2019年4月5日の東京での上映を皮切りに、異例のバディムービー『パンドラとアクビ』が劇場上映をスタートしています。何が異例かといえば、タイトルにもなっている本作の主人公は、ゲームアプリ『モンスターストライク』に登場するキャラクター・パンドラと、『ハクション大魔王』に登場するキャラクター・アクビという、ゲームとアニメという全然出自の異なるコンビとなっています。
本作の魅力はなんといっても全体的にリミックスされたタツノコプロワールド。登場人物には『マッハGoGoGo』の三船剛や『ヤッターマン』のドロンジョが元のTVアニメとは別の人物設定で登場していたり、パンドラやアクビが『科学忍者隊ガッチャマン』や『ヤッターマン』のコスチュームで戦ったりと、そのクロスオーバーぶりが楽しい作品になっています。
そんな中、登場がすっごく嬉しいキャラクターがこの作品で登場していました。
その名も「グズラ」です。
『パンドラとアクビ』に登場のグズラとは何者!?
『パンドラとアクビ』は前後編に分かれているのですが、後編となる『精霊と怪獣の街』にタツノコプロの怪獣キャラクターが登場します。それがグズラ。
★キャラクター紹介その⑧★
名前:ナゾの怪獣
CV:江原正士
原作:????『・・・だとん!』
…(`・ω・´).。oO(この怪獣見覚えがありますね。たしか、クズっ…んんんんっ……。)
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— 【公式】映画「パンドラとアクビ」好評上映中! (@anime_dorabi) 2019年3月22日
元々は1967年に一年間にかけて放送された『おらぁグズラだど』の主人公として登場したキャラクター。ビックラ山の火口生まれで、口から火を噴くことができ、さらには鉄が好物という、怪獣らしい特徴を持っている一方で、正義感に熱く泣き虫だったりと愛らしい性格を持っています。
1967年ということで元々はまだ白黒アニメの時代。『おらぁグズラだど』はタツノコプロの作品でも最初期の作品に分類される作品です。また『おらぁグズラだど』が特殊なのはその20年後にカラー放送を果たしています。当時は2世代に渡って知られるキャラクターとして活躍していたわけです。
平成を沈黙で過ごしたグズラの滑り込みでの復活劇
そんなグズラなのですが、1987年のカラー版の放送以来、前面に押し出される機会はあまりなく、平成以降露出は少なくなります。格闘ゲームの『タツノコ vs CAPCOM』であったり、近年展開されたタツノコプロのクロスオーバー作品『Infini-T Force』などのオールスター作品でも、ヒーローものでもないということがあってか未登場。かといって可愛いキャラクター路線では『昆虫物語みなしごハッチ』のハッチや、まさに今回のアニメでもメインに据えられているアクビちゃんといったキャラクターがすでにポジションを持っているので、なかなか出番が巡ってこないキャラクターでした。
私これが本当に惜しいと思っていたのですよ。
平成生まれの身としては、わずかなビジュアルでグズラというキャラクターの存在を知るのみで、グズラのディテールに触れ合う機会が本当にありませんでした。シルクハットに蝶ネクタイでオシャレであり、眠そうな目が可愛い、すごく魅力的なキャラクターに思っていました。しかし映像ソフトとしてもリリースを果たしていないし、再放送などもされていなかったので、いったいグズラがどんなキャラクターなのかを知ることができませんでした。本当に残念でした。
そんな、カラー版放送からの30年間沈黙していたグズラが、この平成が終わるギリギリのタイミングで復活したのは、なんと嬉しいことか。ついに私の世代にも体験できるグズラがこの『パンドラとアクビ』にはあったのです。
『パンドラとアクビ』でも大活躍!グズラの勇姿を観た?
また嬉しいのが、『パンドラのアクビ』における『精霊と怪獣の街』というエピソードがかなりのグズラ推しのストーリーとなっている点です。
あくまでも主人公はパンドラとアクビの二人なのですが、このエピソードではグズラ自身の成長物語にもなっています。しかも、しっかりクライマックスにはグズラの見せ場が用意されており、さらには、『ヤッターマン』からヤッターワンまでゲスト出演して、グズラとの夢のコラボまで披露してくれます(どうコラボするのかはぜひ本編を観て欲しい!)。
『パンドラとアクビ』を観に来たつもりが思わぬグズラとの対面に、もはや体験としては劇場版『おらぁグズラだど』状態。やっと、私の世代でも語れるグズラが生まれたのだなぁと、グズラとの出会いを望んでいた身には嬉しいエピソードとなっていました。
パンドラちゃんもアクビちゃんも可愛いし、シリーズものにできそうなストーリーとなっているので『パンドラとアクビ』という作品にはぜひ今後の展開にも期待したいのですが、一方で今回のグズラの再登場をきっかけに『おらぁグズラだど』の再展開もやってくれないかと淡い期待を抱いている自分がいます。可愛く癒し系のキャラクターとしてグズラはまだまだポテンシャルを秘めていると私は信じています。ぜひグズラには、令和という時代も体験する怪獣となって欲しい限りです。
(Edit&Text/ネジムラ89)
映画『パンドラとアクビ』XFLAG × タツノコプロによるオリジナルアニメ 後編《精霊と怪獣の街》
©XFLAG ©タツノコプロ