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※この記事にはTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 バギーの躍進は、ただの勘違いでは片づけられないのかもしれません。世界最強の剣士ミホークの斬撃を受けても無事だった身体、そして孤高の強者たちを引き寄せる奇妙な求心力。“バラバラの実”の性質をたどると、道化と呼ばれる男の見え方が少し変わってきます。

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◆ミホークの斬撃すら効かない? 「バラバラの実」に残る最大の違和感

 バギーの持つ能力が、たんなる「超人系」の枠に収まらない可能性を裏付ける決定的な描写が第561話に隠されています。それが、頂上戦争において世界最強の剣士ジュラキュール・ミホークと対峙した際のひとコマです。

 ミホークが放った、黒刀による覇気を纏ったであろう鋭い斬撃を正面から浴び、バギーは全身を微塵切りにされました。しかし、彼は一切の苦痛を感じる様子もなく、即座に何事もなかったかのように元の姿へと戻って見せたのです。

 ここで注目すべきは、悪魔の実の天敵である「覇気」がなぜ彼には通用しなかったのかという点です。通常、超人系の能力者であっても、優れた覇気使いが実体をとらえて攻撃すれば、その防御を貫きダメージを与えられます。

 ホールケーキアイランド編の第884話でルフィと対峙したビッグ・マム海賊団の最高幹部のカタクリは、「見聞色の覇気で未来を予知し攻撃箇所をあらかじめ変形させて回避する」といった高等技術を用いていました。このような技術がない限り、物理的な切断から逃れることは不可能と考えられます。

 しかし、当時のバギーにはそれほどの覇気技術があったとは考えにくく、むしろ攻撃を「受けて」いるにもかかわらず、そのダメージ自体が無効化されているように見受けられます。

 これは、バギーが意識的に避けているのではなく、能力が物理法則を書き換えて「自動的に分解」している、あるいは「切断」という概念そのものを自らの周囲から消失させている可能性があります。まるで、第1044話でルフィが覚醒した「ニカ」が空想のままに周囲を変化させて戦うように、バラバラの実もまた「あらゆる境界や断絶を無効化する」という悪魔の実の常識を超越した“神の性質”を内包している可能性を示唆しています。

 世界最強の剣士が繰り出す「斬る」という行為そのものを根底から否定するこの絶対的な性能。それこそが、バラバラの実がたんなる身体分離の能力ではない、歴史から抹消された「真の名」を持つ実であることを物語っているのかもしれません。

◆なぜバラバラな強者が集まるのか バギーに宿る“再編”のカリスマ

 バギーの海賊人生を振り返ると、奇妙な法則が浮かび上がります。それは、彼が意図せずとも「バラバラだった勢力を瞬く間に一つに束ねる」という驚異的な結果を出し続けている点です。

 インペルダウン編では、思想も出自も異なる数千人の囚人たちを自身の言葉一つで団結させ、巨大な軍団として統合。さらに第1056話で明かされた「クロスギルド」という組織は、ミホークやクロコダイルといった、本来なら決して交わることがないはずの「孤高の点」を「クロスギルド」という一つの円の中につなぎ合わせてしまいました。

 本来、バラバラの実とは「身体を細かく分離させる」といういわばつながりを絶つ方向の能力です。しかし、その本質が「既存の枠組みや常識を一度バラバラに解体しまったく新しい形でつなぎ直す」ことにあるとしたらどうでしょう。

 ルフィが「解放」によって人々に自由を与え、光り輝く太陽として人々を惹きつける「中心」であるのに対し、バギーは「一度バラバラになった者たちを強力な磁力で吸い寄せる」磁石のような性質を持っていると考えられます。

 物語において「バラバラになったものが再び一つになる」描写は、常に大きな時代の転換を予感させる象徴的な意味を持つと想定できます。第1082話でバギーが「取りにいくぞォ!!! “ひとつなぎの大秘宝”!!!!」と宣言し海賊たちの意志を集結させた姿は、まさにバラバラだった世界をつなぎ直す「もう一人の王」の覚醒を彷彿とさせました。

 ルフィが「自由」の王として世界を照らすなら、バギーは「再編」の王として散り散りになったピースを巨大なうねりへと変えていく。この異様なカリスマ性こそ、バラバラの実が秘める「真の力」と密接に連結している可能性を否めません。

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◆シャンクスは何に驚いたのか バギーの野心に隠れた危うさ

 物語において常に冷静なシャンクスが、珍しく動揺をあらわにした場面があります。それが第1082話での回想シーン。海賊王ゴール・D・ロジャー処刑直後のローグタウンにおいて、シャンクスがバギーを仲間に誘いますが、バギーは「おめェの部下なんざまっぴらだバーカ!!!」と叫び、共に歩む道を完全に断りました。この際、シャンクスは「!?」と珍しく驚愕の表情を見せました。

 この驚きは、たんに「誘いを断られた」ことへの私的なショックではないのかもしれません。幼少期から同じ見習いとしてロジャーの船で過ごし、誰よりもバギーの「本質」を知るシャンクスだからこそ、バギーが自らの野心を剥き出しにして独り立ちを宣言した瞬間に計り知れない危うさを察知していたのではないでしょうか。

 シャンクスは、バギーにいわゆる「個の戦闘力」としての強さがないことは百も承知でしょう。しかし彼が真に恐れているのは、バギーが持つ「無自覚に人望を吸い寄せ大衆を熱狂させる異能の才能」そのものだと考えられます。

 「バラバラの実」の本質が、ニカのように人々の意志を揺さぶり、あるいは一つにつなぎ止める性質を持つ“神の実”であるとしたら。バギーが一度その気になって号令を下すことは、海軍や他の海賊団をも凌駕する、制御不能な巨大なうねりを生むことを意味している可能性を示唆しています。

 バギーが「道化」という仮面の下に野心を隠し持っていたこと、そしてそれがいつか真の王として「ひとつなぎの大秘宝」へと向けられることを、シャンクスはあの瞬間に予感したのかもしれません。

 彼がルフィに対して見せている「期待」とは対照的に、バギーに対して抱いた「驚愕」。それは世界をまったく別の形に再編しかねない「もう一人の特異点」の誕生に対する、四皇としての直感的な警戒心だったのだとも考えられます。

 

 ──バギーの躍進は、たしかに運や勘違いに支えられているように見えます。しかし、ミホークの斬撃を無効化する“バラバラの実”の特異性や、ミホーク、クロコダイル、インペルダウンの囚人たちを巻き込んできた求心力を考えると、それだけでは説明しきれない不思議さも残ります。

 ルフィが人々を解放へ導く存在だとすれば、バギーは散り散りになった者たちを集め、別の形へ組み直していく存在なのかもしれません。道化として笑われ続けてきた男が、最終局面でどのように世界を動かすのか。“バラバラ”だったものをつなぎ直す力こそ、バギー最大の武器になる可能性があります。

〈文/凪富駿(ONE PIECE担当ライター)〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に活動するフリーライター。アニギャラ☆REWでは『ONE PIECE』関連記事を担当し、物語の伏線、キャラクターの関係性、名シーンの解釈などを読者目線でわかりやすく解説している。作品を読み返したくなるような記事制作を心がけている。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」105巻(出版社:集英社)』

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