◆キッズアニメのようなノリに騙されちゃいけない“攻め”の部分
『ダークギャザリング』の初期のエピソードではギャグシーンなども挟まれたり、一見キッズアニメのような体裁ではありながらも、しっかり攻めるところは攻めている点も評価できるポイントとなっています。
たとえば、結構な量の血が池のように溜まっている表現であったり、犠牲となった死者の脳を引き抜いて悪霊が脅しの道具に使うといったショッキングな表現もしっかり画として登場します。
また、ヒロインの詠子のキャラクターもかなり特殊です。一見、主人公の螢多朗を慕う正統派ヒロインの様でありながらも、その裏では過剰なほどに螢多朗を好きすぎるあまりストーカーまがいの行動を取っていたり、いわゆる“ヤンデレ”ヒロインであることが徐々に明かされていったりと、本筋とは別の部分でも随所に不穏さが付きまといます。
「キッズアニメのよう」と前述しましたが、実際に見ていくと然るべくして深夜という時間帯の放送が合う作品となっています。
本作は近藤憲一先生による『ジャンプSQ.』で連載中の原作漫画があるのですが、原作通りでいけばここからのエピソードは悪霊同士の対決がよりヒートアップしていきます。見逃していた人や、序盤で観るのをやめてしまった人は、今こそ追いつきがいのあるタイミングではないでしょうか。ハロウィンシーズンらしい体験がきっとできるはずです。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi