2024年に誕生から50周年を迎えたサンリオの『ハローキティ』(以下、『キティちゃん』)。世界の著名人もファンを公言するほど知名度の高いキャラクターですが、実は家族のことや、知られていない設定が数多くあります。
◆キティちゃんの意外な本名とは?──実は双子の妹もいて……
「ハローキティ」の愛称で親しまれているキティちゃんの本名は、サンリオの公式Webサイトで「キティ・ホワイト」だと明かされています。
家族は、両親と祖父母、そして双子の妹の「ミミィ」です。左耳の付け根に赤いリボンを付けているキティちゃんと見分けがつくように、ミミィは右耳の付け根に黄色いリボンを付けているのが特徴です。
本名は「ミミィ・ホワイト」で、サンリオピューロランドの公式Webサイトでは「ハローミミィ」とも呼ばれています。
公式プロフィールによると、キティちゃんの趣味は「クッキー作り」、将来の夢は「ピアニスト」か「詩人」。好きな食べ物は「ママの作ったアップルパイ」。身長は「リンゴ5個分」で体重は「リンゴ3個分」とのこと。
性格は「いつも元気いっぱい」「ちょっぴりおてんばで、明るくてキュート」「みんなをHappyな気持ちにさせてくれる、とってもやさしい女のコです」と紹介されています。
一方で、ミミィの特技は「ししゅう&パッチワーク」で、好きな食べ物は「おばあちゃんが作ったプディング」。将来の夢は「お嫁さん」。
性格は「ちょっぴり内気で、はずかしがり屋さん」「手芸や家庭科が大好きな、とっても女のコらしい女のコ」です。
キティちゃんとミミィの性格は対照的ですが、とても仲良しな双子です。
ネット上では「キティちゃんが双子だと知らなかった」という声も少なくありません。
◆キティちゃんは猫じゃなかった!?──実は猫を飼っている
2004年、サンリオから新キャラクターとして「チャーミーキティ」というペルシャ猫の女の子が誕生しました(以下「チャーミー」)。
チャーミーはキティちゃんのパパであるジョージ・ホワイトがキティちゃんの誕生日にプレゼントした猫で、とてもチャーミングだから「チャーミー」と名付けられたのだとか。
ボーイフレンドのディアダニエルから誕生日にプレゼントされたジャンガリアンハムスターのシュガーとチャーミーは大の仲良しとのことです。
チャーミーが誕生した当初、世間からは「キティちゃんは自分が猫なのに猫を飼っているのか?」という驚きの声も出ましたが、実はキティちゃんは猫ではありません。
2014年、海外ニュースサイト『Los Angeles Times』にて、ハワイ大学の人類学者であるクリスティン・R・ヤノ教授は、キティちゃんについて「彼女はマンガのキャラクターです」「小さな女の子であり、友達です。けれども、彼女は猫ではありません」「彼女は、一度も4本足の姿で描かれたことはありません。彼女は二足歩行する生き物のように、歩いたり座ったりします」と語っています。
さらにヤノ教授はキティちゃんのことを「イギリス人」だと断言しており、猫ではなく「一人の少女」として扱っています。
なお、サンリオの公式設定では、キティちゃんはイギリスのロンドン郊外で生まれたとされています。
◆キティちゃんにはなぜ「口」がない?──サンリオが明かした2つの深い理由とは
キティちゃんといえば基本的にポーカーフェイスですが、時にはニッコリと微笑むこともあります。ですが、そのときもキティちゃんの口元が描かれることはありません。
キティちゃんに口がない理由について、サンリオは2つの理由を述べています。
まず1つ目は、やさしさや思いやりは言葉ではなく態度で示すべきだというメッセージが込められているためです。2018年2月発行のサンリオの機関紙『月刊いちご新聞600号』では、「みなさん、キティちゃんのお顔をよく見てみてください。キティちゃんにはお口が描かれていませんね。どうしてなんでしょう?目や耳やお鼻はあるのに、お口が描かれていない・・・それには理由があるのです」「実はそこには、やさしさや思いやりは口(言葉)で言うだけではなく、態度で示しましょう!というメッセージが込められているのです」「困っている人には、相手の気持ちになって自ら進んで手を差し伸べて助けてあげることが必要だと、キティちゃんは私たちにそっと教えてくれているのです」と綴られていました。
2つ目は、見る人に表情を想像させるためです。同じく2018年2月に、朝日新聞社が運営する総合ニュースサイト『withnews』がサンリオの広報担当者と当時のデザイナーにインタビューした際、デザイナーはキティちゃんの口を描かない理由について「口を描くことによって、キティは固まってしまう。口を描くことで、語りかけてくれなくなる。無表情だけど、何かを語りかけてくれる顔。それこそが、見ている人にとって癒やしになる。怒っているとか、笑っているとか、泣いているとか、キティは相手に感情を押しつけない。空気のようにそこで見ていてくれる。それがずっと一緒にいられる秘密なんじゃないかしら」と語っていました。
キティちゃんのかわいらしさは単なる「デザイン」ではなく、誰かを思いやる優しさが詰まったものなのでしょう。
──世界中の人から愛される『ハローキティ』ですが、かわいいだけではなく、サンリオの企業理念である「みんななかよく」を体現したキャラクターであることが分かります。
これからも60周年、70周年とサンリオで確固たる人気を維持していくのかもしれません。
〈文/花束ひよこ〉
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