子供に夢と希望をあたえる特撮ヒーロ作品ですが、仲間が最終回でひったくりに刺されて命を落としたり、主人公が余命2日を宣告されるなどトラウマシーンがある作品も珍しくありません。次の5つの特撮ヒーロ作品は、悲劇的な最終回を迎えるなどして視聴者に衝撃をあたえました。

◆昼ドラチックな恋愛がよく話題になるけど……──『鳥人戦隊ジェットマン』

 「戦うトレンディドラマ」と呼ばれ、ドロドロな恋愛模様が話題になった『鳥人戦隊ジェットマン』ですが、多くのキャラが悲惨な死を遂げる作品でもあります。

 その中でもある味方キャラの死は、多くの視聴者に衝撃をあたえました。

●死因が戦闘じゃないってホント?──ブラックコンドル(結城凱)

 ブラックコンドル・結城凱は、ひったくり犯に刺されるという一見ヒーローとは思えないような最期を迎えました。

 凱は最終回で同じジェットマンとして戦った竜と香の結婚式に向かうのですが、その途中でひったくりにあった女性を助けます。

 そのとき彼は、ひったくり犯に刃物で腹部を刺されてしまいますが、それでもけがの処置もせずに竜たちの結婚式に向かいます。

 そのとき刺されたことを悟られないように「二日酔い」だと誤魔化して竜たちを祝い、その後眠るようにして息絶えました。

 最初こそギャンブル三昧のクズキャラだった凱ですが、その最期は悲しくも最後までヒーローだったといえるでしょう。

●恋人と敵同士になった末に……藍リエ(マリア)

 リエは竜の恋人でしたが、洗脳されて怪人にされたあげく竜と元の関係に戻れず死んでしまいました。

 もともとは竜とともにスカイフォースの一員として地球を守っていたリエですが、敵組織バイラムにとらわれ洗脳されマリアという名の怪人になります。

 あるときリエとしての意識を取り戻しますが、マリアとして自分が重ねた悪行に苦しみ二度と竜のもとへは戻れないと悟ることに……。

 最後にせめてもの思いでラディゲの背中に傷を負わせますが、逆上したラディゲに返り討ちにあいます。

 竜の恋人だったものの、ラディゲからも好意を寄せられていたマリア。三角関係、悲惨な最期という『ジェットマン』を象徴するようなキャラでしょう。

◆コミカルに見えて実は「辛すぎだァァッ!」──『五星戦隊ダイレンジャー』

  「転身だァァッ!」で始まる主題歌が妙に耳に残る『五星戦隊ダイレンジャー』ですが、主題歌の雰囲気とはうってかわってシリアスなエピソードも多いです。

●自己犠牲が生んだ悲劇?──クジャク

 クジャクは"天幻星" 大五と恋仲になりますが、幼馴染のガラの顔の傷を治したことで命が尽きてしまいます。

 クジャクは6000年以上もの時を生きていますが、そのころに比べ地球の大気は汚れており居続けると命に関わることに……。

 そのため地球上の汚れを消し去るとされる「聖なる孔雀の涙」を探しますが、それを使えば今度は人類が生きられない世界になります。

 それを知ったクジャクは、自分のためではなく6000年も前からの悲願であったガラの傷の治療のために「聖なる孔雀の涙」を使いました。

 ガラとは仲たがいを起こし一時は宿敵にさえなりましたが、それでも自分を犠牲にしたのは悲しいながらも尊い友情といえるでしょう。

●戦隊シリーズの敵幹部で最も恐ろしい最期?──ザイドスとシャダム

 ザイドスとシャダムは実は泥人形で、最終的にトラウマレベルの崩れ方をします。

 2人ともダイレンジャーたちに助けを求めながら崩れていくのですが、特にシャダムは口から泥を吐き、泥と化した顔の中で目玉がうごめいており恐ろしすぎます。

 ザイドスに関しても崩れながら自身の出世を気にしており、絵面のおそろしさだけでなく自分の願いを遂げられなかったという意味でも悲しい最期でしょう。

◆早すぎた名作?──『鉄人タイガーセブン』

 1973年放送という古い特撮番組ながらも作風はリアルで、ときにヒーローもののタブーな面も描かれた『鉄人タイガーセブン』。

 登場人物たちはどのような最期を迎えたのでしょうか?

