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 バッファローマンは、実はカツラをかぶっていました。悪魔将軍に立ち向かった瞬間、おもむろにカツラを取り去るという衝撃的なシーンを覚えているでしょうか。しかし、それ以降この設定が描かれることは一度もありませんでした。

 『キン肉マン』には、こうした「いつの間にか消えた設定」が複数存在します。フェイスフラッシュ、テリーマンの義足、サンシャインの砂になる能力、そしてバッファローマンの光速移動。物語に深く関わるはずだったこれらの設定が、なぜ使われなくなったのか。その理由の一部は、公式の場での発言によって明かされています。

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◆完治ではなく「進化」していた──テリーマンの義足

 テリーマンは、キン骨マンの凶弾によって膝を撃ち抜かれ、左脚が義足となっています。義足が取れるシーンやニードロップで自爆して苦しむ場面など、印象的なエピソードがあったものの、気がつけばその設定に言及されることがほとんどなくなっていました。

 ファンの間では、黄金のマスクと銀のマスクが合体した際に足が治癒されたのではないかという考察も広まっていました。しかし完璧超人始祖編のジャスティスマン戦で、この謎に一つの答えが示されます。

 キン肉マンによれば、テリーマンの義足はもはや本来の足と変わらない機能性を持つレベルにまで改良が施されているとのこと。ただし、製作者のバックランド爺はすでに故人であるため、壊れた場合に新たな義足は手に入らないという、一抹の不安を残す事実も明かされています。

 『キン肉マン』公式Webサイトにも「第20回超人オリンピック開催中に銃撃を受けて左脚を失って以降、義足を用いて闘う」という記述があり、TVアニメ完璧超人始祖編の第0話でも取り上げられています。設定は消えていたのではなく、静かに生き続けていたのです。

 それにしても、呪いのローラーで片手を失ったジェロニモには義手設定がなく、バラバラにされて死んだウルフマンは復活時に五体満足だったことを思えば、テリーマンの義足が語り継がれていることは異例とも言えます。

◆光速移動とカツラ──バッファローマンの「封印された設定」

 バッファローマンには、1000万パワーを1パワーまで自在にコントロールできる能力に加え、さらに0パワーにすることで体を身軽にし、光速で移動できるという設定がありました。しかし初披露以来、この光速移動が再び使われることはありませんでした。

 0パワーになるリスクを伴うとはいえ、相手の技をかわす局面などで活用すれば相当有利に戦えるはずです。それでも使われないのは、設定の整合性を保つのが難しかったからかもしれません。

 そして冒頭でも触れたカツラ設定。悪魔将軍を裏切って立ち向かった際にカツラを取り去るシーンは、当時の読者に強烈な印象を残しました。ところがこれもまた、以降は一切描かれていません。

 一説には、悪魔超人から正義超人へと転身するにあたり、禊として丸坊主になりカツラをかぶっていた可能性も考えられます。戦闘中にカツラが外れそうになる描写もないことから、現在は自分の髪が生えてきたのかもしれません。

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◆「パニックになって忘れた」──サンシャインの砂になる能力の衝撃的な真相

 打撃が効かず、関節技も砂になって逃れられるサンシャインの能力は、反則級の強さです。ところが夢の超人タッグ編では、テリーマンのテキサス・クローバーホールドやネプチューンマンの喧嘩スペシャルといった関節技になぜか苦しめられる場面がありました。

 作中で説明はなかったものの、ファンの間では「ジェロニモに弱点のキーパーツを奪われ、それを封印した影響で砂になる能力が使えなくなった」という考察が支持を集めていました。理屈の通った解釈として、多くの読者に受け入れられていたのです。

 しかし、『キン肉マン』第48巻の巻末企画「ゆで問答」で、嶋田隆司先生が真相を明かします。サンシャインに関節技を仕掛けようとした超人はそれまで存在せず、初めての事態に動転したサンシャインが「砂になれること」をすっかり忘れてしまった、というのが実際のところだったのです。

 つまり、悪魔超人でありながらパニック状態に陥り、自分の特技を失念してしまったということ。「悪魔超人なのにどれだけメンタルが弱いんだ」と思わず突っ込みを入れたくなる、微笑ましくもある真相でした。

 なおこの説明によれば、その後ネプチューンマンに喧嘩スペシャルをかけられたときも、同様にパニックで逃げることを思いつけなかったということになります。

◆便利すぎて使えない──フェイスフラッシュという究極技

 キン肉マンを幾度となくピンチから救ってきたフェイスフラッシュは、ドブ川を清流に変え、鋼鉄をひん曲げ、死んだ超人を蘇らせることさえできる万能の神技です。王位争奪戦の終戦後を最後に、現在連載中の完璧超人始祖編ではなぜか一度も使われていません。

 この技は、禁断の聖地・筋肉の滝(マッスル・フォール)から流れる知恵の水を浴びた者だけが使えるとされており、キン肉マンの兄・キン肉アタルや、完璧超人始祖編にも登場するキン肉マンスーパー・フェニックスも使用できます。また、キン肉万太郎も使えることが明らかになっています。

 ただし、単純にマスクを外せば発動するわけではないようです。ウォーズマンとの覆面剥ぎデスマッチでは素顔の一部が露わになっても発動しませんでした。それほど条件が厳しい技であるにもかかわらず、あまりにも強力すぎるがゆえに、物語の展開上、安易に使えないという事情があるのかもしれません。

 完璧超人始祖編ではザ・マンをはじめとする「超神」と呼ばれる存在が登場しており、物語がクライマックスを迎える局面でフェイスフラッシュが再び姿を現す可能性は十分に考えられます。

 

 ──長年にわたって連載が続く作品には、設定の変化や「忘れられた要素」がつきものです。しかし『キン肉マン』の場合、それがむしろ作品の奥行きになっています。ファンが空白を考察で埋め、作者がときに公式の場でその答えを明かす──そのやり取りそのものが、40年以上愛され続ける『キン肉マン』という作品の、もう一つの楽しみ方といえるのではないでしょうか。

〈文/相模玲司〉

《相模玲司》

大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版でアイドルの取材記事やサブカルチャー記事の作成に携わる。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「キン肉マン」第77巻(出版社:集英社)』

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