アニメや漫画には、仮面などで素顔を隠すキャラがいますが、実は『ルパン三世』のルパンや『キン肉マン』のキン肉スグルも素顔を隠したキャラであり、本当の顔は知られていません。なぜ彼らは素顔を隠すのでしょうか? また、 『ドラえもん』でジャイアンだけ、あだ名で呼ばれているのはどうしてなのでしょうか?
◆素顔が意外な4人のキャラ
『ルパン三世』のルパンや『キン肉マン』のキン肉スグルの顔は、実は本当の顔ではありません。なぜ、彼らは本当の顔を見せないのでしょうか?
●あのサル顔はニセモノだった!?──『ルパン三世』よりルパン
『ルパン三世』のルパンは変装の名人というのは有名ですが、あのおなじみのサル顔も実は変装によるものだということはあまり知られていません。
2018年に放送されたアニメ『ルパン三世PART5』の最終回「ルパン三世は永遠に」では、ルパンが峰不二子に素顔を晒すシーンが映されています。とはいえ、はっきりと顔つきが描かれたわけではなく、黒塗りシルエットでの描写だったためその素顔はいまだ明かされていません。
ルパン家にはアルセーヌ・ルパンが著した「盗術」という秘伝の書が存在します。その第33条には「いかなる時でも素顔をさらすな」と書かれており、ルパンはこの項目を今まで守っていたわけです。そのためライバルの銭形警部はおろか、腐れ縁の石川五ェ門や次元大介でさえもルパンの素顔を知りませんでした。
アニメでは”誰もルパンの素顔を知らない”という設定が上手く活かされ、峰不二子ただ一人に顔を晒すことで彼女へのこの上ない親愛が表されています。「ここでこの設定をもってくるとは!」と多くのファンを唸らせた場面でもありました。
●あのタラコ唇はマスクだった!?──『キン肉マン』よりキン肉スグル
『キン肉マン』の主人公・キン肉スグル(キン肉マン)も素顔を隠して闘っているキャラです。
キン肉マンの顔といえば、額に書かれた「肉」の文字、丸っこい鼻に分厚いタラコ唇といった個性的な顔立ちを思い浮かべるでしょう。その強烈なインパクトから、作中ではしばしばブサイクキャラとして扱われることもありました。
そんなキン肉マンの素顔に近づいたのは、アニメ116話「見た!キン肉マンの素顔の巻」でのこと。ネプチューンマンとビッグ・ザ・武道のマスクを削り取る技「マスク・ジ・エンド」が決まり、キン肉マンのマスクがみるみるうちに削り取られていきます。しかし、マスクの下の顔はテリーマン。このときのキン肉マンはテリーマンが変装したニセモノで、すんでのところで素顔の暴露を免れたのです。
また、ウォーズマンと死闘を繰り広げる中、マスクの下の素顔がチラっと見えたことがありました。さらに、漫画第36巻の表紙では、マスクが半分ほどめくれた姿が採用されており、実は彼がイケメンであることがうかがえます。
キン肉マンが素顔を隠す理由は、彼が属するキン肉族には「素顔を誰かにみられた場合、死ななければならない」という厳しい掟があるからです。
詳しく読む⇒え?マジで! ルパンの顔は「ニセモノ」だった!? キン肉マンも…… 素顔が意外な4人のキャラ
◆ジャイアン、ブタゴリラがガキ大将なのに「ヒドイあだ名」で呼ばれるワケ
ガキ大将であるジャイアンやブタゴリラは、なぜヒドイあだ名で呼ばれても怒らないのでしょうか? それには理由があります。
●名は体を表すジャイアン──『ドラえもん』
ジャイアンというあだ名の由来は、体と態度が大きいことを意味する「ジャイアント」になります。
藤子・F・不二雄原作の漫画『ドラえもん』に登場するジャイアンは、本名よりあだ名が先につけられていたそうです。読者からの問い合わせでジャイアンの本名がないのか聞かれて、藤子先生が当時のアシスタントだったえびはら武司さんからとって剛田武という名前をつけたといいます。
作中では基本的にジャイアンと呼ばれ続けているので、まれにジャイアン自身が自分の本名をど忘れするギャグもあります。
あだ名も本名も勇ましいジャイアンですが、実は、お人形集めやおままごとが趣味という設定があるのです。ドラえもんにバレた際は赤面し、口止め料にどら焼きを渡していました。
さらにドラえもんの道具で酔っぱらったような状態になったときは、しゃべり方が乙女チックなものに変わりました。
このことから、内心では女性化願望があるのではないかと噂されています。ジャイアンリサイタルでの衣装姿もアイメイクなどしていますし、あながち間違っていないのかもしれません。
名は体を表すビジュアルのジャイアンですが、漫画では2度の恋愛エピソードがあり、いずれも自分より年下で、犬の散歩をしている女の子を好きになりました。しかし上手に話しかけることもできず、のび太やドラえもんに相談を持ちかけるなど、恋愛に対しては肝っ玉の小さいところが見てとれます。
少女っぽい趣味、絵がうまいなど、兄妹だけあってジャイ子と似ているところが多いです。
ちなみにジャイ子の本名ですが、こちらもジャイアン同様にあだ名だけ先に設定されていました。
本名を設定されることのないまま、藤子先生が亡くなってしまったのでジャイ子の本名が明らかになることは今後もなさそうです。
●本人が「ブタゴリラ」と呼んでほしいと言った──『キテレツ大百科』
ブタゴリラの本名は熊田薫で、本人はこの名前が女の子っぽい響きだと気にしています。その結果、最初は悪口として使われたブタゴリラというあだ名で、あえて呼んでもらうことにしました。
そもそも薫という名前も、ブタゴリラのお父さんである熊田熊八が、自身の名前がいかついことで苦労したらしく、生まれてくる子どもには中性的な名前をつけたい意向があったそうです。
ブタゴリラ自身はこのあだ名に対して思い入れはありつつ、本来悪口であることも自覚しています。デパートの呼び出しでブタゴリラと連呼された際は恥ずかしがっていました。
それでも間違ってゴリラブタと呼ばれるとブタゴリラと訂正するので、本人の中でも複雑な感情があることが見てとれます。
『キテレツ大百科』も藤子・F・不二雄原作の漫画作品ですが、ブタゴリラの本名やあだ名の掘り下げはアニメ版の脚本家の雪室俊一さんによるものが大きいです。
おそらくガキ大将のブタゴリラが、悪口同然のあだ名を許し続けることに疑問があったのでしょう。どういう経緯ならこのあだ名で呼ばれる自分を許せるか、ブタゴリラの気持ちになって考えたのかもしれません。
雪室さんは『サザエさん』でアブない言動をくり返している堀川くんを登場させた脚本家なので、ブタゴリラも原作から離れたユニークなキャラクターになりました。
詳しく読む⇒ジャイアン、ブタゴリラがガキ大将なのに「ヒドイあだ名」で呼ばれるワケ
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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