平成の時代にブームを巻き起こした『GTO』のドラマが、フジテレビ開局65周年特別ドラマとして41日に放送されますが、私立中学で非常勤講師を務める、鬼塚英吉の年収はどれくらいなのでしょうか?

 また、教頭の内山田や、校長のザビエル(丸山一八)が、どれくらい稼いでいるのかも気になるところです。

 なおこの記事では、『GTO』連載当時ではなく、20243月時点での私立中学校の教師の給料を考察しています。

◆私立中学の非常勤講師の年収は?

 鬼塚の『GTO』時点での年収を調べるため、まずは彼が勤めている東京吉祥学苑中等部の経営状況についておさらいします。

 東京吉祥学苑は、幼等部から短大まで設置されている名門私立のマンモス校です。ほかに姉妹校もあることから、経営状況は悪くなく、運営資金には困っていないと考えられます。

 また、名門私立とされているため、私立中学校の中でも給料面の待遇が良いと予想されます。

 次に、中学教師の勤務形態の種類について。教師には勤務形態がいくつかあり、鬼塚は非常勤講師という勤務形態で働いています。

 非常勤講師とは、自分の受け持つ学科の授業や教材を作るなど、必要なときにのみ出勤し、それ以外の時間は拘束されない働き方です。

 一般的企業でいうところの、アルバイトのようなものだと考えると分かりやすいかもしれません。

 そのため、非常勤講師は月給制ではなく、授業を行ったコマ数で給料が決まります。

 文部科学省が2021(令和3)年に公開した資料「標準授業時数について」では、鬼塚が担当している中学3年生社会科目の授業時数は、年間140コマとされています。

 そして、『求人ボックス』や『教員採用.jp』などの求人サイトを見てみると、私立中学の社会科目の1コマあたりの給与は、おおよそ2000円から4000円であることが分かります。この金額は、講師の実績によって決定されます。

 鬼塚は新任ですが、名門私立に勤めているため、好待遇であると仮定し1コマ3000円とします。

 「140コマ×3000円」で計算すると、42万円程度。さらに、教師はいくつかのクラスで授業を行うため、4クラスを担当していると仮定し、「42万円×4クラス」で年収の合計は168万円です。

 鬼塚は34組の担任を任されているため、担任手当も計算します(のちに入院したことで、担任を冬月あずさに明け渡して副担任になります)。

 公立の学校においては担任手当の制度はありませんが、私立では設定されていることもあり、2021(令和3)年度に公開されたある私立中学校・高等学校の「教員採用募集要項」には、担任手当として月7500円と記載されています。

 その額面を参考に、夏休みを除いた11ヵ月分の担任手当を計算すると、年間で82500円です。

 そして、ボーナス。公立の非常勤講師は、基本的にボーナスは出ません。一方で、私立の学校はボーナスが出る学校と出ない学校に分かれています。額も、学校の経営状況によってまちまち。

 非常勤講師は個人事業主のため、ボーナスが支給されないケースもありますが、東京吉祥学苑は、前述したように生徒数の多い名門校で運営資金が充実していると予想され、鬼塚は問題児クラスの担任を務め学校に貢献していることもあり、ボーナスが出ると仮定します。

 書籍『教師をやめる』などの著者で、フリージャーナリストの前屋毅氏の、2023419日に掲載されていたYahoo!ニュース エキスパートの記事によると、公立高校に準じる給料体系の私立中学校が増えているとされているため、ボーナスの額は東京都教育委員会が公開している「学校職員の給与に関する条例」に基づいて計算します。

 この文書では、教員のボーナスである期末手当と勤勉手当は、6月と12月の年2回支給され、その合計額は毎月支給される給与の約4ヵ月分と記載されています。

 さきほど予想した鬼塚の年収が168万円。それを11ヵ月で割ると、約152000円です。それに4ヵ月分を掛けた数、608000円ほどがボーナスとして支給されると予想できます。

 車や電車で出勤する場合には、非常勤講師でも交通費が支給されますが、鬼塚は学校の屋上の踊り場に住んでいるため、交通費は0円です。

 以上の金額を計算すると、「授業料168万円+担任手当82500円+ボーナス608000円」。合計237500円前後が鬼塚英吉の年収だと考えられます。

 実際の非常勤講師の中には、いくつかの学校の授業を掛け持ちしたり、塾講師いたりして、さらに稼いでいる人もいます。

 しかし、鬼塚はそのような様子がないため、この金額が全額でしょう。

 また、非常勤講師が担任を持つというのは稀なケースであり、『GTO』という漫画だからこそ成り立った雇用形態といえます。

教頭の内山田や校長のザビエルの年収は?

 教頭の内山田や校長ザビエルは、役職を持っている専任教諭のため、鬼塚とは給料の計算方法が違います。

 教員の働きかたは、「常勤講師」と「専任教諭」という勤務形態もあり、常勤講師は一般企業でいう契約社員、専任教諭は正社員のような扱いです。

 非常勤講師は1コマで給料が決められていますが、常勤講師と専任教諭は月給で計算されます。

 近年では私立の学校でも公立と同じく給特法に基づいた給与体系がとられており、常勤講師と専任教諭は文部科学省が定めた「教育職給料表」に則って給料が決定します。

 この表では、役職によって変動する「等級」と、勤務年数や功績などによって上がっていく「号給」の組み合わせによって給料が決まります。

 二人の勤務年数は明言されていませんが、内山田は大学を卒業後すぐに教職につき、51歳と判明しているため、表に則ると、基本給が約47万円6700円であると予想できます。そこに扶養手当や通勤手当、ボーナスなどが上乗せさた約900万円が年収でしょう。

 校長のザビエルの年齢は公開されていませんが、内山田と見た目がそっくりであることから、年齢も近いと予想されます。

 50歳前後の校長の基本給は505200円で、そこに諸手当やボーナスを合算すると年収は約960万円前後。東京吉祥学苑の経営状況を考えると、1000万円を超えている可能性もあるでしょう。

◆可視化されづらくなった問題行動──現代の中学生が抱える闇とは?

 『GTO』といえば、34組の問題児たちが、鬼塚の教師らしかぬ行動によって更生されていく様子が見どころです。

 生徒による教師や同級生のいじめ、不純異性交遊など、漫画が連載されていた当時に社会的に問題となっていた出来事が描かれています。

 『GTO』の舞台である1990年代後半から2000年前半は、携帯電話やインターネットがまだ普及していなかったため、若者たちの問題行動は周囲の目につくものが多い傾向にありました。

 しかし、現代は10代の若者たちもスマホを持ち、日常的にインターネットにアクセスできるようになったことで、問題が複雑化しています。

 特に顕著なのはSNSトラブルです。顔が見えない相手とメッセージや通話が気軽にできるようになったことで、未成年をターゲットにした詐欺や、不純異性交遊の被害が増えたことは、想像に難くないでしょう。

 また、友達同士でのグループチャットにおいても、文面でのやりとりによって誤解が生じ、いじめに発展してしまうケースが少なくありません。

 日本はネットいじめが世界平均の2倍以上であると、セキュリティ関連のソフトウェアを販売するマカフィーが、「Cyberbullying in Plain Sight (見え隠れするネットいじめに関するグローバル調査)」(2022年調査)で発表しています。

 2000年以前は、いじめの現場を目撃した大人が仲裁に入ることもできましたが、インターネットを使うことが当たり前となった現代では、親の目の届かないところでイジメなどのトラブルが増加し、深刻化しているのが現状です。

〈文/伊藤遥〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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