漫画が原作のアニメの中には、制作会社が異なるアニメが2作以上作られている物もあり、『ドラえもん』や『遊☆戯☆王』がそれにあたり、『ドラえもん』に至っては、ドラえもんがおじさん声だったり、今放送されているアニメとかなり異なる点があります。

 ほかには、どんなアニメが2作以上作られ、どんな部分が多くの人が周知しているものと異なるのでしょうか?

◆ドラえもんが「おじさん声?」──日テレ版『ドラえもん』

 シンエイ動画制作のアニメ版『ドラえもん』は1979年から放送が始まった長寿番組ですが、実は1973年に日本テレビ動画が制作しています。

 今でこそドラえもんの声は、初代声優を務めた大山のぶ代さんや、2代目声優の水田わさびさんといったマスコットキャラ的な女性声優のイメージが強いですが、日本テレビ動画版の前半では、赤塚不二夫氏原作のアニメに多く出演していた、富田耕生さんが声優を務めていました。

 富田さんが選ばれたのは、当初のスタッフがドラえもんに対して「世話好きのおじさん」というイメージを持っていたためだといいます。

 しかし物語が進むにつれて、そうしたドラえもんのイメージを「のび太の友人」的なものへと変えたいという方針の変更が打ち出され、後半は野沢雅子さんへ交代となりました。

 また現在放送されているシンエイ版でかつてスネ夫役を務めた肝付兼太さんが、日本テレビ動画版ではジャイアンの声優を務めています。

 後発の作品に埋もれてしまった理由としては、制作会社の倒産により著作権がどこにあるのか不明瞭になってしまったことや、フィルムの大半を紛失してしまったことが大きいようです。

海馬は「髪の毛が緑色」だった!?──東映版『

 TVアニメ版の『遊王』といえば、スタジオぎゃろっぷ制作の『遊王デュエルモンスターズ』が有名ですが、実は1998年に東映が制作したアニメ版があります。

 東映版の『遊王』は、原作初期のカードゲームでの対決がメインでなかった「闇のゲーム」のエピソードを中心にアニメ化したものです。

 『遊王デュエルモンスターズ』では、海馬の髪の毛は茶色みがかっていましたが、東映版の海場は、白ランを着ており、髪の毛も緑色になっています。この特徴的な外見は、のちにファンから「キャベツ」と呼ばれるになりました。

 東映版の海馬のキャラデザインはのちに、『遊王デュエルモンスターズ』のオリジナルキャラクター、海馬乃亜に引き継がれています。

 ほかにも東映版ならではのオリジナル要素は数多くあり、原作初期で1話のみのキャラクターであったミホがレギュラーキャラ化していたり、城之内と本田が友達になるきっかけが描かれたエピソードが描かれたりしています。

 『遊王デュエルモンスターズ』の放送によってコナミから発売された『遊王』のカードゲームは社会現象ともいえるほどの人気を博しますが、実は東映版のカードゲームも、TVアニメ放送時にバンダイから発売されています。

 この東映版のTVアニメ『遊王』について、原作者の高橋和希先生は、文庫版の第5巻の巻末で言及しており、その発言からは、悪い印象を持っていないと語っていました。

 東映版のTVアニメは現在、配信などはされておらず視聴するには当時発売されたVHSを見つけるしか方法がないので、『遊王デュエルモンスターズ』の裏に隠れてしまったアニメといえます。

♦承太郎とDIOの最終決戦に「オリジナル要素」が──OVA版『ジョジョの奇妙な冒険』

 『ジョジョ』のアニメ版といえば2013年から放送されているTVシリーズがよく知られていますが、実はそれよりも前に別のスタッフによって、原作の第3部『スターダストクルセイダース』OVA版が1993年と2000年に制作されています。

 このOVAは、演出面に力が入っていたため、原作と違う部分が多く見受けられました。

 たとえば、承太郎とDIOの最終決戦で、DIOがロードローラーをぶつけるシーンは、より時が止まる演出に臨場感を加えたいというスタッフの意図から炎の吹き出すタンクローリーに変更されています。

 TV版と比べると変更点が多く賛否はあるものの、基本的には原作の空気感に忠実であることや演出の秀逸さから「OVA版が至高」だと評価するファンもいるようです。

 そのような作品が、なぜのちに制作されたTV版に埋もれてしまったかというと、作中でDIOの読んでいる本がコーランであることをイスラム教徒から非難を受けたためだといわれています。

 結果としてDVDは発禁処分となり、世に出回ることがなくなってしまいました。

♦キルアの「あのシーン」も原作どおり再現──フジテレビ版『HUNTER×HUNTER

 アニメ版『HUNTER×HUNTER』といえば2011年に放送されたものが記憶に新しいかと思いますが、1999年に1度アニメ化されたことがありました。

 1999年版のTVアニメ『HUNTER×HUNTER』は、ヨークシン編の途中まで放送され、その後、フジテレビ版の続編のような位置づけでOVAが制作されました。このOVAではグリーンアイランド編まで描かれています。

 1999年版のTVアニメは、2011年版のTVアニメで規制によって直接的な描写がなかったキルアが心臓を握りつぶすシーンなどを原作どおり描いています。

 こうした点から、「原作のダークな空気感を忠実に再現している」と評価するファンも少なくないようです。

 ただしアニメオリジナルの要素もしばしばあり、2011年版のTVアニメは原作通りに話が進むのに対し、1999年版は「軍艦島編」というアニメオリジナルのストーリーがあります。

 1999年版のTVアニメは、VHSのほかにDVDも発売されていますが、サブスク配信は一切されていないため知る人ぞ知るアニメとなっています。

 ──どの「旧版」アニメも2作目にはない良い部分がありますが、さまざまな問題からあまり知られていないアニメとなっています。

 しかし、動画配信が盛んな今の時代だからこそ、それぞれの作品が抱える問題をクリアすれば、もしかしたら視聴できる日がくるかもしれません。

〈文/michel 編集/乙矢礼司〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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