『ガンダム』シリーズでは、上司の無茶振りについていけず、疲弊していった部下の姿などが描かれていますが、次の2人は現実世界で自分の上司になってほしくないキャラだといえます。また、作中で衝撃的な裏切りを見せたキャラも。次の2人の女性の裏切りは、当時の視聴者に大きなインパクトを与えました。
◆上司にしたくない『ガンダム』キャラ
もしも「あのガンダムのキャラ」が上司だったら──。
『ガンダム』シリーズのキャラクターは、戦場という特殊な環境を差し引いてもエキセントリックな人物が多いです。
作中では、無能有能かかわらず、上司の言いなりになって疲れ切ってしまった部下も……。
●プライドは高くツメは甘く──アルベオ・ピピニーデンタイプ
『機動戦士Vガンダム』に登場するアルベオ・ピピニーデン。ピピニーデンタイプの上司はプライドが高くサディスティックです。
野心家で向上心が高いところは長所とも言えますが、肝心のクーデターで裏切られて失敗するツメの甘さを晒しています。プロジェクトを管理する立場で、関係者の意思統一をツメきれず企画倒れになったのは大きな失態です。
また、ウッソの母親を人質にとったように政治的正しさ、いわゆるポリコレ無視の残酷な指示を出すので、部下の心理的ストレスも相当なものになります。
ピピニーデンを慕ってついてきていたはずのルペ・シノには「つまらない男」と愛想をつかされ、士官学校の後輩であるクロノクルからは「見下げはてた先輩だ」とか「もう先輩とは思わん」などえらい言われようでした。
最後は本人のプライドの高さが仇になり、椅子を尻で磨くだけの男で終わりたくないというよく分からない理由で前線に出たがり、あっけなく爆発に巻き込まれました。
あせって目先の手柄に飛びつこうとして大局が見えなくなった、サディスト故に逆境に弱いタイプだともいえます。
●優秀過ぎてついていけない──アムロ・レイタイプ
アムロタイプの上司は本人がとても優秀過ぎるため、待っているのは部下にも同程度の優秀さを求められてしまうという地獄です。
アムロはパイロットとして、リック・ドム12機を3分かからず撃墜できる戦績を持っています。さらに、あらかじめ戦場にハイパーバズーカを置いておき、そこに追い込んだ敵に対して使うという、何手先まで読んでいるのか分からない超絶技巧の持ち主です。
一方でアムロの一番有名なアドバイスがアッシマー戦でカミーユに対して行った「後ろにも目をつけるんだ!」であることからも分かるとおり、独特の言語センスは職場での意思伝達の障害になります。カミーユに通じていなさそうなあたり、ニュータイプ同士なら分かりあえるわけでもないようです。
自分ができるからと言って部下にも同じことができるわけではないので、根気強く教えて育てる必要があるでしょう。
軍属や民間問わずさまざまな天才や努力家のパイロットが集まるゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズでアムロは、精神的支柱となるかっこいい上司をやれています。
しかし『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』において彼は、戦隊を率いず単独行動で戦っていました。アムロ自身もよい上司や仲間にめぐりあって育ててもらう経験を積めていたらよかったのですが、スペシャルとして扱われがちだったため、大勢の凡人を率いて戦うのは向いていないのかもしれません。
詳しく読む⇒「部下と駆け落ち?」「モラハラは当たり前!」……『ガンダム』上司にしたくないキャラ4選
◆衝撃的な裏切りを見せた『ガンダム』キャラ
戦争を題材にしている『ガンダム』シリーズは、1作目からさまざまな裏切りを描いてきました。
一方から見れば裏切りですが、本人の中では一貫性がある場合もあります。しかしその信念の置きどころに納得のいかない場合も……。
●レコア・ロンド──戦場にあって「女でありすぎた」悲劇
『機動戦士Ζガンダム』に登場するレコアは、自分のことを信念を持たないと言っており、エマからは「女でありすぎた」と評価されているキャラクターです。そして正義感ではなく自分の心に従った結果、クワトロのもとを去って敵対勢力のシロッコに走ります。
エゥーゴに所属し、カミーユと出会った物語序盤では諜報活動などの裏方業務を行っていました。
クワトロとも恋仲にあるような描写もあり、カミーユにとってはアムロがマチルダに憧れたような、年上のお姉さん的な存在だったかもしれません。
レコアも物語後半ではティターンズでシロッコの部下となって現れる、予想外の裏切りを見せます。
転機となったのは地球降下作戦で単身ジャブローに潜入し、ティターンズに拘束されたときでしょう。劇中で明言はされていませんが、同時に拘束されたカイ・シデンとの会話からすると、拷問され辱めを受けたらしいことが分かります。その後も男性不信や男性嫌悪の描写がみられることから、拷問によって性的なトラウマを受けた可能性も。
ティターンズに所属してからもバスクの命令でコロニーに毒ガスを撒く作戦の指揮をとらされ、精神的な安定とはほど遠い状況が続きました。
最終局面ではパラス・アテネに登場し、同世代であり、ティターンズを裏切った経歴のあるエマとの戦いに敗れて戦死。
最期のセリフとなった男たちへの深い嘆きの言葉は、多感な時期を戦争の中、1人で生きていくしかなかったレコアのさみしさがこもっています。
●ニナ・パープルトン──「悪女」の銃口の向かう先
ニナは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のヒロインですが、とんでもない裏切りをしたことで『ガンダム』シリーズの悪女として名を挙げるファンも多いです。彼女はガンダム試作1号機と2号機を開発したアナハイム社のエンジニアとして、主人公のコウと出会います。
物語はジオン軍の再興を目指すガトーに強奪されたガンダム2号機の奪還を軸に進んでいきますが、中盤でニナがかつてガトーと交際していたことが明らかに。
コウとも恋仲になり始めた矢先、今彼と元彼が争う状況に動揺しますが、決定的な事態が起きたのは最終局面です。
コロニー落としの阻止がかかった決戦の末、コウはガトーを追いつめます。しかしそこに乱入したニナは、あろうことかガトーをかばって銃口をコウに向けました。
「主人公である今彼ではなく元彼を選ぶの!?」と視聴者が驚いた瞬間です。
ニナにしてみれば、コウが怒りに任せてガトーを撃ったところでコロニーの落下は阻止できないし、人の命を奪った罪悪感を背負って生きてほしくないという気持ちがあったのかもしれません。
詳しく読む⇒「女でありすぎた」「コロコロと軍を変える」……『ガンダム』衝撃的な「裏切り」を見せた4人のキャラ
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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