※本記事にはTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
※本記事はTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。
四皇の最高幹部という立場にありながら、その手配書の金額が「海軍本部審議中」という異例な状態に置かれている、青キジこと元海軍大将クザン。
2024年11月に出版された『VIVRE CARD(ビブルカード)~ONEPIECE図鑑~BOOSTER PACK 海賊島の激戦!海軍VS黒ひげ!!』(出版社:集英社)によってこの異常な現状が明かされました。
元海軍の最高戦力でありながら黒ひげ海賊団へと加入した彼に対し、なぜ世界政府は明確な“値段”をつけることができないのでしょうか。そこには政府がクザンを刺激した瞬間に、すべてがひっくり返るような国家崩壊レベルの最高機密を、クザンが握っているという恐るべき裏事情が隠されているのかもしれません。
◆青キジの懸賞金はなぜ決まらないのか 元大将が握る“危険な切り札”
クザンが黒ひげ海賊団の最高幹部になったという事実は、世界政府や海軍の長い歴史のなかでも最大級の不祥事だといえます。
本来であれば、世界のバランスを揺るがす最悪の裏切り者として、即座に数十億ベリークラスの懸賞金がかけられ、世界中に指名手配されてもおかしくはないといえるでしょう。
それにもかかわらず、世界政府がいまだに「海軍本部審議中」という曖昧な表現としている背景には、金額を迷っているのではなく、実質的に「手出しができない」という深刻な事情が隠れているのかもしれません。
世界政府がクザンに対して手配書を発行できないのは、彼を敵対し本気で怒らせることが、政府自らの首を絞める破滅的なリスクを伴うからではないでしょうか。
彼が握っていると考えられる情報の正体とは、海軍大将という最高権力の座にいたからこそ知り得た、世界政府の表に出せない深刻な内情である可能性が高いです。
たとえば、ルルシア王国を跡形もなく消し去った古代兵器やマザーフレイムにまつわる仕組み、あるいは政府が過去800年間、どれほど残酷な手段で不都合な歴史を闇に葬ってきたかという最重要機密が該当するかもしれません。
世界政府がクザンを危険分子として完全に敵と見なし、無理に追い詰めるような行動に出たらどうなるでしょうか。クザンが知るそれらの最高機密が、黒ひげ海賊団が持つ強大な情報網を通じて、瞬く間に世界中へ大暴露されてしまう事態につながりかねないと考えられます。
クザンの懸賞金が「海軍本部審議中」であること。それは彼を刺激した瞬間に、世界政府の統治そのものが内側からバラバラに崩壊してしまうという恐怖の裏返しなのではないでしょうか。金額をつけられないこと自体が、世界政府がクザンを「もっとも怒らせてはいけない天敵」と恐れている何よりの証明なのだといえるでしょう。
◆クザンは何を知っているのか 30年の軍歴で触れた政府の裏側
クザンがこれほどまでに強大な最高機密にアクセスできた背景には、彼が海軍に入隊してから30年ものあいだ、常に組織の中枢にいたという圧倒的な軍歴が関係していると考えられます。
第318話でも描かれているように、彼は中将時代から、オハラのバスターコールを赤犬(サカズキ)とともに現場で指揮するほどの立場にありました。その後は長年にわたり、海軍の最高戦力である「海軍大将」として君臨し続けてきたのです。
第793話では、赤犬が最高権力である五老星と直接言葉を交わす場面が描かれました。さらに第1058話から描かれたエッグヘッド編では、黄猿と五老星の一人であるジェイガルシア・サターン聖が同じ船に乗りエッグヘッドへ向かう場面も描かれました。これらの描写からも分かるように、海軍大将という立場は、世界政府の最高意思決定機関にきわめて近い場所に位置し、本来なら表に出るはずのない世界の機密に触れられる特権を持っていた可能性があったと考えられます。
しかし、クザンがほかの多くの海兵と決定的に違っていたのは、彼が政府の命令に従うだけのイエスマンではなかったという点です。
