洞窟を家にしているハチワレは藁の布団で眠っていたり段ボールをテーブルにしたりしているなど、ちいかわと比べるとつつましい生活をしています。
そんな生活を送っているハチワレは自分のためはもちろん、ちいかわやうさぎに対するおもてなしとしてご飯を作ってあげることがあります。ぜいたくな生活ではないものの、友達に頻繁に何かを食べさせてあげることは「一人よりもみんなで食べるほうが楽しい!」という気持ちの表れなのでしょう。
そんなハチワレが出してくれるご飯にはおいしそうでマネをしたいと思うものもあれば、びっくりするような創作ご飯があります。
◆空を舞ってひっくり返してしまった「パックのお寿司」
パックのお寿司を抱えたハチワレが「お寿司ーッ!」と、かわいい笑顔を見せながらちいかわの前を全力で駆けています。そんなハチワレに置いていかれないようにと、少し困った表情をしながら頑張って追いかけるちいかわ。
すると、全力で走っていたこともあり……手に持っていたパックのお寿司と一緒にハチワレは空を飛んでしまったのでした。パックのお寿司を持っていたことで足元が見えづらかったことや、走っていたことで足が絡まってしまったのかもしれません。
うまくパックのお寿司を抱えていなかったこともあり、ハチワレが地面ですべってしまうのと同時にパックのお寿司が空から落ちてきました。高いところから落ちてきたパックのお寿司を前に「ワァ……」と悲しみの声をあげるちいかわと、パックのお寿司を手に取って「めちゃくちゃになっちゃった……」と嘆くハチワレ。
ですが、ハチワレは急に何かをひらめいたような目線をちいかわに向け、キラキラしたかわいい表情を見せてくれました。
その後、家に戻ったハチワレは「混ぜちゃってさ、お湯かければいいじゃんッ!」と、どんぶりに混ぜたお寿司を入れてお湯をかけるといった、初めて見るようなお寿司ごはんを作りました。
さすがのちいかわも「えッ」という反応を見せてくれるかと思ったものの、一緒にもぐもぐと食べながらハチワレの「うまッ!」の声に、ちいかわも同じくかわいい笑顔でうなづいてくれたのでした。
◆友達に振る舞ったケチャップパスタ
「できたよ、ケチャップパスタッ」とちいかわとうさぎに見せるハチワレ。パスタにはウインナーがトッピングされていてとてもおいしそうです。かわいくペタペタと足音を聞かせてくれながら「ケチャップとね、コンソメとかで味つけたッ」と、いつものようにていねいに教えてくれるハチワレ。
そしてハチワレは、「ウインナー、一人一本ねッ」と、ニコニコの笑顔でちいかわとうさぎに言います。この頃はまだうさぎには「食べたい分だけ食べる」という自分を優先する意識が強く、友達を一番に優先するといった想いがそれほどありませんでした。
そのため、ケンカしたり誰かが我慢したりすることがないように人数分のウインナーをあえて用意したのかもしれません。
自分の受け皿にパスタを取り、おいしそうにパスタを食べているとうさぎがなにかを求めるように手をかざします。すると、ハチワレは「あッ! 辛いやつね!」といって少しだけ残ったタバスコをうさぎに渡すと、うさぎは迷うことなく何度もパスタにふりかけました。
ちいかわは誰かの姿を見てマネをして成長していくことが多かったため、タバスコをかけるうさぎを見たちいかわは「同じことをしたい!」と、思ったのでしょう。
ハチワレが「辛いよ?」と教えてくれていたものの、うさぎと同じように遠慮なくパスタにいっぱいのタバスコをふりかけると……あまりの辛さに「ンンッ!?」とびっくりしては顔を真っ赤にしてしまうのでした。
◆時にはシンプルが良い、塩むすび
青空の下でたくさんの草や花が咲いているところに座り込んでいるハチワレは「お昼ーッ!」と言うと、持ってきていた白い袋からおにぎりを取り出しました。
