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 ガンダムは無敵の象徴に見えますが、すべての機体が戦場で輝けたわけではありません。高性能でありながら本来の力を発揮できなかったNT-1アレックス、量産機に近い運用で傷ついた陸戦型ガンダム、そして「最弱」と語られることもあるマドロック。これらの機体は“ガンダム”でありながら、量産機に苦戦する姿を見せたのでしょうか。

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◆NT-1アレックスはなぜザクII改と相討ちになったのか アムロ専用機の悲しき未完成

 ザクに負けたガンダムとして、非常に強いインパクトを残した機体といえば、 OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場したガンダムNT-1 アレックス(以下、NT-1)です。

 書籍『ガンダムメカニクス (1)』(出版社:ホビージャパン、1998年5月1日)によると、本機はホワイトベース隊所属のアムロ・レイ専用に開発された機体で、型式番号のNTは「ニュータイプ」を意味しています。

 ただ、ニュータイプ専用機ながら、ジオン軍のようなニュータイプの脳波を利用したサイコミュ兵器の類は搭載されていません。本機は特別な能力を機体に与えるのではなく、特別なパイロットである、アムロの操縦能力を阻害しないことを重視しチューンされました。

 そのため、マグネットコーティングを施して、駆動型の摩擦抵抗を軽減し、機体の反応速度や追従性を向上させています。

 ちなみに書籍『機動戦士ガンダム0080・ポケットの中の戦争 2』(出版社:旭屋出版、1998年7月1日出版)によると、ニュータイプ以外のパイロットが乗ると、その過敏な操縦性からシステムが誤作動を起こす可能性があるようです。

 劇中でも、その過敏な操縦特性から、アムロ専用ガンダムであるにも関わらず、目立った活躍は見られません。OVA第4話でも、ケンプファーと対峙した際にはチェーンマインに、チョパムアーマーを破壊されています。最終的には勝利を収めていますが、腕部ガトリングが不意打ち気味に決まったことが大きいでしょう

 そして、第6話におけるザクⅡ改との戦いでは、トラップを仕掛けた地域に誘導されたとはいえ、量産機に翻弄され機体を損傷しています。最終的にはザクⅡ改と斬り合う形で相討ち。パイロットは無事だったものの、機体は中破し、アムロの元に届けることは叶いませんでした。

 そのため、一年戦争では屈指の性能を誇る機体ですが、真の性能を発揮することができず、実践にも投入されなかった悲しき機体となっています。

◆陸戦型ガンダムは本当に強かったのか “規格落ちパーツ”が背負った過酷な戦場

 一年戦争では少数ながらも、量産タイプのガンダムも登場しました。それがOVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場する陸戦型ガンダムです。

 書籍『モビルスーツ全集18 宇宙世紀のガンダムBOOK』(出版社:双葉社、2023年10月13日出版)によると、本機はジムの配備以前に、陸軍の要請に応じる形で開発した機体だといいます。

 本機は、RX-78-2ガンダムを製造する過程で生み出された、品質検査等を通らなかった規格落ち部品で建造されました。ただ規格落ち部品とはいえ、RX-78-2に要求される部品の精度は高かったからか、品質はそれなりに良質となっています。

 一方で、陸戦型ジムとある程度設計、規格を共有化しているため、完全にガンダムのパーツだけで組み上げられているわけではありません。そのため、性能はジムを凌いでいるが、「白い悪魔」と呼ばれるほど圧倒的な性能は有していないようです

 しかも、OVA劇中では密林や砂漠の激しい戦闘に投入されたからか、損傷するシーンも多く見られます。

 たとえば、OVAの第1話冒頭では、いきなり密林の中にもがれた陸戦型ガンダムの頭部が、無造作に放置されている様子が描かれていました。

 また、OVA第9話でもカレン・ジョシュワ機が、奇襲を受けたとはいえ、アッガイに頭部を容易く破壊されています。さらに同話内では、テリー・サンダースJr.の機体が、マゼラ・アタックの砲撃を受け脚部を損傷しました。

 このようにガンダムながら、量産機に痛手を喰らう描写が多く、あまり強くないという印象を受ける人も多いようです。

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◆マドロックはなぜ“最弱”と呼ばれるのか ザクIに敗れた6号機の不運

 弱いとされるガンダムについてはたびたびファンの間で議論されますが、中でも最弱の機体としてよく名が挙がるのがガンダム6号機マドロック(以下、マドロック)です。マドロックは雑誌企画『M-MSV』でデザインされた機体で、ゲームでは『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』にて初めて登場しました。

 本機は書籍『MSV The Second-Generation 1986-1993』(出版社;双葉社、2019年10月19日出版)によると、固定武装の強化を主眼において強化されたようです。マドロックには先に実践投入されたRX-78-2ガンダムのデータを取り入れつつ、ビーム・ライフルの高威力ながらエネルギー切れを起こしやすいなどの課題を補うことが求められました。

 これに対して本機は本体の固定武装として300ミリキャノン砲と、腕部グレネード・ランチャーを装備することで解決を図ろうとしています。キャノン砲はランドセルと一体式。また、機動性の低下を避けるため、脚部にはビーム・サーベルのホルダーを備えた、スラスターユニットなども装備されました。こうした新機軸の機能を実現するため、開発は遅延し実践には投入されなかったとも語られています。

 しかし、ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』のストーリーでは、ジオンがジャブロー侵攻を行った際に、エイガー少尉が実践投入しています。ですが、冷却システムの調整などが不完全だったため、ジオンの闇夜のフェンリル隊に撃破されています。

 その後、完成した状態でキャルフォルニア・ベースに持ち込まれますが、再びフェンリル隊の戦いでゲラートのザクⅠに撃破されました。こうした戦績からファンに「最弱のガンダム」と不名誉なあだ名をつけられることもあります。

 ただ、搭乗したエイガーが本職のパイロットではないうえに、ゲラートのザクⅠはカスタム機であることから、性能で負けたとは言い切れないでしょう。

 

 ──ガンダムという名前には、どうしても「強い機体」という印象がつきまといます。しかし、NT-1、陸戦型ガンダム、マドロックの戦いを振り返ると、機体性能だけでは勝敗を決められないことが分かります。調整不足、戦場との相性、運用環境、そしてパイロットの条件が重なれば、ガンダムであっても量産機に追い込まれることがあるのです。

 だからこそ、これらの機体にはたんなる敗北以上の味わいがあります。無敵の象徴になれなかったからこそ、戦場の厳しさや兵器としてのリアルさがにじむ──。華々しい勝利ではなく、報われなかった戦いの中にこそ、別の意味で記憶に残るガンダムの姿があるのかもしれません。

〈文/北野ダイキ(ガンダム担当ライター)〉

《北野ダイキ》

『Real Sound』などで、アニメ・漫画を中心に執筆するライター。『アニギャラ☆REW』では、『ガンダム』シリーズの宇宙世紀作品をはじめ、モビルスーツの設定、外伝作品、関連書籍などを踏まえた解説記事を担当。定番の人気機体からマニアックな機体まで幅広く取り上げ、作品を見返すきっかけになるような情報整理を得意としている。

 

※サムネイル画像:バンダイ ホビーサイトより 『「HGUC 1/144 ガンダム NT-1」 (C)創通エイジェンシー・サンライズ』

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