『ドラゴンボール』は急展開が多く、気がついたら悟空とチチの間に子供(悟飯)が生まれているなど原作では描かれていないエピソードが多く存在します。それを補完するのがアニオリ回で、アニメではのちに夫婦となるあのキャラたちの馴れ初めが描かれていたりします。また、漫画の連載が約11年と長く忘れられた設定もいくつかあります。
◆実は原作補完なアニオリ回
TVアニメ『ドラゴンボールZ』には、原作漫画にはないアニオリ回が多くあり、ベジータとブルマの馴れ初めや、悟空がクルマを運転できるようになったきっかけなどが描かれており、原作を補完していることがあります。
●ブルマとベジータの「馴れ初め」が描かれていた?──第124話「こえてやる…悟空を!!戦闘民族サイヤ人の王」
原作では急に母親として描かれたブルマですが、第124話「こえてやる…悟空を!!戦闘民族サイヤ人の王」というアニオリ回では、ベジータとブルマの馴れ初めともいえる様子が描かれています。
このエピソードは、カプセルコーポレーションの重力室で人造人間の襲来にそなえて無理な修行をするベジータを中心に描かれていました。
ベジータは修行中に大怪我を負ってしまします。そのような状態にもかかわらず強がって無理ばかりをするベジータ。そんな彼を放っておけなかったブルマは、彼の看病をするなど世話を焼きます。
寝込んでいたベジータが目を覚ますとブルマが机に突っ伏して寝ていたなど、彼女が献身的にベジータを看病していたことが分かります。
ほかにも、ブルマが第118話「あれが地球だよパパ…フリーザ親子の逆襲」で「案外いい男」だとベジータのことを褒めていたり、第119話「フリーザはボクが倒す…悟空を待つ謎の少年」では、危険な目にあってでもフリーザを見てみたいというブルマのことを「下品な女だと思っていたがかなり気も強いな」というベジータのセリフがあったりと、お互いがお互いに持つ印象についてもアニオリで描かれました。
鳥山明先生は『月刊OUT 1982年3月号』の対談にて「ラブコメは読めない、ダメ」と恋愛描写は苦手であることを明かしており、そのためか原作では人造人間編に入ってからブルマとベジータは唐突に子供をもうけています。
こうした描写は原作では見られない、アニメならではの補完といえるでしょう。
●ただのギャグ回かと思いきや……──第125話「免許皆伝?悟空の新たなる試練」
第125話「免許皆伝?悟空の新たなる試練」は、人造人間が現れるまでの間の日常回で、悟空がクルマの運転ができるようになったきかっけが描かれています。
クルマに乗って買い物に行けないことに不満を爆発させたチチに命じられて悟空と、それに巻き込まれる形でピッコロは教習所に通うことになります。
戦士としては圧倒的な強さをほこる悟空ですが、覚えは悪く破天荒すぎる運転をして教官からは「お前は免許を取るのに3年はかかる」と言われるほどクルマの運転は致命的でした。
紆余曲折を経て、悟空とピッコロは実技試験にのぞみますが、そのときに土砂崩れに巻き込まれる幼稚園バスに出くわし園児たちを救います。
園児らを助けた悟空とピッコロは教官にその行いを素晴らしいと褒められるも、「君たちに教えることは何もない」と言われ遠回しに教習所を追い出されました。
タイトルに「免許皆伝」とあるにも関わらずこの回では免許を取ることはできませんでしたが、その後の第172話「神様を探し出せ!! 悟空、大瞬間移動」で今度こそ運転免許を取れたことが分かります。
漫画やアニメの世界であえて語られることがあまりない運転免許ですが、ハチャメチャで何でもアリに見える『ドラゴンボール』の世界でクルマの運転に免許が必要とは少し驚きです。
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◆いつの間にか消えていた設定
『ドラゴンボール』のように連載が長期化すると、当初ストーリーにおいて大きなウエイトを占めていた設定でさえ、いつの間にかなくなっていることがあります。その中には『ドラゴンボール』特有の理由で生じてしまった、その後の設定に大きく関わる重要な変更もありました。
●初登場のベジータは髪の色が赤かった
アニメ版のベジータは初登場時、髪が赤色になっています。当時この髪色に違和感を抱いた視聴者はいなかったでしょうが、『ドラゴンボール超』で登場した超サイヤ人ゴッドの髪が赤色だったため、初期ベジータはすでにサイヤ人の神形態だったのかと話題となりました。
アニメを制作する際、キャラクターの色彩設定は原作者に確認するのが普通です。もちろん鳥山明先生にも確認していましたが、『ドラゴンボール』の場合はアニメがたびたび原作に追いつくという特殊な事情がありました。
そのため、ベジータの髪色の確認が間に合わず、アニメでは最初赤髪での登場となります。その後、鳥山先生に確認しておなじみの黒髪に修正されました。
純粋なサイヤ人は黒髪、超サイヤ人になると髪色が変わることは、ファンにとっておなじみの設定となっています。当時のアニメ制作スタッフも、サイヤ人の髪色にここまで重要な意味があるとは想像していなかったでしょう。
●仙豆を食べると満腹になる設定はどこへ?
仙豆には傷を治したり体力を回復したりするだけでなく、普通の人間なら1粒食べるだけで10日間は何も食べなくても平気でいられる設定がありました。しかし、当初は空腹を満たす程度のもので、回復効果はフィーチャーされていませんでした。
その証拠に悟空が超神水を飲んで再びピッコロ大魔王と戦って傷ついたときは、仙豆を使わずにカリンの薬草で治しています。その後は瀕死の状態から復活すると戦闘力が大きく上がるサイヤ人の特性もあって、仙豆は傷や体力を回復する重要なアイテムとなりました。
しかし、そうなると今度は満腹をもたらす効果が薄れてきます。天下一武道会決勝後の悟空やピッコロ、ナメック星での悟飯やクリリン、ベジータなど、たびたび仙豆の恩恵にあずかっていますが、誰も満腹感には触れていません。
これには2つの可能性が考えられます。1つは緊迫した戦闘の後、もしくは戦闘中のためお腹いっぱいになったなど、のんきなことを言っている空気ではなかったということです。そして、2つ目は深いダメージや失った体力の回復に仙豆の栄養が使われたため、それほど満腹感は得られなかった可能性もあるでしょう
詳しく読む⇒ベジータは「初登場から超サイヤ人ゴッドだった説」も? 『ドラゴンボール』いつの間にか消えていた4つの設定
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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