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※本記事には漫画『HUNTER×HUNTER』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事は漫画『HUNTER×HUNTER』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 苛烈さを増す王位継承戦の最中、ついに幻影旅団の過去が明かされたコミックス第38巻。旅団の結成までの経緯が描かれているのですが、あらためて過去編を見ると、彼らがどうやって“念”を覚えたのか、彼らの師匠にあたる存在がいた可能性も見えてきます。

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◆旅団メンバーは独学で“念”を覚えたのか 過去編に残る師匠の可能性

 旅団の初期メンバーは、クロロ、ノブナガ、フェイタン、マチ、フィンクス、シャルナーク、フランクリン、パクノダ、ウボォーギンの9人。彼らの過去編を見ると、全員がまだ“念”に開花していなかったことがうかがえます。つまり、彼らは幻影旅団を結成するまでの間に何らかの方法で“念”を習得したことになるでしょう。

 ウイング曰く、一般人はオーラがあふれ出す穴「精孔」が閉じており、“念”の覚醒はこの精孔を「ゆっくり開くか」「無理やりこじ開けるか」の2つの方法しかないと語っています。

 つまり、“念”の習得に旅団メンバーたちもこの2つのどちらかの方法を取ったハズ。そして、第48話で描かれたように、天空競技場で「無理やりこじ開けられた」念能力者たちのほとんどは、身体的な欠損を伴っていました。

 このことからも、旅団メンバーは「ゆっくり開く」ための“念”の師匠と呼べる存在がいた可能性が高いのではないでしょうか。参考例として、2016年6月3日に『ジャンプ+』で公開された『東京喰種トーキョーグール』の作者・石田スイ先生が描いたヒソカの過去編にも注目してみます。

 ヒソカは作中でもトップクラスの念能力者であり、偽装ですが旅団にも入団した過去があります。そんなヒソカですらモリトニオに“念”のイロハを学んでいるのです。もちろん、この作品は公式設定ではありません。

 しかし、同日『ジャンプ+』で公開された冨樫義博先生と石田先生の対談では、編集部を通して冨樫先生から直々に制作の許可をもらって描かれていたことが明かされています。また、冨樫先生もこの作品につながる形でヒソカの過去を描いてみたいと語っており、少なくとも石田先生の解釈が大きくかけ離れたものではなかったことがうかがえるでしょう。

 このように、たとえ高い才能を持つ者であっても、“念”の基礎を誰かから学ぶケースは珍しくありません。そのため、旅団メンバーにもまた、“念”の師匠と呼べる存在がいたとしても不思議ではないでしょう。

◆流星街は子どもたちをどう育てていたのか 乳母衆と男衆に見える教育の仕組み

 コミックス第38巻では、流星街の中で「乳母衆」「男衆」という単語が随所に出てきます。まず乳母衆は、名前の通り乳母の集団だと考えるのが自然でしょう。

 サラサがさらわれた際、クロロたちが乳母衆のところまで探しに行く一コマが描かれているのですが、その様子から乳母衆が孤児を含めてさまざまな子どもの面倒を一任されていたことが推察できます。

 一方で男衆は、ウボォーギンの発言から工場長のところで働いている集団であることが分かります。乳母衆は女性しか描かれていなかったことから考えても、男衆は文字通り大人の男たちのことでしょう。

 ここで注目したいのは、クロロがサラサの悲劇を機に語った3年間の準備に必要なモノとして「犯人に近づくための知恵と道具。犯人を見つけた時に必要な力と技術」だと語っている点です。

 まず「知恵」ですが、エンバーマーのレンコはマチが自分のところに来る場合、「乳母衆の許可」を得ることを条件にしていました。このことから、流星街の外に出るためには許可が必要で、おらくそのために必要な「知恵」や「知識」を乳母衆から教わっていたのではないでしょうか。

 そして「道具」に関しては、工場長がいることからも男衆が担当していたと察せられます。そうなると、必要な「力と技術」こそが“念”だと考えられるのです。

 第395話で語られている通り、流星街では住人狩りが横行しており、それらの危険から独自の体系で子どもたちを守っていたと考えられます。そして、街全体で外界と渡り合える人間を育てていたのではないでしょうか。その中に、“念”の教育がシステムとして組み込まれることも、流星街なら十分にあり得るのかもしれません。

