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本記事には複数の作品のネタバレが含まれます。ご注意ください。

 見慣れた顔が、必ずしも本当の素顔とは限りません。『ルパン三世』のルパンは変装の名人として知られていますが、実はあのおなじみの顔にも秘密が残されています。さらに『キン肉マン』のキン肉スグル、『鬼滅の刃』の嘴平伊之助、『ピューと吹く!ジャガー』のジャガーさんにも、素顔をめぐる意外な設定や演出がありました。

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◆ルパンの“いつもの顔”は本物なのか 不二子だけに見せた素顔

 ルパン三世といえば、細身の体つきと印象的なサル顔でおなじみです。しかし、アニメ『ルパン三世 PART5』の最終回「ルパン三世は永遠に」では、その顔さえも本当の素顔ではない可能性が示されました。

 同話では、ルパンが峰不二子にだけ素顔を見せる場面があります。ただし、顔立ちははっきり描かれず、黒いシルエットのような表現にとどめられていました。つまり、視聴者には最後まで本当の顔を見せないまま、“誰にだけ見せたのか”が強調される演出になっています。

 ルパン家には、アルセーヌ・ルパンが記した秘伝の書「盗術」があり、その第33条には「いかなる時でも素顔をさらすな」と書かれているとされます。銭形警部はもちろん、次元大介や石川五ェ門でさえルパンの素顔を知らないという設定は、彼が怪盗として守り続けてきた掟でもありました。

 だからこそ、不二子だけに素顔を見せた場面は、たんなるサービスシーンではありません。ルパンにとって素顔とは、変装を解く以上に重い意味を持つもの。その秘密を誰に預けるかで、彼女への信頼や特別な距離感が浮かび上がってきます。

◆キン肉マンの顔はどこまでマスクなのか “素顔を見せたら死”の一族の掟

 『キン肉マン』の主人公・キン肉スグルも、実は素顔を隠して戦うキャラクターです。額の「肉」の文字や丸い鼻、厚い唇まで含めて“顔”のように見えますが、作中ではそれがマスクであることがたびたび示されています。

 アニメ第116話「見た!キン肉マンの素顔の巻」では、ネプチューンマンとビッグ・ザ・武道の「マスク・ジ・エンド」によって、キン肉マンのマスクが削られていく場面が描かれました。しかし、その下から現れたのはテリーマンの顔。このときリングにいたキン肉マンは、テリーマンが変装した姿だったため、本人の素顔は明かされずに終わります。

 一方で、ウォーズマンとの死闘ではマスクの下がわずかに見えたこともあり、漫画第36巻の表紙では、半分ほどマスクがめくれた姿も描かれています。そのため、作中でブサイク扱いされることが多いキン肉マンですが、素顔はかなり整っているのではないかという見方もできます。

 キン肉マンが素顔を隠す理由は、キン肉族に「素顔を誰かに見られた場合、死ななければならない」という厳しい掟があるからです。たんなるギャグに見える顔の奥に、王族としての重いルールがある点も、『キン肉マン』らしい面白さといえるでしょう。

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◆伊之助はなぜ猪頭を外すだけで印象が変わるのか 荒々しさと美形のギャップ

 『鬼滅の刃』の嘴平伊之助は、猪の頭をかぶり、上半身裸で突き進む野性味あふれるキャラクターです。初登場時の荒々しさから、素顔もいかつい人物だと想像した読者や視聴者は少なくなかったかもしれません。

 しかし、アニメ「竈門炭治郎 立志編」第14話「藤の花の家紋の家」で明かされた素顔は、女の子と見まがうほどの美形でした。言動の荒々しさと顔立ちの美しさが大きくズレているからこそ、伊之助というキャラクターの印象は一気に強くなります。

 その美形ぶりは作中でも触れられており、アニメ「遊郭編」では荻本屋の遣手や、上弦の陸・堕姫からも美しさを認められる描写があります。猪頭の下に隠れていた素顔は、たんなる意外性ではなく、伊之助の魅力を広げる重要なギャップでした。

 伊之助は『週刊少年ジャンプ』で実施された人気投票でも、第一回(2017年)で5位、第二回(2020年)で6位と高順位を獲得しています。「猪突猛進」と叫ぶ好戦的な性格と、繊細にも見える素顔。その差が、多くの読者の記憶に残る理由の一つなのかもしれません。

◆ジャガーさんの素顔は最後まで分からない? 最終回まで貫いた破天荒な正体

 『ピューと吹く!ジャガー』のジャガーさんも、最後まで素顔の謎を残したキャラクターです。塗りつぶしたような目とオレンジ色の髪で知られる彼ですが、原作漫画の最終話「めくるめけ、日々」では、その見た目そのものが大きく揺らぐ展開が描かれました。

 物語終盤、自分のルーツが“猿”であることが分かったあと、ジャガーさんは突然坊主頭になります。そこで、トレードマークだったオレンジ色の髪がカツラだったことが判明しました。さらに「暑いから脱いじゃお」と顔の皮を引っ張り出し、皮がはがれていく奥からまぶしい光があふれます。

 読者が本当の顔を確認できる直前で、物語はピヨ彦の絶叫とともに幕を閉じます。つまり、ジャガーさんの正体は明かされたようで、最後の最後まで明かされていません。顔すらギャグとしてずらしてくる展開は、作品の破天荒さを象徴するラストだったといえます。

 

 ──素顔を隠すキャラクターには、ただの見た目以上の意味があります。ルパンにとっては怪盗としての掟、キン肉マンにとっては一族のルール、伊之助にとっては性格とのギャップ、ジャガーさんにとっては作品そのものの自由さが表れていました。

 見慣れた顔の裏に何があるのかを知ると、キャラクターの印象は少し変わります。素顔を見せないからこそ想像が広がる。その余白もまた、長く愛されるキャラクターを作る大きな魅力なのかもしれません。

〈文/秋山緑〉

《秋山緑》

アニメ・漫画・ゲームを中心に、エンタメ領域の記事制作に携わるライター。話題作から長年愛される名作まで幅広く扱い、作品の魅力やキャラクターの関係性、印象的なシーンを読者目線でわかりやすく伝える記事制作を得意とする。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画作品のコラムや解説記事を担当している。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ルパン三世H : 7 星を盗む男編」(出版社:双葉社)』

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