<この記事にはTVアニメ、原作漫画『葬送のフリーレン』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>
『葬送のフリーレン』は魔王が倒されたところから物語が始まるため、魔王を倒した勇者パーティーのうち、フリーレン以外の実力は明らかになっていません。たびたび描かれる過去の回想でその実力が語られることはありますが、フリーレン以外の勇者パーティーはどのくらい強かったのでしょうか──?
◆勇者の名は伊達じゃない! 老人になっても強かったヒンメル
まずは、勇者パーティーのリーダー的存在であるヒンメルからその実力を見ていきましょう。
ヒンメルの強さが一番分かるのは、原作漫画「第118話 フィアラトール」です。
この話は、女神の石碑を目指していたヒンメルたちの元へ魔族たちが襲い掛かり、ヒンメルとフリーレンが七崩賢の一人である奇跡のグラオザームの精神魔法に囚われたところから始まります。
ヒンメルとフリーレンは結婚式を挙げる夢に囚われますが、2人はこれが現実ではないことに気がつきました。ヒンメルはフリーレンに打開策を求めて力を借り、なんと精神魔法に囚われたまま感覚を頼りに攻撃を始めたのです。
ヒンメルは研ぎ澄まされた感覚で現実の状況を察知し攻撃を繰り広げますが、普段から魔力探知に頼っているグラオザームには彼の離れ業を理解できません。そしてヒンメルはグラオザームを追い詰め、彼の精神魔法を打ち破りました。精神魔法に囚われたまま攻撃できるのは、さすが勇者といわざるをえないでしょう。
さらに、続く「119話 思い出」では、年老いた後のヒンメルの実力がうかがえます。
この話では、ヒンメルはフリーレンとのとある約束を果たすために、単身で北部高原にある女神の石碑へ行っていたことが明らかになりました。北部高原といえば魔物が多く危険地帯ともいわれている場所。そんな場所に老いた体で訪れただけでなく、なんと単身で魔物を倒していたのは並大抵のことではありません。肉体が衰えても勇者の実力は健在だったようです。
◆実は化け物級の魔力を秘めていた? 僧侶ハイターの実力とは?
続いて、僧侶ハイターの実力を考察していきましょう。
ハイターの実力がうかがえるのは、断頭台のアウラ編で描かれた回想です。
この回想ではフリーレンがヒンメルのパーティーに加わった時の話が描かれています。
この時にハイターは魔力制限をしているフリーレンを見て「魔力は私の五分の一くらいですね」といっていました。
魔力制限をしている時のフリーレンの魔力は、アウラに100年程度の鍛錬を積んだものだと評価されていることから、ハイターは約500年分の修行を積んだ魔力があると推測されます。ハイターがヒンメルと旅に出たのはおおよそ10代の頃と考えられることから、この年でそれだけの魔力を持っているのは十分化け物といえるでしょう。
また、ハイターは僧侶としても優秀な人物です。
ヒンメルたちが七崩賢の1人である不死なるベーゼの結界に閉じ込められたときに、ハイターは無補給無酸素状態でも2ヵ月は生存できる魔法を仲間にかけています。そんな彼にアイゼンは「飲んでいないと本当に優秀だな」といい、フリーレンは「ここには化け物しかいないのか…」と仲間たちの実力にあきれていました。
そんな確かな実力を持ったハイターですが、彼は無類の酒好きで週に1回は二日酔いで役に立たなかったそうです。しかも、そんな時にはアンデッドみたいな顔色をしていたとか。優秀な僧侶なだけに、そのギャップには思わずクスッと笑ってしまいます。
◆頑丈すぎて仲間がドン引き! ダイヤモンドすら握り潰せる戦士
最後に、戦士アイゼンの実力を考察していきましょう。
アイゼンの実力は作中の随所で語られる回想でうかがえます。
たとえば、原作漫画「第30話 鏡蓮華」では、フリーレンが「アイゼンは自由落下程度ならどんな高さでも無傷だったよ」と語っていました。ハイターはそんなアイゼンの姿を見てドン引きしていたそうです。
また、「第115話 親友」ではアイゼンが竜に捕らわれ空から放り投げられますが、フリーレンは「あの程度の高さなら無傷だね」といい、ほかの仲間もあまり心配していません。その後、実際にアイゼンは無傷な姿で地面に横たわっており、フリーレンがいった通りでした。
この通り、頑丈な肉体を持つアイゼンですが、頑丈なだけでなく力も強いようです。
「第97話 観測」では、フリーレンがヒンメルに「ダイヤモンドは?握り潰せる?」といったとき、アイゼンが「俺はダイヤモンドを握り潰せる」といいました。
フリーレンは「そうだね。アイゼンならできると思うよ」といっており、アイゼンがいったことがうそでないことが分かります。
ダイヤモンドは世界一硬い宝石ともいわれており、そんなダイヤモンドを握り潰せるアイゼンは、戦士のなかでもずば抜けた実力を持っているでしょう。頑丈なうえに強靭な肉体を持つアイゼンにハイターがドン引きしていたのもうなずけます。
──フリーレンは作中でヒンメルたちのことを「化け物共め」といっていましたが、こうしてみるとその評価も納得してしまいます。ヒンメルたちが冒険をしていたのは過去のことなのでその実力が語られるのは多くありませんが、フリーレンが彼らの実力を思い出すたびに化け物じみた彼らの評価がさらに上がっていくでしょう。
〈文/林星来 @seira_hayashi〉
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。