クラピカはハンター初心者から、マフィアのボスにスピード昇進しました。同期のハンター試験合格者の中でもかなりの出世頭ですが、上に行くために必要な素質を持ち合わせているクラピカが昇進していったのは必然と言えるでしょう。

 社会人ライフをお過ごしの皆さんは今年度の昇進に喜ぶ人や、「来年こそは」と目標達成に燃える人様々かと思います。社会人生活を送る上で、クラピカから学べることがあるかもしれません。

◆目的意識と達成への執念

 何といっても出世するために一番と言っていいほど大事なものは、目的意識を持つこととそれを絶対に達成しようという執念でしょう。

 クラピカには「仲間の緋の目を取り戻し旅団に復讐する」という明確な目的意識があり、そのためにマフィア組織・ノストラードファミリーの護衛団員として雇われました。

 結果としてライセンス取得後、まもなく仕事を請け負った実績ゼロのハンターにもかかわらず、短期間でボスにまでのぼりつめます。

 筆者が務めた会社の同僚に、渡されたタスクをひたすら言われた通りにこなす人がいました。

 一見正しい会社員の姿に見えますが、その人は資料の作成について「何を目的とした資料か理解してから作成してほしい」と注意を受けます。

 その注意を受けた資料を見てみると、あまり重要でない情報まで詳細に書き記してあって、逆に分かりづらかったです。その人はとても気が回る人でしたが、評価や昇進といった言葉からは少し縁遠いところにいました。

 クラピカほどスケールの大きい目的意識を持つ人は少数派かもしれません。しかし大なり小なり仕事に対して目的意識を持つことはゴールを意識することにつながり、さらに達成するための最善の方法を考えることにもつながります。

 そしてそれは出世の第一歩になるとさえ言っても過言ではないでしょう。

◆優れた観察力がある

 観察力に優れ状況を把握できる人は、チームワークを取ることにもつながり周囲から慕われやすいでしょう。

 クラピカの観察力はノストラードに護衛団として雇われる際の試験で、フルに活かされていました。クラピカは試験の説明をしたダルツォルネが本当の依頼主ではないこと、ノストラード邸から生きて脱出する試験の際に襲ってきた敵が念で操られていること、受験者の中にその敵を操っている人がいることをあっさり見抜いています。

 またヨークシンのオークション会場に襲撃があった際に、ダルツォルネがその犯人を捕まえたら褒美を出すとマフィアに指令を伝えます。

 そのときクラピカは功名心が先走って組織同士の連携ができなくなるため、褒美は逆効果だとセンリツと話しています。のちにクラピカはセンリツの一声でリーダーに推薦されますが、このような観察力を目の当たりにしたことも推薦された要因でしょう。

 強い目的意識があっても決して自分だけしか見えていない状態にはならず、常に周囲に注意をはらうことが大事です。そしてチーム全員でタスクを完了させるということを念頭に置き、進歩の遅い人がいたら手伝うなど連携を取ることが大切となります。

 チームワークを意識して仕事をすれば、おのずと周囲から「周りを見てくれている」と評価され、出世につながりやすいでしょう。

◆スピーディで的確な判断

 判断が早くかつ的確な人についていきたいと思う人は多く、こうした特徴もまた自然と周囲からリーダーに推薦されやすいでしょう。実際にセンリツがクラピカを推薦した理由としても、「適切な判断力があると思う」と言っています。

 ヨークシンでのオークションが襲われた際に護衛団のメンバーやリーダーのダルツォルネが殉職し、オークションが中止になりました。しかしノストラードファミリー組長の娘であるネオンはオークションを楽しみにしており、中止の知らせを聞いたらどんなに暴れるか……という混乱した状況に陥ります。そんな中でもクラピカは、組長のライトから電話で指示を仰ぐという正確な判断を早い段階で下しました。

 そして電話でライトから考えを尋ねられた際にも、ネオンの安全が最優先だと答え信頼を勝ち取っています。

 どんなに混乱した状況であっても、まずは早い段階で報告と上からの指示を仰ぎ、その上で自分の考えを持って行動するという判断の下し方は的確です。ビジネスにおいても「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)がしっかりできる人材は、さまざまな立場の人から信頼されるでしょう。そしてその信頼が、出世の可能性を高めてくれます。

◆組織の乗っ取りも辞さないマネジメント力

 出世に出世を重ね、さらに高みを目指すなら、最終的にはマネジメント力がモノを言うでしょう。

 ネオンの能力が使えなくなったあとのノストラードファミリーは、収入の100%をボディガードと賭博で賄っています。クラピカがボスと呼ばれていることからも、この方針は彼の力によるところが大きいでしょう。賭博は犯罪の香りがしますが、これはクラピカたちの活動する国では合法だと明言されています。

 組織の収入源といえるものを失っても、法の網の目をかいくぐりつつ組織を存続させるマネジメント力の強さがうかがえるでしょう。そして出世をめざすなら最終的に目指すところは頂点なので、出世したあとの行動こそが大事だと分かります。

 法の網の目をかいくぐろうとするのはリスクが大きすぎますが、会社やチームの業績を上げる上で、よりどころにしている人材や資源がなくなっても、それをカバーできるマネジメント力は重要です。

 そしてそこまでできるようになれば、かなり出世街道がひらかれていくでしょう。

 

 ──クラピカは作中では有能な人物として描かれており、出世術としては学ぶものが多くあります。

 しかし念能力の師匠や、元々護衛団のリーダーを務めていたダルツォルネなど目上の人にも強く出てしまうところもあるので、そうしたところをマネしてしまうと、出世に響くかもしれません。

〈文/michel 編集/諫山就 監修/水野高輝(マネーメディア コンテンツディレクター)〉

 

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