ちいかわやうさぎと一緒にいることが多いゆえ、一人だと笑顔が見られないと思ってしまうもの。ですが、ハチワレは一人でもきちんと自分が楽しむ方法を知っているため、たとえ一人であってもこうしておにぎりを持ってきてはピクニックができてしまうのでしょう。
そんなハチワレはおにぎりを口いっぱいに頬張ると「塩気がおいしいーッ!」と、かわいい笑顔を見せながら言い持ってきていた草むしり検定のテキストを開きます。
そうしたハチワレの行動からは外でのご飯はピクニックが目的ではなく、天気が良いから外で勉強しようとおにぎりを持ってきた気持ちも感じられました。
テキストに向き合いながら「ちいかわと一緒に合格するッ!」と、改めて強く想いを抱くとハチワレは「頑張るぞッ!」と意気込むと、先ほどとは違った真剣な表情で勉強をするのでした。
◆夜食で食べたハチワレの創作うどん
段ボールテーブルに置いてある小さなランタンの光を灯す中「夜食ーッ!」と、どんぶりを手にスキップしながら現れたハチワレ。まだ湯気が上がっている大きなどんぶりの中には、いろいろな具材がトッピングされたうどんが入っていました。
小さく響く虫の音を聞きながら一本ずつズルズルとうどんを食べながら「バターと醤油で炒めたうどんに、かつぶしかけたやつッ」と、いつものようにていねいに教えてくれたハチワレ。かつおぶしではなくかつぶしと言ってしまうハチワレに、なんだかかわいさを感じてしまった人も多かったハズ。
そんなハチワレは自分で気持ちの高め方を分かっていため、ちいかわやうさぎと一緒にいるときのように「おいしーッ!」と、ニコニコの笑顔で一人であることを感じさせないように言います。
すると、先ほどの笑顔からキリッとした表情を作ると、思い出したかのようにハチワレは草むしり検定のテキストを手に取ります。夜遅くまで起きて夜食を食べていたのは、草むしり検定の勉強を頑張っていたからなのでした。
いつもはどんなことも「なんとかなるよ!」「きっと大丈夫」といって前向きな言葉が多いハチワレですが、草むしり検定の勉強は本当に難しかったようで思わず「全然覚えられないッ!」と、言葉を吐き出していました。
そんな難しい勉強内容だったことで、さすがのハチワレも勉強に集中ができなくなってしまったのでしょう。眉間にシワを寄せながらテキストに何かを書き込んでいますが、実は……草むしりのことではなく、ちいかわとハチワレ・うさぎの似顔絵だったのでした。
写真などを見て似顔絵を描いたわけではないものの、自分では思ったよりもうまく描けたのでしょう。勉強を忘れて描き上げた3人の似顔絵を見て「これいいッ!」と、思わず笑みがこぼれてしまうハチワレなのでした。
──ハチワレはどんなときであっても「こうすれば楽しくなるかな」「こっちのほうが気になる!」など、一人でもポジティブな気持ちを感じられる子。こうした気持ちを抱いていることもあり「わからないけど……とりあえずやってみよう!」と、ご飯に対してもびっくりするようなアレンジが思い浮かんでしまうのかもしれません。
また、ハチワレは自分の気持ちよりも友達を優先してしまう性格をしています。そのため、新しい食材を手に入れたときであったり新たなレシピを考えたときなど「2人に食べさせてあげたい!」などと強く想うため、いつもちいかわやうさぎに「今日は良いものを用意してるんだッ!」と、いろいろなものでおもてなしをしてくれるのでしょう。
〈文/柳瀬蓮 @_prince0807_〉
元キャバ嬢ライター。脚本、エッセイ、アニメ以外では主にスピリチュアルや恋愛について、さまざまなメディアで執筆中。赤髪やピアスで派手な見た目をしているものの中身はふわふわしている人。誰かを傷つけてしまわないような記事を心がけています◎。10年の夜職経験を生かし『アニギャラ☆REW』では「アニメで学ぶ恋愛術」を連載中。