※この記事にはアニメ・原作漫画『NARUTO -ナルト-』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
原作だけでは見えなかった人物像が、外伝や公式ファンブックで補われているキャラクターがいます。サスケとイタチの父・うちはフガクの実力、木ノ葉丸の両親、暁・飛段のその後、サイといのの馴れ初め。本編では深く描かれなかった要素をたどると、『NARUTO-ナルト-』の世界が少し違って見えてきます。
◆サスケの父・フガクは本当に強かった? 万華鏡写輪眼に秘められた実力
原作では回想シーンでの登場が中心だった、サスケとイタチの父・うちはフガク。木ノ葉警務部隊の隊長であり、うちは一族によるクーデター計画の中心人物でもありました。しかし本編だけを見ると、戦闘能力や忍としての格ははっきりとは描かれていません。
その印象を大きく変えたのが、アニメ版『イタチ真伝』で描かれた補足です。そこでは、フガクが万華鏡写輪眼を開眼していたこと、かつて「兇眼のフガク」と呼ばれ、他里にも恐れられる存在だったことが明かされています。強力な火遁や手裏剣術に加え、九尾にも通用するほどの瞳術を持っていたとされ、もし一族抹殺の夜に本気で抵抗していれば、イタチとの戦いは凄まじいものになっていた可能性があります。
それでもフガクは、最後の場面で写輪眼を使って息子に抗うことはありませんでした。考え方は違ってもイタチを誇りに思い、その優しさを理解したうえで、無抵抗のまま最期を受け入れます。強者でありながら父として息子の決断を受け止めた姿は、うちは一族が抱える深い愛情と悲劇を象徴していたともいえるでしょう。
◆木ノ葉丸の両親は何者なのか 暗部にいた“火影の両腕”という手がかり
猿飛木ノ葉丸は、三代目火影・猿飛ヒルゼンの孫として第1巻から登場しています。一方で、彼の両親については、原作本編では名前も顔もほとんど語られていません。アスマを「叔父ちゃん」と呼んでいることから、猿飛一族の中で血縁関係があることは分かりますが、両親の素性は長く謎のままでした。
その空白に触れたのが、原作終了後の2015年『週刊少年ジャンプ』36号に掲載された特別短編です。そこでは、木ノ葉丸の両親が三代目火影の両腕として暗部に所属していたことが明かされました。ただし、暗部であるため2人は面をかぶっており、素顔や名前、年齢などは依然として不明です。
『BORUTO-ボルト-』では、木ノ葉丸は次世代の第七班を率いる担当上忍へと成長しました。ナルトに憧れていた少年が、今度はボルトやサラダたちを導く立場になったことを考えると、彼の両親がどのような忍だったのかは、今後さらに掘り下げられてもおかしくない要素です。
◆飛段はまだ生きているのか 公式ファンブックが示した“不死”の限界
暁の一員である飛段は、ジャシン教の力によって不死の身体を持つ忍として描かれました。シカマルたち第十班との戦いでは、綿密な作戦によって五体をバラバラにされ、奈良一族の森に生き埋めにされます。その後、第四次忍界大戦で穢土転生されなかったこともあり、彼の生死については長く議論が残りました。
この疑問に対し、2009年12月出版の『NARUTO―ナルト―[秘伝・皆の書]オフィシャルプレミアムファンBOOK』(出版社:集英社)に掲載された「岸本先生質問箱!!」では、岸本斉史先生が「飛段は生きてます。でも栄養取らないと死んじゃうし、そろそろ腐ってるねコレ。」と回答しています。
つまり飛段は、身体を切断されてもすぐには死なない一方で、完全な意味での永久不滅ではありません。栄養を取らなければ命は尽きるという、妙に現実的な弱点があったわけです。不死身に見えた飛段にも、ジャシン教の術だけでは越えられない限界があったことになります。
◆サイといのはなぜ夫婦になった? 小説で描かれた意外な馴れ初め
最終話と続編『BORUTO-ボルト-』では、多くのキャラクターが夫婦となり、次世代へ物語が引き継がれました。その中でも、感情表現に乏しかったサイと、山中いのが結婚していたことに意外性を感じた読者は多かったのではないでしょうか。
2人の関係が近づくきっかけは、小説『NARUTO―ナルト― シカマル秘伝 闇の黙に浮かぶ雲』(出版社:集英社、2015年3月出版)で描かれています。
第四次忍界大戦後、サイは黙の国での潜入任務中に洗脳されてしまいますが、増援として現れたいのがサイの精神へ入り込み、彼を救いました。この出来事をきっかけに2人は距離を縮め、結婚へ至ったとされています。
かつて「根」の忍として過去も未来も持たず、任務だけをこなしていたサイは、結婚後に山中家へ婿入りし、「山中サイ」と名乗るようになります。無表情だった彼が家庭を持ち、息子・いのじんの父となる流れは、本編後に描かれた大きな変化の一つといえるでしょう。
──『NARUTO-ナルト-』本編では、忍界の大きな歴史やナルトとサスケの物語がていねいに描かれました。一方で、フガクの万華鏡写輪眼、木ノ葉丸の両親、飛段の不死の限界、サイといのの馴れ初めのように、外伝や公式ファンブック、小説で初めて見えてくる設定も少なくありません。
こうした情報を知ると、短い出番で退場した人物や、後に家族を持ったキャラクターの見え方も変わってきます。本編で描かれなかった余白まで含めて楽しめることこそ、長く愛される『NARUTO-ナルト-』の奥深さなのかもしれません。
〈文/最上明夫 編集/相模玲司〉
《最上明夫》
アニメ・漫画・特撮・映画など、幅広いエンタメ作品に関心を持つライター。作品内の設定やキャラクター描写、物語構成を丁寧に読み解き、読者が作品をより深く楽しめる記事制作を心がけている。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画を中心とした考察・解説コラムを担当している。
※サムネイル画像:Amazonより 『DVD「NARUTO-ナルト-疾風伝 イタチ真伝篇~光と闇~」第2巻(販売元:アニプレックス)』