彼の「独自の正義」がもっとも色濃く現れたのが、オハラの悲劇でした。第397話においてクザンは、政府の絶対的な命令に背いてでも親友であったハグワール・D・サウロの遺志を汲み、幼いニコ・ロビンを逃がすという独自の選択をしています。
彼はこの若き日の経験から、世界政府が隠そうとする世界の真実やその冷酷なやり方に大きな疑問を抱き、大将という特権的な地位を利用して水面下で独自の調査を進めていたのではないでしょうか。
クザンが握る最高機密とは、30年という長い軍歴の中で、彼が自らの意志と正義感によって静かに集め蓄えてきた情報の「武器」だったのかもしれません。彼は海軍の組織に身を置きながらも、いずれ訪れるべき世界の転換期に向けて、誰よりも深く政府の闇を見つめ続けていた可能性があります。
◆黒ひげはなぜ青キジを迎えたのか 政府を動けなくする“見えざる鎖”
黒ひげがクザンを自らの海賊団に迎え入れたのは、たんに彼の持つ圧倒的な戦闘力が欲しかったからだけではないのかもしれません。
黒ひげは、クザンが30年の軍歴で培ってきた「海軍や政府の内情」という最大の武器を、自らの海賊団に組み込むことの計り知れない価値を見抜いていた可能性があります。
第1081話で描かれた過去の回想では、クザンの黒ひげ海賊団加入にまつわる経緯が少しだけ明かされています。クザンは黒ひげから仲間になるよう勧誘された際、黒ひげの「おれ達は何も仲良し軍団じゃねえぞ!海賊ってのは利害が一致すればいいのさ!」という言葉に背中を押されたかのように、「自由だよなお前…何をしたい!?」と返していました。
このやり取りは、かつて絶対的な規律に縛られていた海軍時代を思い出し、黒ひげが持つ圧倒的な自由さに、クザンが少なからず影響を受けていた可能性を示唆しているといえるでしょう。こうして誕生した最悪の同盟ですが、ここには明確な「利害の一致」が存在していると考えられます。
自由の身となったクザンは、ポーネグリフの解読を進める黒ひげを「ラフテルへの最短ルート」として利用する。一方で黒ひげは、クザンという存在を「政府に対する最強の牽制カード」として利用する。この計算のうえで、世界政府の手出しできない最悪の無法地帯が完成してしまったのではないでしょうか。
実際、クザンが黒ひげの船や本拠地であるハチノスにいる限り、世界政府はハチノスに対してバスターコールのような強硬手段を安易に使うことができないと考えられます。そんな暴挙に出れば、クザンが握る最高機密という爆弾が世界にばら撒かれてしまう可能性があります。
クザンの懸賞金が「海軍本部審議中」であること。それは彼が今この瞬間も、黒ひげの船上から世界政府の行動をコントロールしている「見えざる鎖」として機能している証拠なのかもしれません。彼はただそこにいるだけで、世界のパワーバランスを支配しているのではないでしょうか。
──クザンの懸賞金が「海軍本部審議中」とされていることは、たんなる手続き上の保留ではないのかもしれません。元海軍大将として政府の中枢に近い場所にいた彼は、オハラの悲劇をはじめ、世界政府が隠したい情報に触れてきた可能性があります。その男が黒ひげ海賊団にいる以上、政府が不用意に敵対姿勢を示せば、隠されてきた機密が世界に広がる危険も考えられます。
黒ひげにとってクザンは、圧倒的な戦力であると同時に、世界政府を牽制する強力なカードでもあるはずです。一方のクザンも、黒ひげという自由で危険な存在を利用しながら、自分なりの正義を貫こうとしているのかもしれません。懸賞金が決まらないという異例の状態そのものが、青キジという男の脅威と、最終戦争における重要性を物語っているのではないでしょうか。
〈文/凪富駿(ONE PIECE担当ライター)〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に活動するフリーライター。アニギャラ☆REWでは『ONE PIECE』関連記事を担当し、物語の伏線、キャラクターの関係性、名シーンの解釈などを読者目線でわかりやすく解説している。作品を読み返したくなるような記事制作を心がけている。
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