仙道率いる陵南は波乱だらけ？　『SLAM DUNK』　田岡は「キャプテン交代」を検討中……？

　魚住、池上が引退した陵南バスケ部は、新キャプテンの仙道を中心により強いチームになると魚住も期待を寄せていました。ところが、その後の陵南バスケ部は、予想外の展開を見せています……。

◆新キャプテン・仙道は練習をサボって釣り三昧？　

　新キャプテンとなった仙道は、原作最終話で魚住と池上が引退のあいさつをしていたとき、サボって1人でのんきに釣りをしていました。原作最初の試合となった湘北との練習試合にも遅刻してくるなど、時間にルーズでサボりグセがあることがうかがえます。

　黒板漫画『あれから10日後-』では、練習をサボっている仙道を部員がそろって探しにいくシーンが描かれています。仙道は海で釣りに興じており、探しにきた部員たちに悪びれる様子もなく、「ほら見ろ～」「でけーだろー」と釣った魚を自慢する始末でした。

　元々天才肌で、バスケを心から楽しんでプレーする仙道は、練習をサボることが日常茶飯だったのかもしれません。田岡監督は、選手が練習風景を思い出しただけで気分を悪くするほど、厳しい練習を課します。魚住は1年生のとき、練習についていけずに退部を申し出たほどでした。

　「厳しい指導こそ正義」という指導方針の陵南バスケ部で、仙道は異質な存在といえるでしょう。もしかすると、新キャプテンとなった仙道が、厳しい練習について田岡監督に意見してくれることを選手たちは期待しているのかもしれません。

◆2年生では次期キャプテンの争奪戦が勃発

　黒板漫画『あれから10日後-』では、仙道不在の練習中、越野と福田が激しいプレーでぶつかり、怒りをあらわにする越野と、それを無視する福田が描かれています。

　また、仙道に見かねた田岡監督が、キャプテン交代を考えているというウワサが、バスケ部内に広まっていることが彦一により明かされました。

　越野は「今は俺が事実上のキャプテンだろーが」、福田は「実力的に次は俺……」と、どちらも新キャプテンの座をねらってメラメラと闘志を燃やしており、体育館は「次期キャプテン争奪戦」さながらの様相を呈しています。

　仙道と同学年である越野は、陵南の中でも負けん気が一番強く、湘北との練習試合で田岡監督へ無礼を働いた花道に、真っ先に注意していました。福田も、同学年でもっともバスケが上手かった仙道をライバルとして強く意識しています。

　彼らのようにクセの強い2年生をまとめられるのは、彼らがバスケの実力を認めている仙道だけでしょう。

　田岡監督は、いわゆる精神論を掲げる熱血タイプの指導者です。魚住のように、指導方針に従順なキャプテンを望んでいると思われますが、チームをまとめるためには、キャプテンは仙道に任せておいたほうが良いかもしれません。

◆真面目そうだった植草はキャプテンを虎視眈々とねらっている？　

　仙道、越野、福田といった個性的な2年生の陰に隠れがちなPG・植草も、実は「次期キャプテン争奪戦」に密かに名乗りをあげています。

　黒板漫画『あれから10日後-』で、感情を表現するタイプの越野、内なる闘志を燃やすタイプの福田、一歩も譲らずにらみ合う2人の間に、仲裁に入ったのが植草でした。植草のポジションであるPGは、常に冷静な状況判断が求められる役割なので、その行動にも納得できます。

　ところが、それを見た彦一は「ミョーにさわやかすぎません？　植草さん！」と、彼のしらじらしさにツッコミを入れています。植草は彦一に背を向けながら、目を光らせて「ダークホース……」と心の声でつぶやき、混乱に乗じて虎視眈々と次期キャプテンをねらっていたのです。

　根拠もなく「事実上のキャプテン」であると主張する越野、「実力がある選手＝キャプテン」という偏った考え方の福田が、次期キャプテンに向いているかは疑問です。その点、場の雰囲気を変え、チームをまとめようと働きかけている植草は、仙道に勝るとも劣らないキャプテンに向いている選手といえるでしょう。

　田岡監督が本当にキャプテン交代を行うとしたら、植草を抜擢する可能性は高いかもしれません。

◆魚住は復帰の可能性も？

　魚住は下級生に対し、涙ながらに最後の挨拶をして陵南バスケ部を引退しました。しかし、黒板漫画『あれから10日後-』では、その後も毎日練習に来ている様子が描かれています。

　「元キャプテンは引退したら肩の荷がおりると同時に後輩がしっかりやっているか気になるものである」という書き出しとともに、体育館の隅で居心地悪そうにしています。

　彦一らとともに仙道を探しにいった際、釣りに興じる仙道に対し、「そんなに魚がすきなら……」「俺とかわれ!!」「そしておれがキャプテン続投」と叫んでおり、本心では板前修業よりもバスケ部に残りたかったことがうかがえます

　インターハイ終了後、引退した3年生がキャプテンに返り咲くことは基本的にありません。越野からは「僕らでちゃんとやりますから」と、目の上のたんこぶ扱いされており、ほかの部員たちも魚住の復帰は望んでいない様子です。

　田岡監督にとって、「次期キャプテン争奪戦」の勃発が想定外の事態なのかどうかは分かりませんが、魚住を「キャプテン代行」という肩書きで、一時的にバスケ部に復帰させる案はあるかもしれません。

　しかし、新生・陵南バスケ部が本当の意味で強くなるためには、魚住抜きでまとまりのあるチームになることが必須です。キャプテンを仙道に続投させるか、他の2年生を指名するかは、陵南バスケ部として目下の課題であるといえそうです。

　──海南、湘北を、あと1歩のところまで追い詰めながらも、県大会3位に甘んじた陵南バスケ部。2年生主体のスタメン構成だった陵南は、仙道の代こそ、神奈川を制すると期待されていました。「次期キャプテン争奪戦」という思わぬ落とし穴は、名将・田岡監督の最大の誤算といえるかもしれません。

〈文/lite4s〉