●バッドエンド確定すぎて辛い……──滝川剛

 剛は主人公にもかかわらず、最終回で余命2日であることを宣告されてしまいます。

 終盤には自分のミスによって命を落とす人を目の前にした彼は、戦いを放棄しはじめます。

 結果、高井戸博士を亡くしそのことで北川からは殴られ散々な思いをします。しかし高井戸博士の遺したテープを聞いた剛は、悩んだ末にふたたび戦う決意をするのでした。

 剛には人口心臓死のリミットが2日しかなく、それを知ったうえで自分に好意を寄せていたジュンに別れを告げて旅立つラストは悲壮感が強いです。

●作中きっての聖人だからこそ辛い最期?──高井戸博士

 剛のよき理解者だった高井戸博士は、その優しさゆえ悲惨な最期を迎えます。

 剛が姿をくらました際も不信感をもつ研究所メンバーもいましたが、高井戸博士だけは剛を悪く言うことはありませんでした。

 剛がいなくなったときには、ほかの研究室メンバーも危険な目にあわせまいと解散を宣言します。

 一人になった博士はムー一族の証拠をつかむべく単身で突撃しますが、ギル太子との戦いの末息を引き取りました。

 博士のような聖人にさえ平等に死が訪れるのは、あまりに無常すぎるでしょう。

◆トラウマシーンの宝庫?──『仮面ライダー龍騎』

 13人のライダーたちが自分の願いをかけてバトルロイヤル形式で戦う『仮面ライダー龍騎』ですが、死亡するキャラが多く、ミラーワールドという異世界で戦う点もより壮絶さに拍車をかけています。

●ただ「大金持ち」になりたかっただけなのに──仮面ライダーインペラー(佐野満)

 佐野は「大金持ちになりたい」という誰しも一度は抱くような願いからライダーバトルに参加しますが、その代償はあまりに大きすぎました。

 佐野はごく普通のフリーターの青年でしたが、父親の会社を継ぐことになり早くも「大金持ち」という願いが叶いかけます。

 彼はライダーバトルをやめたいと申し出るも、モンスターとの契約を解除することができませんでした。

 辞退できなくなった佐野は、ケガの手当をし面倒を見ていた東條に倒され敗退してしまいます。

 そしてミラーワールドに閉じ込められた佐野は助けを求めるも、その声は虚しく響き渡るだけでした。

 目先の利益に弱くすぐに人を裏切っていた佐野には因果応報な結末ですが、やりすぎ感のある最期は多くの視聴者にトラウマを植え付けました。

●主人公なのに最終回前に死亡?──仮面ライダー龍騎(城戸真司)

 真司は主人公であるにもかかわらず、最終回前にレイドラグーンの攻撃で命を落とします。

 ライダーバトルも佳境に入ったころ、各地でレイドラグーンが大量発生しました。

 その中で動けなくなった少女を助け、その子を庇った結果レイドラグーンに背中を刺されます。

 他の変身者とくらべて、「ライダーバトルを止めたい」という願いに迷いが生じることの多かった真司ですが、やっと自分の願いがはっきりとした矢先に息を引き取ります。

 主人公が最終回前に、一般怪人にやられて死んでしまうという展開は多くの視聴者に衝撃をあたえ「呼吸が止まった」「寝込んだ」などの声が飛び交いました。

 

 ──初代『仮面ライダー』でも、本郷猛が改造人間になった悲しみをテーマにしています。このような怪人もヒーローも純粋な人間だった頃には戻れないというストーリー展開は、特撮においてよく見られます。誰しも戦いに身を投じてしまったら、悲しい運命と隣り合わせになるのかもしれません。

〈文/michel〉

 

※お詫びと訂正

本文中のブラックコンドルの名前に誤りがありました。

深くお詫びするとともに、以下の通り訂正させていただきます。

【誤】ジェットブラック

【正】ブラックコンドル


※サムネイル画像:Amazonより

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