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※本記事にはTVアニメ・漫画『北斗の拳』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・漫画『北斗の拳』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 『北斗の拳』の中でも特に異彩を放っていたキャラクター「デビルリバース」。「なんでこんなに巨体なんだ?」「どうやって捕まえたんだ?」など、誰もが一度は疑問を感じたことでしょう。しかし外伝作品や作中描写をたどると、彼は本当にただの極悪人だったのか、少し違う見方も浮かび上がってきます。

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◆デビルリバースはなぜ巨大なのか 放射能、遺伝子操作、伝説の巨人説まで

 『北斗の拳』ではウイグル獄長や山のフドウのように、演出として実際の身長よりも誇張して大きく描かれるキャラクターが少なくありません。しかし、そんな演出の域を遥かに超えるほどの巨体で登場したのがデビルリバースです。

 公式設定で身長185cmあるケンシロウを片手で掴めそうなことから、その体格は推定で20m近くあったと考えられます。それでは、なぜデビルリバースはこれほどまでに大きくなったのでしょうか。

 考えられる理由としては、やはり放射能の影響による巨体化の可能性が挙げられます。この設定は、1954年に公開された映画『ゴジラ』をはじめ、多くのアニメや漫画などのエンタメ作品で描かれてきました。

 基本的に核実験や原子力事故が動植物に影響を及ぼし、突然変異で巨大化するケースが多いのです。まさに『北斗の拳』も核によって崩壊した世界が舞台となっており、その影響が人体にも起こったとしたら、巨体化の設定にも辻褄が合います。ただし、そうなると影響がデビルリバースだけという局所的な理由について、腑に落ちない部分が出てきますが……。

 実は、原作では明かされなかったデビルリバースの巨体の理由について、複数の外伝作品で興味深い設定が描かれているのです。

 まず1つが、『蒼黒の餓狼 -北斗の拳 レイ外伝-』。この作品では、某国の科学者たちが遺伝子操作によって生み出した生物兵器の中に、デビルリバースを思わせるキャラクターが登場しています。

 そして2つ目が、『北斗の拳 イチゴ味』のコミックス第9巻に収録されたデビルリバース外道伝『リバース サイド デビル』。この作品では、「ビレニィプリズン」が牢獄ではなく軍の研究施設となっていました。

 そして、デビルリバースの正体は、数千年前の南米古代文明が魔術や医学を駆使して生み出した「伝説の巨人」であることが判明します。ちなみにこの外伝では、デビルリバースが軍隊によって捕獲された経緯も明かされているのです。

 もちろん本編とは異なる設定ではありますが、少なくとも制作側も「普通の人間では説明できない存在」として捉えていたということでしょう。遺伝子操作の生物兵器か、伝説の巨人か、はたまた王道の放射能の影響か、最終的にはやはり読者の判断に委ねられるのかもしれません。

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◆デビルリバースは本当に悪人だったのか 母を思う姿に残るもう一つの解釈

 デビルリバースは、過去に700人もの命を奪い、13回の死刑執行を生き延びた末、最終的に懲役200年という判決を受けた「悪魔の化身」と紹介されています。

 しかし、彼がなぜ700人もの命を奪ったのか、これほどの巨体に怪力と優れた拳才を持っているにも関わらず、なぜ大人しく幽閉されていたのか……、そういった背景はまるっきり説明されていません。

 むしろ、劇中では母と偽の兄・ジャッカルを思って戦う姿しか描写されていません。そもそも、新作アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』第10話でも描かれている通り、デビルリバースは本気を出せば鎖も引きちぎれるのです。

 この事実からも、死刑執行のタイミングで反抗することもできただろうし、脱獄も可能だったのではないかと推察できます。つまり、それをしなかったということは、デビルリバースは自らに下された判決を受け入れ、おとなしく服役生活を送っていたとも捉えられるのではないでしょうか。

 さらにジャッカルによると、デビルリバースの母親は息子のことをずっと擁護し続けていたといいます。もちろん、親子の情がそうさせていたとも考えられるでしょう。

 しかし、本当に救いようのない極悪人であれば、いかに母親といえどもそこまで信じて庇い続けることはできなかったのではないでしょうか。そう考えると、もしかしたらデビルリバースは本当に母親思いの息子だったのかもしれません。

 また、デビルリバースほどの巨体を持っていれば、否が応でも目立ってしまい、平穏な人生を送ること自体が困難だったはずです。たとえば、軍事利用をねらわれたり、研究対象として追われたりする可能性もあったでしょう。

 そうなると、デビルリバースの愛する家族にまで被害が及ぶかもしれない……。そうした家族を守るために、羅漢仁王拳を習得し、降りかかる火の粉を払うためにやむなく他人の命を奪った可能性まで考えられるのです。

 余談ですが、2018年3月にセガゲームスより発売されたアクションアドベンチャーゲーム『北斗が如く』では、デビルリバースはケンシロウにとどめを刺されず生存します。そして、のちにサウザーの襲撃によって半壊した町を復興するためにその巨体を活かして協力する姿が描かれています。そんなデビルリバースの姿は、「悪魔の化身」とは程遠いものでした。

 

 ──デビルリバースは、原作ではわずかな登場ながら、圧倒的な巨体と「悪魔の化身」という強烈な肩書きで読者に大きな印象を残しました。しかし、外伝作品で描かれた設定や、母親を思って戦う作中描写を重ねると、彼を単なる極悪人として片づけるだけでは見えない一面もあります。

 本当に彼は生まれながらの悪魔だったのか。それとも、普通ではない体と力を持ってしまったことで、世紀末の世界に翻弄された人物だったのか。そう考えると、デビルリバースの短い登場回も、ただの怪物退治ではなく、どこか悲しさを含んだエピソードとして見えてくるかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で約10年にわたり編集業務に従事した元編集者。男性向けライフスタイル誌やムック制作のほか、漫画編集者としての経験も持つ。現在はフリーライターとして、映画・アニメ・漫画などサブカルチャー領域を中心に記事を執筆。漫画考察記事では、元編集者の視点を活かし、作品内の描写や設定を論理的に読み解く記事制作を得意としている。

 

※サムネイル画像:アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』公式サイトより 『「北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-」第10話 場面写真 (C)武論尊・原哲夫/コアミックス, 「北斗の拳」製作委員会』

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