マンガやアニメには出番が少ないかつ、名前すら作中で分かっていないにもかかわらず、CMに出演したりグッズが発売されたりするキャラクターがいます。
次の4人は、少なすぎる出番にもかかわらず、カルト的な人気をほこるモブキャラたちです。
◆人気すぎてCMにまで出演?──『ドラゴンボール』戦闘力5のおじさん
ラディッツに「戦闘力…たったの5か…ゴミめ…」と吐き捨てられ瞬殺されてしまった戦闘力5のおじさんは、ファンの間でネタにされるだけでなく、CMに登場するなどの活躍を見せています。
このおじさんはラディッツに遭遇した際、はじめは銃で応戦しようとしますが、あっけなく銃弾をはじき返されてしまいます。
そして「戦闘力」という概念が登場したばかりのサイヤ人編にておじさんは一般人の戦闘指数の指標にもなりました。
作中で低すぎる戦闘力の数値や「ゴミ」と急にののしられる不憫さから、たびたびネタにされ、おじさんの戦闘力指数5は『ドラゴンボール』でフリーザの戦闘力53万の次に有名な数にもなっています。
このおじさんはの5という戦闘力には、銃が含まれているか含まれていないかという議論が巻き起こることがあります。
また、スマートフォンアプリ『ドラゴンボール レジェンズ』の「レジェンズフェスティバル 2021」というイベント開催のCMにも、このおじさんは登場しており、お笑いコンビ空気階段の鈴木もぐらさんが実写で演じています。
◆出番がごくわずかのはずが……──『DEATH NOTE』渋井丸拓男(シブタク)
渋井丸拓男(通称シブタク)は路上でナンパをしていただけのモブキャラでしたが、キャラが濃すぎてコアなファンを生みました。
月がデスノートを使っての一人目のターゲットである音原田九朗が凶悪犯だったのに対し、強引とはいえナンパという比較的スケールの小さい迷惑行為をしていただけなのにデスノートの実験台にされてしまった不遇なキャラです。
さらに正しい漢字表記で名前を書かないと効果がなくなってしまうデスノートにおいて、月にあてずっぽうで正しい表記をされてしまうのも不運でした。結果として彼はトラックにはねられ事故死してしまいます。
そして最初はデスノートの効果を信じていなかった月が、これを期にデスノートで犯罪者を裁き「新世界の神」になろうとするきっかけを作った重要な人物でもあります。
さらに「シブタク」という自称のニックネームやケツアゴで出っ歯という容姿など脇役にしてはインパクトの強いキャラクターであることから出番わずか8コマ(アニメ版は1分)にもかかわらずコアな人気があります。
◆公式グッズやLINEスタンプまで発売?──『HUNTER×HUNTER』団長の手刀を見逃さなかった人
通称「団長の手刀を見逃さなかった人」と呼ばれるモブキャラは、名前すら登場しないにもかかわらず公式グッズ化や『HUNTER×HUNTER』公式LINEスタンプにも登場するほど人気を集めています。
クロロがネオンを気絶させるために放った手刀にただ一人監視カメラを通して気づき、そこで 「おそろしく速い手刀 オレでなきゃ見逃しちゃうね」という有名なセリフを残しました。
クラピカにも他の殺し屋より場数を踏んでいると評されるなど強キャラの貫禄があります。しかしクロロに1対1で戦いを挑むも次に登場したコマで念魚に全身を食い荒らされてしまい、おそろしく速い敗北を迎えてしまいます。
このとき戦闘能力が未知数だったクロロの強さを引き立たせるために犠牲になったキャラですが、強そうに見せかけてすぐに敗北してしまうという噛ませ犬的なムーブがネタにされファンから愛されています。
◆ 人気のあまり「アノ主役級の声優」がアフレコ?──『ジョジョの奇妙な冒険』ディオの取り巻き
エリナのファーストキスを奪ったディオをはやし立てた取り巻きは、セリフのインパクトなどからモブとは思えない存在感を放ち人気を博しました。
ジョナサンの想い人であるエリナのファーストキスをディオが無理矢理奪うのは作中の舞台が1880年のイギリスという背景を考えると痛ましいシーンですが、そこで「俺たちにできないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!」と、有名なあのセリフで取り巻きがはやし立て、悲しめばいいのか笑えばいいのか絶妙な空気を作りました。
そうしたシリアスぶち壊しとも言えるこのキャラはインパクトが強く、ネタになることが多いです。
アニメ版でこのキャラの声優を務めるのは、主役級の声優である松岡禎丞さんです。1話だけの登場にもかかわらず配役が豪華すぎますが、さらに音響監督からは「この台詞ちゃんと言えないとファンに恨まれるよ」と釘を刺され何度も取り直したというエピソードまであります。
──こうしたキャラクターたちはインパクトの強いセリフを発していたり、敵の強さを際立たせるため不運な目にあっていたりするため登場シーンの少なさのわりに読者や視聴者に強烈な印象を残していくことがあります。
あまりに強烈すぎてメインキャラたち以上に話題をかっさらうことすらあるのはまさに「名脇役」といえるでしょう。
〈文/michel〉
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