<PR>
<PR>

※本記事にはTVアニメ・漫画『北斗の拳』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・漫画『北斗の拳』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 マミヤが人知れず涙を流した瞬間、レイにとって彼女はただの「いい女」ではなくなったのかもしれません。新作アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』第11話では、原作の流れをなぞりながらも、レイがマミヤを見つめ続ける場面や、花の描写に細かな意味を感じさせる演出がありました。2人の心情をたどると、この出会いが後の関係につながっていく理由も見えてきます。

<PR>

◆レイはいつマミヤを特別に見たのか 弟を失った“涙”に重なった自分の痛み

 レイとマミヤの関係は、作中でも屈指の「愛の形」を説いた関係だったのではないでしょうか。

 レイは、初めてマミヤを見たときから「いい女だ」と言っていた通り、最初から好意的な印象を持っていたことが分かります。その後、村人のコウが牙一族に捕まり命を奪われた際も、非情ともいえる判断を下したマミヤを高く評価していました。

 しかし、コウがマミヤのたった一人の弟だと判明すると、レイのマミヤに対する見方が明らかに変わるのです。それが分かるのが、マミヤが両親の墓にコウが命を落としたと報告をするシーン。

 弟を亡くしたマミヤに対して連れ添っていた長老は、「こういう時は泣いてもいいんじゃよ」と優しく諭していました。しかし、マミヤは皆の命を守る義務があるからと決して涙を見せなかったのです。

 「自分のことよりも使命を優先する生き方」──。マミヤの生き方は、実はレイの生き方と通ずるところがあります。レイは妹・アイリを「胸に7つの傷を持つ男」に攫われて以来、今までの生き方と人間の心を捨て、“餓狼”として生きる人生を送ってきました。

 そんなマミヤでしたが、長老が立ち去り一人きりになったとき、初めて涙を見せます。この瞬間、影からケンシロウとレイが見守っていたのですが、ケンシロウが立ち去ったあとも、レイだけはマミヤの後ろ姿を見守り続けていたのです。

 ケンシロウは、マミヤの涙を見て義憤に駆られて牙一族の元へ向かう一方で、レイだけはマミヤの気持ちが痛いほど分かるから目が離せなくなったのだと考えられます。なぜなら、レイもまた兄妹を失う辛さを知っているからです。

 レイは、自分と同じような生き方をする女性が、本当は人知れず涙を流す普通の感性を持つ女性であることを知ったのです。涙する彼女を見た瞬間、レイにとってマミヤという女性が特別な存在になったのではないでしょうか。

 そして、義星の宿星を持つレイだから、本来のマミヤの姿を見て、自分と同じ生き方をしてほしくないと彼女の幸せを願ったのでしょう。

 だからこそレイはのちに、マミヤにたった一つの願いを語っています。「たとえ一瞬でもいい。女として生きろ。女の幸福を求めるのだ!!」と。

◆なぜ花はスイートピーに変わったのか マミヤとリンの未来を映す演出

 マミヤの村に到着したリンたちが驚いていた「花」ですが、原作でタンポポが描かれていました。一方で、新作TVアニメ第11話で描かれた「花」はピンク色のスイートピーに変更されています。実はこの変更には何かしらの意図があったのかもしれません。

 「もう花なんて咲かないかと思っていた」と言うリンに対し、マミヤは「その花はあなたたちの幸福な未来を示しているのよ」と語っています。つまり、この花には、マミヤの想いが込められていることが分かります。

 実はタンポポの花言葉は「神託」や「真心の愛」を意味するのに対し、スイートピーの花言葉は「門出」「永遠の喜び」を意味するそうです。このことから、現実でも新生活を迎える人への応援の贈り物としてスイートピーが選ばれることが多いといいます。

 もしかしたら、マミヤは村にいる人たちの「永遠の喜び」を願い、そして新たに独り立ちをする仲間たちの「門出」に向けてスイートピーを植えていたのではないでしょうか。

 またここでは、花は好きかと問われたリンが、「うん……覚えているわ。パパやママと公園に行くと咲いていたこと」と幸せだった時間を懐かしんでいる描写もあります。

 実は、スイートピーにはもう一つ「優しい思い出」という花言葉もあるそうです。もしかしたら、マミヤの想い、そしてリンのエピソードをくんで、アニメ製作陣がスイートピーに変更したのかもしれません。

<PR>

◆なぜ長老は自ら用心棒を探したのか マミヤが村に必要だった理由

 これまでもいろいろな村が登場し、それぞれさまざまな問題を抱えていました。たとえばミスミの村では、食料問題を解決すべく「種モミ」を求めたり、バットの故郷の村では井戸を掘るための男手を探していたりしていました。

 基本的に村の外に解決策を求めるケースが多いのですが、ここで注目したいのは問題解決の交渉役として旅立つ人物です。今まで登場した交渉役は、ミスミにしろ、タキにしろ、村において重要なポジションにはついていません。

 しかしマミヤの村では、用心棒のスカウト役をなぜか村の長老が買って出ているのです。この理由として考えられるのは、やはりマミヤの存在が大きいのでしょう。

 村では、あくまでも年長者の経験から長老が村人を気に掛ける場面がありますが、村の管理に関しては基本的にマミヤが担当していると考えられます。実際に、レイは村のリーダーをマミヤと認識していましたし、問題が起こった時も村人たちはマミヤの判断に頼っていたことが伺えます。

 すなわち、言い方は悪いですが、有事の際は長老よりもマミヤのほうが村にとって必要な人材だったと推察できるのです。一方で、用心棒のスカウトは村の存亡にも関わる重要な判断が必要だったとも考えられます。つまり、村の意思決定ができる代表者として、長老自らが交渉に赴かざるを得なかったのかもしれません。

 そんな長老が苦労して連れてきた用心棒たちですが、どうやら新作アニメ第11話を見ている限り、その多くの男たちはマミヤのブレード付きヨーヨーで頭をかち割られてしまったようです。中には心優しい人物もいたかもしれないのに……。

 美女が問答無用で命を奪いに来る状況……、さすがは世紀末。世も末だということでしょう。

 

 ──新作アニメ第11話は、レイとマミヤの出会いを原作に沿って描きながらも、視線や花の描写によって2人の心情をよりていねいに見せていたように感じられます。弟を失っても人前では涙を見せなかったマミヤと、その姿に自分の痛みを重ねたレイ。2人が惹かれ合う理由は、単なる一目惚れではなく、同じように大切なものを奪われた者同士の共鳴だったのかもしれません。

 また、スイートピーに込められた「門出」や「優しい思い出」という意味を重ねると、マミヤの村に咲く花もただの背景ではなく、過酷な世紀末で未来を願う象徴のように見えてきます。細かな演出を拾いながら見返すことで、レイとマミヤの関係はさらに切なく、深いものとして映るのではないでしょうか。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で約10年にわたり編集業務に従事した元編集者。男性向けライフスタイル誌やムック制作のほか、漫画編集者としての経験も持つ。現在はフリーライターとして、映画・アニメ・漫画などサブカルチャー領域を中心に記事を執筆。漫画考察記事では、元編集者の視点を活かし、作品内の描写や設定を論理的に読み解く記事制作を得意としている。

 

※サムネイル画像:アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』公式サイトより 『「北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-」第11話 場面写真 (C)武論尊・原哲夫/コアミックス, 「北斗の拳」製作委員会』

<PR>
<PR>

※タイトルおよび画像の著作権はすべて著作者に帰属します

※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

※無断複写・転載を禁止します

※Reproduction is prohibited.

※禁止私自轉載、加工

※무단 전재는 금지입니다.