普段から自分のことよりも友達の想いに寄り添うことを優先してしまうハチワレは、一緒にいるちいかわやうさぎのちょっとした変化に気づくことが多いもの。そのため、自分の気持ちを優先することはほとんどなく、どんなときであってもちいかわに「大丈夫?」と言って気遣ってくれることが原作でもアニメでもたくさん見られました。

 そんなハチワレは良いことが起こったとしても、一緒にいる友達も同じように満たされなければ喜ぶことができないという、強い共感を心の奥底では抱いているのです。

 そのため、ちいかわが落ち込んだり考えすぎるあまり踏み出せないことがあると、同じように歩幅を合わせてくれたり立ち止まってくれるため、ハチワレから心温まる言葉をくれるシーンがたくさんありました。

 時には危なっかしい部分があるハチワレですが、一緒に行動していることが多いちいかわにどんな心温まる言葉を伝えてくれたのでしょうか?

◆大切な友達だから「想いがシンクロしたとき」が嬉しい

©ナガノ/ちいかわ製作委員会

<画像引用元:『ちいかわ』アニメ公式Twitter(@anime_chiikawa)より ©ナガノ/ちいかわ製作委員会>

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 どれほど仲の良い友達だったとしても育った環境であったり、価値観や考え方などがまったく同じということがないため、どうしても違う部分が出てきてしまうもの。ゆえにそれぞれの性格によっては自分と異なる部分を受け入れられず、頑なに相手を否定してしまうことも多いでしょう。

 ですが、ちいかわとハチワレは当然ながら完璧ではないものの、価値観や考え方であったり友達を大切に想う気持ちといった似ているところをお互いに持っているのです。こうしたことから2人ともそれぞれが「これしたい!」「いいなぁ」といった気持ちを抱く瞬間に2人の想いがシンクロを起こしてしまうことも少なくありません。

 初めての採取の仕事では、夜から朝までの夜勤だったちいかわとハチワレ。朝日が登り別々の場所で仕事をしていたちいかわと合流すると、眠さが既に限界というようなかわいい表情を見せてくれました。あまりの眠さに「報酬もらって、何か食べて寝たいッ」と、ハチワレが思わず口にすると同じように眠そうにうなずくちいかわ。

 朝日の眩しさに当たりながらも無事に報酬を受け取ると、空腹ゆえに漂う匂いに誘われるように「たこ焼き」に引き寄せられてしまいます。

 すると、たこ焼きを目の前にキラキラとした表情を見せると互いの気持ちをすり合わせるかのように「フッ!」と、珍しく先にちいかわが気持ちを伝えるとハチワレからも「同じこと想ってたッ!」といった言葉が出てきたのでした。

 ちいかわとハチワレの性格や好きなものが似ているため、このようにたこ焼きを食べたいという気持ちを言葉を交わしてシンクロしていたことを知ることができました。ですが、2人の間には強い信頼関係が築けていることもあり、ちいかわとハチワレのつながりの強さから言葉がなくともシンクロが起こることもあったのです。

 たくさん遊んだあと「また遊ぼうね、バイバイッ」と別れてそれぞれが家に帰るはずだったものの、ふと立ち止まり振り返るタイミングが同じだったということもありました。お互いに大切に思う友達だからということはもちろん「もっと一緒にいたかった」といった想いを抱いていたこともあり、タイミングが合わさったのでしょう。

 どれほど大切な友達だと想っていてもこのようにシンクロが起こることは少ないものですが、一度だけではなく何度も起こることはそれだけお互いに大切に想っている証拠。そのため、ハチワレから自然と出る「同じこと想ってたッ」という何気ない言葉がちいかわには嬉しく感じてしまったのではないでしょうか。

◆自分なりの楽しみ方を見つけたハチワレ

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<画像引用元:『ちいかわ』アニメ公式Twitter(@anime_chiikawa)より ©ナガノ/ちいかわ製作委員会>

 自分の気持ちは二の次になってしまうことが多いハチワレですが、物事をネガティブに考えることは少なく、多くの人が気づかない視点から物事を見て、自分なりの楽しみを見つけることを楽しみとしています。そのため、自分が置かれている環境や状況などに不満を抱くことがないのです。

 ちいかわは「むちゃうまヨーグルト おうちに住もうキャンペーン」の懸賞に当たりきれいな家に住んでいるため、窓も扉もあって雨風もしのげて敵がやってくることはありません。ですが、ハチワレはちいかわとは違って小さな洞窟のようなところを家にしているため、窓も扉もなく雨風や寒さを感じてしまったり突然にも敵がやってきてしまうことがあるのです。

 このように友達の環境に差があると人はどうしても誰かと比べたがる傾向にあるため「いいなあ」「自分はこんな家なのに……」といって、不満や嫉妬などネガティブな気持ちを抱いてしまうもの。

 ですが、ハチワレは人が目を落としがちな部分に気づいてポジティブに受け取ることができるため、不満をこぼしてしまうことはありませんでした。

 特にハチワレは自分の想いよりも相手の想いに寄り添えるため、ちいかわの家に訪れたときにはきれいな家に驚きつつも、笑顔で映っている写真を見ては「笑ってるッ」と、ちいかわに寄り添う言葉が自然と出てきました。

