<この記事にはTVアニメ、原作漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

 TVアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編』は原作が短いためか、TVアニメではアニメオリジナル描写がふんだんに盛り込まれて話題になっています。特に人間関係の描写がアニオリで追加されているようですが、どのような人間関係に注目したらよいのでしょうか?

◆柱と一般隊士の関係

まず、注目したいのが柱と一般隊士の関係です。

 TVアニメでは第3話を使って元柱の宇髄天元の柱稽古が、第4話を通して霞柱の時透無一郎の柱稽古が描かれていました。

 宇髄の柱稽古では稽古の内容はもちろんのこと、宇髄が稽古に出たまま帰らない一般隊士を迎えに行く面倒見がいい姿や、一般隊士たちが柱や炭治郎たちの支えになれるよう強くなると決意をする姿が描かれています。

 時透の柱稽古では時透が一般隊士たちへの思いを語ったりみんなで紙飛行機を飛ばしあったりするほほえましい姿が描かれていました。宇髄の柱稽古も時透の柱稽古も一般隊士たちとの関係が深掘りされているストーリーでしたが、この内容はほぼアニオリ描写です。

 原作では、宇髄の稽古はわずか5コマしかなく、炭治郎が柱稽古に参加して宇髄に挨拶し、10日で次の柱稽古へ向かう許可が出たことしか描かれていません。

 時透の柱稽古も約2ページしか描かれておらず、炭治郎と一般隊士で対応の差が激しい時透の姿が描かれていました。

 このように原作ではほとんど柱と一般隊士の関係が追及されていませんが、なぜアニメではオリジナル描写が多く描かれたのでしょうか。

 理由に挙げられるのが、今後の展開で一般隊士たちが活躍することです。本作は「柱稽古編」の後に「無限城編」へ突入して終わりを迎えます。

 残る強敵は残った上弦の鬼に加え鬼舞辻無惨のみですが、これまでの上弦の鬼との戦いから、例え柱でも上弦の鬼や無惨との戦いでは苦戦を強いられるハズ。貴重な戦力である柱を守るために一般隊士たちが身を挺して活躍することもあるでしょう。

 その際に一般隊士たちの最期をより盛り上がらせるために、原作よりも柱と一般隊士の関係を描いているのかもしれません。

◆柱同士の関係

 次に注目したいのが、柱同士の関係です。

 アニメでは風柱の不死川実弥と蛇柱の伊黒小芭内が一般隊士たちと鬼を追って廃れた城へ侵入するところから始まりました。

 その後、第3話では実弥と伊黒が廃れた城での出来事を振り返り、今後のことを危惧しておたがいに戦って稽古を積もうと提案している姿が描かれます。

 続く4話では実弥と伊黒の修行に時透が参加し、実弥・伊黒vs.時透で修行する姿が描かれました。実弥と伊黒は柱合裁判での様子から馬が合うようですが、時透はこれまでにほかの柱との関係が描かれてきていません。

 今回の修行シーンは時透とほかの柱の関係性をうかがえる貴重な描写でしたが、実弥と伊黒のシーンを含め一連の稽古のシーンはすべてアニオリ描写です。

 原作の「柱稽古編」での柱同士の修行は、アニメのオープニングでも描かれていましたが、実弥と義勇が戦ったのみでほかの柱同士の稽古は描かれていません。それなのになぜ実弥や伊黒、時透の稽古シーンが追加されていたのでしょうか。

 まず考えられるのが、これまで実弥と伊黒の戦闘描写がなかったことです。

 宇髄は遊郭編で、恋柱の甘露寺と時透は刀鍛冶の里編でそれぞれの戦闘シーンが描かれ、柱にふさわしい実力がうかがえます。一方、実弥や伊黒は柱なことから強いと思われますが、これまでに戦闘シーンがなく実力は未知数です。

 原作でのふたりの戦う姿は「無限城編」でようやく描かれますが、アニメではいち早くふたりの実力を明らかにするため、アニオリシーンを加えたのかもしれません。

 また、ほかにも原作では柱同士の関係を深掘りする描写が少ないことも理由に挙げられます。

 原作では、実弥と伊黒が義勇を嫌っていることや、伊黒が甘露寺に好意を抱いていることがうかがえますが、ほかの柱同士の関係はあまり追求されていません。

 特にアニオリシーンが追加された時透は、「刀鍛冶の里編」まで無感情だったため、ほかの柱と交流している姿はほとんどありませんでした。

 しかし、これまでの上弦の鬼との戦いから、上弦の鬼や無惨を倒すには柱同士で協力することが必須のハズ。この先の「無限城編」で柱が協力しあって敵と戦うからこそ、アニメの「柱稽古編」では、柱同士の関係を深掘りするようなアニオリシーンが加えられたのでしょう。

◆今後はどのようなアニオリシーンが描かれるのか?

 これまでの『「鬼滅の刃」柱稽古編』では柱と一般隊士たち、柱同士のアニオリシーンが描かれましたが、この先はどのようなシーンが追加されるのでしょうか。

 まず期待されるのが、蟲柱の胡蝶しのぶの継子である栗花落カナヲの修行シーンです。原作ではカナヲの修行シーンは描かれておらず、登場したのはアニメ2話でも描かれたしのぶと対話するシーンだけでした。

 アニメのオープニングでは善逸や一般隊士たちと走り込むカナヲの姿が描かれていたうえ、しのぶとの会話から柱稽古に参加しているのは確定といえるでしょう。原作では見られなかったカナヲの修行シーンが見られるかもしれません。

 また、鬼殺隊最強とうたわれる岩柱の悲鳴嶼行冥の戦闘シーンも追加される可能性があるでしょう。悲鳴嶼は実弥や伊黒と同じようにこれまで戦闘描写がなく、どのように戦うのか謎に包まれています。悲鳴嶼が戦う姿は「無限城編」で描かれますが、実弥や伊黒のように先にアニメで見せる可能性もあるかもしれません。

 ほかにも、原作で描かれなかった義勇の柱稽古のシーンや、共同研究するしのぶと珠世のシーンなども、アニオリシーンで加えられる可能性があります。

 本作をアニメで視聴している人はもちろんのこと、原作を読破して先の展開を知っているファンもアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編』を楽しめるでしょう。

《林星来》
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。

 

※鬼舞辻の「辻」は「一点しんにょう」が正式表記となります。


※サムネイル画像:テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編 より

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