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※この記事にはTVアニメ・原作漫画『SLAM DUNK』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・原作漫画『SLAM DUNK』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 桜木花道のそばにいた水戸洋平は、ただの“親友枠”で終わるには惜しい人物です。『SLAM DUNK』本編で彼はバスケ部員ではありませんが、桜木を誰よりも理解し、体育館騒動では湘北バスケ部の窮地まで救いました。もし彼がコートに立っていたなら、プレイヤーとしても意外な存在感を見せていたかもしれません。

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◆本来はバスケ部入りの可能性もあった?

 水戸洋平に「バスケ部入り」の可能性があったという話は、ファンの想像だけで生まれたものではありません。原作者の井上雄彦先生が『バガボンド』の連載を始めた時期に、今田耕司さんと東野幸治さんのラジオ番組『Come on FUNKY Lips』で、「連載当初は水戸洋平をバスケ部に入れる予定だった」という趣旨の発言をしていたとされます。そのため、このエピソードは『SLAM DUNK』の裏話として広く知られるようになりました。

 さらに、井上雄彦先生と詩人・伊藤比呂美さんの対談が掲載された『漫画がはじまる』(出版社:スイッチパブリッシング、2008年5月出版)では、井上先生が「そもそも三井はバスケをやる予定ではなかった」と振り返っています。

 当初の三井は、バスケ部をかき回す不良キャラクターとして配置されるはずでした。ところが、描き進めるうちにキャラクターへの愛着が増し、方向性が変わります。その結果、三井は挫折を経験した天才プレイヤーとして生まれ変わり、湘北の5人目の主力として物語に欠かせない存在となりました。

 三井の登場により、水戸は結果的にバスケ部員にはなりませんでしたが、人気投票でも上位に入るほど読者に愛されたキャラクターです。出番の多さ以上に印象が強いのは、彼が物語の重要な場面で、ただ見ているだけの友人ではなかったからでしょう。

◆ケンカの強さに見える運動能力と反応の速さ

 水戸の身体能力を考えるうえで外せないのが、三井一派との衝突です。鉄男の不意打ちを受けながらもすぐに対応し、攻撃をかわし、蹴りを防ぐなど、状況への反応はかなり早く描かれていました。

 『SLAM DUNK』では、桜木、流川、宮城、赤木など、バスケで存在感を放つ選手たちが、身体の強さや度胸でも際立っています。もちろんケンカの強さがそのままバスケの上手さになるわけではありません。それでも、相手の動きを読む力、踏み込む判断、ひるまない胆力は、コート上でも武器になり得ます。

 水戸は桜木軍団の中でも冷静なまとめ役です。力任せに突っ込むのではなく、相手の出方を見て動けるタイプであり、そこに選手としての伸びしろを感じさせます。

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◆体育館騒動で見せた“試合勘”に近い判断力

 水戸の最大の才能は、単純な腕っぷしよりも判断力にあります。三井たちが起こした体育館騒動では、バスケ部が活動停止や廃部になりかねない状況でした。そこで水戸は、事態を丸く収めるために機転を利かせた説明を行い、湘北バスケ部だけでなく三井の復帰の道まで残しています。

 この場面の水戸は、感情だけで動いていません。誰を守るべきか、どこまで話すべきか、どうすれば最悪の結果を避けられるかを一瞬で判断しています。これは、試合中に味方の状況を見ながら最善手を選ぶポイントガード的な資質にも通じる部分です。

 湘北の司令塔である宮城リョータは、スピードと突破力で試合を動かす選手です。一方で水戸は、周囲の感情や場の空気を読む力に優れています。プレイヤーとして宮城を超えると断定するのは難しいですが、別タイプの司令塔として育った可能性は十分に想像できます。

◆桜木を一番近くで見ていた男の人望

 水戸は、桜木の無茶を笑って受け止めながら、必要な場面ではきちんと背中を押す人物です。翔陽戦のあと、早朝の体育館に呼び出された水戸が桜木の本音を聞く場面からも、桜木にとって特別な存在だったことが伝わります。

 また、彼は不良でありながら、一般生徒からも完全に恐れられているだけの存在ではありません。困ったときに相談される場面もあり、桜木軍団の仲間たちからも自然に信頼されています。人を威圧するだけではなく、相手の弱さや本音を見抜けるところが水戸の強みです。

 この人望は、選手としてだけでなく、将来的な指導者としての可能性にもつながります。勝ち負けだけでなく、人の感情を見て動ける水戸なら、チームの空気を整える存在になれたかもしれません。

 

 ──水戸洋平は、最後まで湘北バスケ部のユニフォームを着ることはありませんでした。だからこそ、彼が入部していたらどんな選手になったのかという想像が今も残り続けています。

 三井のように物語の途中で選手として戻る道もあったかもしれません。しかし、水戸がコート外にいたからこそ、桜木の成長を支える親友としての存在感はより際立ちました。身体能力、判断力、人望を兼ね備えた彼は、選手にならなかったからこそ“もしも”を語りたくなるキャラクターです。

 水戸がバスケ部に入っていた未来は描かれませんでした。それでも、彼の行動を振り返ると、湘北のもう一つの可能性が見えてきます。桜木の隣で静かにチームを支えた男は、コートに立ってもただの脇役では終わらなかったはずです。

〈文/士隠カンナ〉

《士隠カンナ》

アニメ・漫画関連のムック本を中心に活動するフリー編集・ライター。1990年代〜2000年代のアニメ作品を原点に、近年の話題作から長年愛される名作まで、幅広い作品の解説・考察・キャラクター分析を手がけている。作品の魅力や背景を読者にわかりやすく伝える記事制作を得意とする。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『SLAM DUNK』第7巻(出版社:集英社)

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