 夜勤前にちいかわと一緒にハチワレの家でご飯を食べているシーンでは「さっきまた怖いやつが入ってきて怖かったねッ」と、思い出しては不安そうな表情を見せる2人。

 ちいかわの家に比べるともちろん安全ではないため、急に敵が入ってきて驚いてしまうものの「ここから空が見えるのが好きなんだッ」といって、すてきなところをハチワレは教えてくれました。

 ボロボロのお家だからといって悪いわけではなく、完璧ではないからこそ小さなことにも目を向けることができるため、ハチワレにはハチワレにしかない部分に気づくことができたのでしょう。

 こうして誰かと比べて不満を抱くことがなく、自分なりの楽しみや幸せを見つけられるハチワレ。だからこそ、大好きなちいかわと一緒に夜空を眺めては「空が好きなんだッ」といって自分の好きなものを友達と共有できたところは、多くの人が見習いたい部分になったはずです。

◆「草むしり検定」に落ちたちいかわに優しい言葉をくれるハチワレ

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<画像引用元:『ちいかわ』アニメ公式Twitter(@anime_chiikawa)より ©ナガノ/ちいかわ製作委員会>

 怪しい魔女のせいで、ハチワレにもらった「なんとかバニア」が消えてしまったことが心の奥底で引っかかっていたちいかわ。ですが、ハチワレやうさぎに改めて「なんとかバニア」をプレゼントしようと報酬アップのため、草むしり検定の勉強をしていました。

 前回の草むしり検定は遅れて勉強を始めたハチワレだけが合格してしまい「マネして始めたのに……」「自分が受けなければちいかわが受かっていたのかも……」など、心優しいハチワレはさまざまなことを考えるあまり、ちいかわに申し訳ない気持ちを抱いてしまいます。そして、草むしり検定に落ちてショックを受けているちいかわに言葉をかけられず、約束していた郎のラーメンに行くことができませんでした。

 ですが、草むしり検定に落ちてショックを受けていたとはいっても「約束していたのに……」と、ちいかわも心の奥底では後悔を抱いていたのかもしれません。二度目の草むしり検定の結果を見にいく前には約束を果たすため「受かっていても落ちてても郎に行こうねッ」と、改めてちいかわと約束を交わしていたハチワレ。

 結果発表の日には一緒に結果を見ようとしていたハチワレでしたが、マンボウが違う方向へ行ってしまったこともあり、遅れて試験会場に到着します。会場の隅っこでハチワレのことを待っていたちいかわと無事に合流すると、「合格発表もう見たよね? どう……だったッ?」と、少し気遣いながらも笑顔のちいかわに聞きます。

 ちいかわが笑顔を見せていたこともあり、草むしり検定に受かったと思っていたハチワレ。ですが、ちいかわ自身もハチワレに気を遣わせないため、一度は笑顔を見せてくれたのでしょう。残念ながら二度目の試験も落ちてしまったちいかわですが、前回の約束を果たせた郎の店内では「何度でもずっと応援しているからねッ」と、ちいかわに優しい想いを伝えるハチワレでした。

 この言葉でどれほどちいかわのことを大切に想っているのか、ちいかわはハチワレの優しさに触れられたハズ。試験だけではなく、取り組んでいることに何度も落ちてしまったり失敗ばかりだと「もう、あきらめたら?」などと伝えてしまったり、自分でもあきらめの気持ちを抱いてしまうことも少なくありません。

 ですが、ハチワレはちいかわの頑張りをそばで見て知っているため「何回でもずっと応援するからねッ」と、ちいかわの努力を認めてくれるように温かくて優しい言葉が自然と出てきたのでしょう。

 お互いに心から大切に想っているからこそ相手が辛いときや悲しいときは寄り添い、嬉しいときには心から一緒に喜びたいといった強い想いが、ハチワレの温かくて優しい言葉から伝わってきます。

 

 ──どんなときであっても自分よりも大切な友達を優先しがちなハチワレ。そのため、誰かの前では自分の気持ちを押し付けるようなことがほとんどなく「いいの? 大丈夫?」などと、ちいかわや周囲を気遣ってくれる言葉がたくさんありました。

 平和主義者であり普段から友達を大切に想っているからこそ、特に意識しなくても自然と誰かの不安や悲しみを吹き飛ばせる言葉をハチワレは伝えることができているのでしょう。

 こうした大きな優しさを抱いているからこそハチワレの周りには、ちいかわやうさぎだけではなくたくさんのキャラが集まるのかもしれません。

〈文/柳瀬蓮 @_prince0807_

《柳瀬蓮》

元キャバ嬢ライター。脚本、エッセイ、アニメ以外では主にスピリチュアルや恋愛について、さまざまなメディアで執筆中。赤髪やピアスで派手な見た目をしているものの中身はふわふわしている人。誰かを傷つけてしまわないような記事を心がけています◎。10年の夜職経験を生かし『アニギャラ☆REW』では「アニメで学ぶ恋愛術」を連載中。

 

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