今や人気ポケモンの一匹として、さまざま人に愛され続けているピカチュウですが、紆余曲折を経て現在の姿形になったといいます。また、初期構想では、ライチュウに進化するだけでなく、あと一回進化する予定だったそうです。
◆ピカチュウ誕生の秘話──幻の「ゴロチュウ」とは?
当初、『ポケットモンスター』(以下、『ポケモン』)は、「いかついモンスター同士を戦わせる」というコンセプトで開発が進んでいたことが、1996年発売の『ポケットモンスター 赤・緑』の開発に携わった3人のクリエイターたちの対談記事「ピカチュウは大福? 初めて明かされる誕生秘話」(『読売新聞オンライン』2018年5月配信記事)で明かされています。
「いかついモンスター同士を戦わせる」というコンセプトのもと、開発が進んでいた『ポケモン』ですが、開発チーム内で「もう少し可愛いモンスターがほしい」という声が上がり、デザイナーのにしだあつこさんがピカチュウのデザインを任されました。
オーダーは「でんきタイプ」「2回進化するモンスター」というシンプルなものだけだったそうです。
にしださんが最初にデザインしたのは、「縦長の大福に耳が生えているような形」の生き物でした。頭と体の区別もつかないほど丸い姿で、「今のピカチュウの存在がわからないぐらい」だったといいます。
「ピカチュウ」という名前は、電気を表す「ピカ」と語呂の良さから付けられ、あとからネズミという設定が加わりました。
この初期デザインを見たゲームプランナーの西野弘二氏は、「もっと可愛くしてほしい」とにしださんに要求したそうです。西野氏は見た目こそ「カビゴン」のモデルになった大柄な体格ですが、「可愛いものには異常にうるさい」というファンシーキャラクター好き。彼を納得させるため、にしださんは夢中で修正を重ねたそうです。
その過程で生まれたのが、ほお袋と雷型の尻尾です。当時「リス・ブーム」が来ていたというにしださんは、エサをほお袋にためるリスの習性から着想を得て、「電気をほお袋にためる」というアイデアを実現しました。尻尾はリスのかわいさと雷のイメージを融合させた形状にしたといいます。
さらに驚くべきは、当初ピカチュウには「ゴロチュウ」という幻の最終進化形が存在していたらしいのです。「ピカ(チュウ)」「ライ(チュウ)」「ゴロ(チュウ)」の3形態が予定されており、ゴロチュウは「牙がむき出しで、角も2本生えていた」とのことです。しかしゲーム全体のバランスを取る都合上、ゴロチュウは削除されることになったといいます。
完成したピカチュウは社内人気アンケートでダントツの1位を獲得。1997年のアニメ化でサトシのパートナーに選ばれたことで人気は決定的となりました。
──こうした試行錯誤を経て、今のピカチュウが誕生。「大福」から始まり、さまざまなクリエイターたちが対話を重ね、細部へのこだわりを磨き上げながら、世界的キャラクターは生まれたのです。
〈文/コージ 編集/相模玲司〉
※サムネイル画像:Amazonより 『「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ」(メーカー:任天堂)』