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◆マチとパクノダはレンコに学んだのか “念糸縫合”と制約助言のつながり

 ここで疑問なのは、誰が“念”の教育を担当していたのかです。実は、過去編で念能力者と判明している人物が2人登場しています。まず1人は、第397話に登場したエンバーマーのレンコ。

 レンコの出自は不明ですが、流星街の関係者とつながりがあることからも、流星街の元住人と考えるのが自然でしょう。つまり、流星街では外界に出た念能力者とのパイプがつながっていることになります。

 そしてレンコこそが、マチとパクノダ師匠である可能性が非常に高いのです。まず注目したいのは、レンコはマチに対して「乳母衆の許可が下りたらいつでもいらっしゃい」と言っている点。レンコはマチの素質を見抜いた際に、自分がいる場所へのアクセス手段も伝えていました。

 そんなマチが習得したのは「念糸縫合」です。当初マチは、レンコのようなエンバーミング技術を学ぼうとしていました。つまり、「念糸縫合」もレンコのエンバーミング能力から着想を得たのかもしれません。

 象徴的なのが、第356話でヒソカの遺体を綺麗にしようとしていたところ……。過去編を読んだ後に改めて見ると、レンコのエンバーミングを限りなく再現しようとしていたとも考えられます。

 そして、コミックス第38巻のおまけページでは、レンコとパクノダの回想シーンが追加されています。ここでは、レンコがパクノダに対して、「念の制約」について助言する場面が描かれているのです。

 もちろん、「念の制約」は能力者にとって死活問題であるため、無闇に他人に教えるモノではありません。つまり、能力に関係する重要な助言をしていることから察するに、パクノダもまたレンコに“念”を教わっていた一人と考えられるでしょう。

◆クロロの師匠は流星街の長老なのか サンアンドムーンに残る接点

 そして、過去編で登場したもう1人の念能力者が長老です。第395話のナレーションで、「マフィアとの繋がりを増していくのと時を同じくして流星街の長老の中に念能力を覚醒させる者が現れ“報復の掟”となった誓約も生まれた」と語られています。

 この“報復の掟”の能力は、作中の描写からも分かるとおり、第352話のヒソカ戦でクロロが見せた「番いの破壊者(サンアンドムーン)」のコト。クロロの念能力「盗賊の極意(スキルハンター)」の制約から、長老の「番いの破壊者(サンアンドムーン)」を盗んだのか、何らかの形で託されたのかは意見が別れるところですが、個人的には利害の一致から、後者である可能性が高いと考えています。

 なぜなら、第395話で神父・リゾルが、クロロの非凡な才能を見抜き、長老会への参加に推挙しているからです。この頃、長老は流星街の住人が犠牲となる問題を解決できておらず、その糸口としてクロロの独創的な発想に興味を示していました。

 その後、クロロが「幻影旅団」という恐怖のシステムを作り上げることで、問題解決の一役を担っています。流星街を守るという利害の一致は、同時にクロロが長老会との接点を持ち続けていた示唆にもなります。さらにいうと、長老がクロロに“念”を教える動機にもつながるので、必然的にクロロの“念”の師匠が長老である可能性も高まるのではないでしょうか。

 このように流星街では、内と外とで才能のある子どもたちに“念”を教えていたと考えられるのです。

 

 ──先日、『HUNTER×HUNTER』のコミックス最新刊・第39巻が、2026年7月3日に発売されることが、集英社の公式Webサイトにて発表されました。連載再開も期待される中、第38巻を読み返すと、旅団の過去にはまだ多くの手がかりが残されているのかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で約10年にわたり編集業務に従事した元編集者。男性向けライフスタイル誌やムック制作のほか、漫画編集者としての経験も持つ。現在はフリーライターとして、映画・アニメ・漫画などサブカルチャー領域を中心に記事を執筆。漫画考察記事では、元編集者の視点を活かし、作品内の描写や設定を論理的に読み解く記事制作を得意としている。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「HUNTER×HUNTER」第11巻(集英社:集英社)』

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