まだまだ能力等に謎を秘めたヒソカですが、実は物語序盤で登場したキャラが彼と互角、もしくはそれ以上に強い可能性があります。また、『HUNTER×HUNTER』は実力主義が目立ち、力なきものは物語から無惨にも退場していくのが特徴の漫画です。
◆ヒソカと戦ってほしかったキャラ
キメラアント編以外で多くのキャラクターと絡んでいるヒソカは、『HUNTER×HUNTER』において強さの指標となっている重要人物です。戦ってはいないですが、実はヒソカよりも強い可能性がある、序盤に出ていた意外なキャラクターもいます。
●ハンター試験で遭遇したメンチとサトツはかなりの実力者
第287期ハンター試験でヒソカは、試験官を務めていたメンチとサトツの実力を高く評価していました。彼女らの登場シーンは限られているので強さや能力は謎ですが、2人ともヒソカより強い可能性があります。
ヒソカはメンチやサトツが姿を現したときから、ずっと殺気を向けてケンカを売っていました。これはヒソカが2人と戦いたがっていた証拠です。
実際、第1次試験のヌメーレ湿原では人面猿が化けた試験官が本物であるのかを確かめるため、サトツを攻撃して挑発しています。サトツがこの挑発に乗って戦いになっていたら、ヒソカにとってはシメシメな状況だったでしょう。
しかし、サトツはヒソカの意図を悟っていたため、次から攻撃したら即失格にすると釘を刺します。これによって、ヒソカは露骨に動けなくなり、試験官をイライラさせるため殺気を向け続けました。
これに対してメンチの相方であるブハラが、ヒソカの殺気を感じ始めたのは第2次試験で候補者が全員不合格になってからでした。つまり、ブハラは挑発していなかったということで、ヒソカにとっては戦っても楽しくない相手ということでしょう。
ヒソカはクロロやジンなど自分より強い相手は追いかけ、弱い相手からはうらみを買って自分に戦いを挑んで来るように仕向けます。その行動原理から考えると、メンチとサトツから仕掛けるように仕向けていたということは、彼らはヒソカより弱いと判断していたのかもしれません。
しかし、このときのヒソカには特別な事情がありました。彼はクロロと戦うために幻影旅団に入りましたが、ハンター試験に挑んだのはその目的を果たすためです。
幻影旅団の活動が終わるとすぐ姿をくらますクロロを追うには、情報を得るため、ハンターライセンスがないと入れない場所に行くためにもハンター試験に合格する必要がありました。しかもヒソカは昨年のハンター試験で、気に入らない試験官をボコって不合格になっています。
そのため、メンチとサトツに自分から戦いを挑みたかったものの、さすがにハンター試験合格を優先して我慢していた可能性もあります。そう考えると、まだ実力が明らかになっていないメンチとサトツは、この時点でヒソカより強かった可能性があるでしょう。
ハンター試験でメンチとサトツがヒソカと戦っていたら、実力伯仲のおもしろい戦いが見れたのではないかと思います。メンチとサトツが今後のストーリーに絡んでくる可能性は低く、死後強まる念によってよみがえった現在のヒソカなら彼らを圧倒するかもしれません。
●グリードアイランドで出会ったビスケ
ヒソカはグリードアイランドで再会したゴンやキルアの成長ぶりを見て、ビスケが師匠であることを見抜きました。ヒソカが彼女と戦いたがっていた様子はないことから戦闘に長けた使い手だと思っていなかったようですが、これは格上のビスケが上手く隠していたと考えられます。
会長選挙でヒソカが十二支んの品定めをしたとき、ピヨンには77点をつけていました。そのため、一流のハンターでも戦闘力がヒソカ並みに高いというわけではなく、ビスケも同じタイプだと判断したのでしょう。
しかし、ビスケは本来の筋肉隆々のたくましい姿から、普段は少女姿に変えています。完全に猫を被っているわけですが、これは外見だけでなく能力についても同じです。
そのため、彼女が強さを発揮するのは本来の姿のときになります。ゴンがヒソカと組んでレイザー攻略に挑んでいるときも、ビスケは本来の姿を見せることはありませんでした。
もし正体をさらしていたら、おそらくヒソカは彼女と戦いたがって、ややこしいことになっていたでしょう。長生きしているだけあって、ビスケのほうが1枚上手だったといえるでしょう。
また、ビスケの実年齢は57歳であり、経験も豊富です。このことから本気のビスケであれば、ヒソカを上回る実力を持っていると考えられます。
