1996年2月27日にゲームボーイ用RPGゲーム『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されてから、来年で30周年を迎えます。
1997年には『ポケットモンスター』(以下、『ポケモン』)のタイトルでTVアニメ化もされ、25年以上にも及ぶヒット作となりましたが、実はあまり知られていない裏設定が存在します。
◆サトシはなぜピカチュウを選んだ?──ターゲット層を広げた結果……
『ポケットモンスター 赤・緑』のゲーム版では、主人公が最初に3匹のポケモン(ヒトカゲ、フシギダネ、ゼニガメ)の中から1匹をパートナーとして選びます。
しかし、TVアニメ版で主人公のサトシのパートナーとなったのは、残っていた4匹目・ピカチュウでした。
この理由は、アニメ化するときに「女の子にもターゲットを広げたい」との制作側の意向があったため。1998年出版『ポケモンの秘密』(出版社:小学館)で明かされています。
同書には、「女の子に人気のあるプリンでもピッピでもよかった」とも書かれており、ピカチュウ以外にも候補がいたことがうかがえます。
また、監督の湯山邦彦さんは、視聴者が選ばなかったポケモンをサトシが選ぶと、落胆させてしまうのではないかと配慮してピカチュウに決めたと述べています。
1998年には『ポケットモンスター ピカチュウ』も発売され、ゲーム内でピカチュウをパートナーにすることもできるようになりました。
◆サトシはなぜ小学校に行かない?──『ポケモン』の世界は10歳にして……
サトシは10歳にしてピカチュウや仲間たちと旅に出ていますが、日本では義務教育の真っただ中。ネットで視聴者から「サトシはなぜ小学校に行かないのか?」という疑問が投げかけられたこともあります。
TVアニメ版の設定では、10歳になるとポケモントレーナーとして旅立つことが許されていますが、1997年出版の小説版『ポケットモンスター The Animation VOL.1』(出版社:小学館)で、その理由について明かされています。
同作の世界線には「小学校卒業みんなが大人法」、略して「小卒大人法」、別名「10歳大人法」という法律が存在し、10歳で小学校卒業、中学校は希望する人のみが通うのだとか。
また、10歳の誕生日を迎えた次の年の4月には「ポケモン捕獲の免許」を取得でき、モンスターボールを持つことが許されます。
さらに10歳から親の承諾なしに結婚・就職など自分の進路を決めることができます。
反面、10歳を過ぎて犯罪に手を染めると大人と同じように処罰される、納税の義務があるなど、大人としての義務も負います。
つまり、ポケモンの世界では10歳は立派な大人。サトシは自由に夢を追いかけているように見えますが、大人としての責任を背負っているのです。
◆松本梨香さんはシゲル役を受けていた?──サトシを演じることになった理由は……
実は、サトシ役の声優・松本梨香さんはもともとライバルのオーキド・シゲル役でオーディションに参加していたそう。
『ポケットモンスター』特集が掲載された2020年発売の雑誌『CUT』12月号(出版社:ロッキングオン)の松本さんインタビュー「松本梨香、アニメ『ポケットモンスター』&サトシと歩んだ23年を振り返る」で、その経緯が語られています。
オーキド・シゲル役のオーディション後、「帰り際に「サトシも見たい」と声をかけられ急遽台本を読み、そこからサトシ役に決まった」のだそう。驚きの展開で主役に抜擢されたのです。
松本さんは同インタビューで、「私自身がサトシに励まされることも多いんです。彼は前向きで、友達想い。」「私も似た部分はあるけど、「これじゃだめだな」って時によく学ばせてもらう。」「「サトシのまんまだね」って言われる自分だったからサトシになったのに、その私がサトシに支えられてる。面白いですよね」と、長年に渡って演じているサトシが自分の人生に大きな影響を与えていることに触れています。
ちなみに、オーキド・シゲル役には小林優子さんが選ばれました。
◆タケシは21人兄弟!?──兄弟が増えまくった理由が衝撃的すぎる……
TVアニメ版『ポケットモンスター』第5話から登場するタケシは、10人兄弟の長男として家事全般をこなす、面倒見の良い少年としてお馴染みですが、実は21人兄弟という設定が存在します。
TVアニメ版では、タケシの父親のムノーはポケモンマスターを目指して旅に出るも夢を叶えることができず、家に帰ることもできずにいる「ダメ親父」。母親・ミズホはそんな父親に愛想を尽かして家を出て行きました。
しかし、前述の『ポケットモンスター The Animation VOL.1』ではもっと驚きの事実が。母親はジムの運営のために9度も離婚と再婚を繰り返し、そのたびに子供が増え、双子8組を含む21人もの兄弟がいる大家族になったというのです。
ジムリーダーの資格を持っていない母親がジムを維持するために資格保持者と家庭を築く必要がありましたが、子供の多さが負担となって相手に逃げられていました。タケシの面倒見の良さの裏には、複雑な事情が隠されていました。
〈文/花束ひよこ〉
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