は未経験ということもあって、はじめは『真田丸』のオファーを断ろうと思ったそうです。しかし、二度とないチャンスということもあり、失敗しても良い経験になると前向きに捉えて出演を決意。
『真田丸』では木村佳乃さん演じる愛妻・松との仲むつまじい夫婦のかけあいや、戦国の世にはつきものの裏切りという難しい役どころを好演しました。
◆津田健次郎さん──1年間で連ドラ5本出演!
アニメ版で主人公の龍役を演じた『極主夫道』ですが、実写PVでは津田健次郎さんが主演だけでなく監督も務めています。作品世界からそのまま抜け出してきたかのような存在感で家事をするなど、一風変わった実写出演作です。
また2023年だけで、『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ)、『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS)、『トリリオンゲーム』(TBS)、『大奥 Season2』(NHK)、『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ)の、5本の連続ドラマに出演しています。
もともと舞台を中心に俳優としても活躍されていましたが、2020年のNHK連続テレビ小説『エール』で語りを担当し、本編にも顔出し出演して以降、ドラマ出演の機会も増えています。
『大奥 Season2』では高木渉さんとともに幕府の老中の役どころを演じており、イケボに対する熱烈なファンの存在がうかがえます。
津田さんは2023年末に『情熱大陸』で密着取材を受けており、声優としても俳優としてもより一層の注目を集めています。
──昔は声優という職業はなく、声の仕事も俳優がやっていたものでした。女優という言葉が使われなくなって俳優に統一されていくように、垣根ができたり消えたり、時代のニーズに合わせて線引きはされていきます。
ドラマへ活躍の場を広げている声優のように、『9ボーダー』で俳優デビューした緒方恵美さんをドラマで見かける機会も増えるかもしれません。
〈文/雨琴 編集/諫山就〉
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