劇場版名探偵コナンシリーズの中でも『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』は、二度とできない大ネタを繰り出してきた映画となっていました。
4月13日より公開をスタートして以来、例年以上のハイペースで興行成績を積み上げた本作はシリーズでも初となる興行収入100億円を突破し、最大のヒット作となりました。
なぜそこまでの成績を出せる作品になったのか。この成績がどれだけすごいことなのか。改めて『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の凄まじさを振り返ります。
◆そこまでやる!? 「禁断のネタ」への挑戦!
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の恐ろしいところは、ヒロインのポジションに毛利蘭ではなく、灰原哀を置くというところです。
これまで、灰原からコナンに対するはっきりとした恋心などは明言されることなく、もしかしたら友人以上の好意を持っているようにも解釈できなくもない程度に留められていましたが、『黒鉄の魚影』は、そんなうやむやにされてきた灰原からコナンへの感情がかなりはっきりと描かれる作品になっていました。
今作は水中が舞台ということで、クライマックスは海中でのアクションが繰り広げられます。
「息ができない」「会話ができない」というシチュエーションの中で、窮地にコナンと相対することになる灰原は、これまでの原作シリーズやアニメシリーズでもしてこなかった“ある行動”に出たりその心中が赤裸々に語られるシーンが用意されています。
その顛末も含め、『名探偵コナン』という作品において灰原はヒロインに成り得るのか? という疑問に真っ向から答えを突きつける映画となっていました。
灰原は蘭のことを敵視しているわけでもなければ、ライバル視をしているわけでもないことはこれまでも描かれてきていましたが、そんな中で今作で絶対的なヒロインである蘭とどう向き合って灰原が行動や決断していくのか。真摯でありながらも、かなり踏み込んで描いており、歴代劇場版シリーズでも特に『名探偵コナン』のラブストーリーの部分への挑戦性が高いことは、今回の爆発的な興行結果に少なからず影響を与えているでしょう。