詳しく読む⇒意外なキャラが「実はヒソカより強い?」 『HUNTER×HUNTER』ヒソカと戦ってほしかったキャラ
◆ 『HUNTER×HUNTER』“トラウマ級”の死亡シーン
『HUNTER×HUNTER』では、少年誌とは思えないトラウマ級の凄惨な死亡シーンが登場することがあります。しかし、ただ残酷なだけでなく、一つの判断を間違うだけであっさり命を失ってしまう『HUNTER×HUNTER』の厳しい世界が表現されているといえるでしょう。
次のキャラは読者に衝撃を与えて、この世から去っていったキャラクターたちです。
●目の前で自分の心臓をつぶされるジョネス
ハンター試験で試練官として登場した解体屋ジョネスは、キルアに心臓を抜き取られて死亡します。目の前で自分の心臓を握りつぶされるという演出、このときのキルアの残虐性をはらんだ表情は秀逸です。
異常な指の力を持つジョネスは、少なくとも146人の命を奪っています。しかも、警官の腕の肉をこそぎ取ったり、11歳の少年の内臓を生きたまま取り出したりと犯罪内容がむごたらしく、被害者の体を最低でも50以上のパーツに分解していました。
このザバン市犯罪史上、最悪の連続殺人犯は、キルアとの勝負の前には「久々にシャバの肉をつかめる」とドヤ顔全開で石壁を指で握り壊します。さらに彼はキルアに向けて、「お前はただ泣き叫んでいればいい」と口のほうも絶好調。
しかし、勝負が始まると一瞬にしてジョネスの横を通り抜けたキルアの手の上に、心臓があったことに衝撃を受けた読者も多いでしょう。おそらく抜き取られた自分の心臓を目の前で握りつぶされた経験がある人はこの世にいないハズ。
そのため、ジョネスのリアクションは、冨樫先生が考えた完全なフィクションになるでしょう。しかし、あれだけイキり倒していたジョネスが自分の心臓だと気付くと、急に弱気な顔になり「か…返…」とつぶやく演出には大きな説得力があります。
また、心臓を抜き取られても振り返ったり、しゃべったりできていたジョネスが倒れるタイミングも絶妙。キルアに心臓を握りつぶされた精神的ダメージ、突きつけられた絶望によって絶命した感じが伝わってきます。
ジョネスのこれまでの犯罪を考えると当然の報いではありますが、読者にとってはトラウマになりかねない死亡シーンでした。
●ネフェルピトーにクチュクチュされるポックル
ポックルがネフェルピトー(以下、ピトー)に脳をクチュクチュされている場面は、『HUNTER×HUNTER』で1番のトラウマシーンといっても過言ではないでしょう。しかも、用済みになったらブタの姿をしたキメラアントに、あっさり肉団子にされてしまいます。
キメラアントに捕まったポックルですが、奥歯に仕込んだ解毒剤でなんとか這いずって隠れていました。レアモノであるポックルを探しに来たラモットたちにピトーが合流したときも、その場から去ろうとしていたので逃げ延びたかと思いきや……。
ピトーの「ところでさ……何で骨の下に生きた人間がいるのかな?」という言葉には、ポックルだけでなく読者も大きな絶望感を抱いたことでしょう。しかし、ポックルの死はハンター試験に合格した時点で既に決まっていたように思われます。
このときビーンズは、ハンターに合格した者の5人に1人が、1年以内に何らかの形でライセンスを失くしていると述べています。そして、287期のハンター試験の合格者はゴン、クラピカ、レオリオ、ハンゾー、ヒソカ、イルミ、ポックルの7人です。
つまり、統計からすると、このうち最低でも1人はハンターライセンスを失います。そして、「何らかの形でライセンスを失くす」には、当然本人の死亡も含まれるでしょう。
合格者7人の中でその後の重要性と強さを考えると、ハンターライセンスを失うのはポックルである可能性が高いです。また、キメラアントの王メルエムが強い存在として生まれるにはレアモノを食べさせる必要があり、それにはポックルが適任だったということでしょう。
ただ、ポックルが死亡したのはハンター試験に合格してから1年半近くが経過してからでした。それだけ287期の合格者が、優秀なメンバーばかりだったということでしょう。
詳しく読む⇒「あのキャラ」は最初から死ぬ予定だった? 『HUNTER×HUNTER』“トラウマ級”の死亡シーン4選
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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