◆ジャイアンは「おままごと」が好き
ガキ大将という言葉を体現した性格のジャイアンですが、彼には周りに秘密にしている意外な趣味があります。それは「おままごと」です。
おままごとといえば、一般的には女の子が好きな遊びとされがちです。ジャイアン自身もそう感じているのか、『ドラえもん』の漫画第5巻「おしかけ電話」では、ドラえもんにおままごとをしている姿を見られ、ほかの人には言わないようにと、どら焼きを渡して口止めしています。
普段なら顔を真っ赤にして目撃した人を追いかけ回すジャイアンが、賄賂を渡してしおらしくしていることから、人には知られたくない大切な趣味であることがうかがえます。
また、おままごとをして遊ぶジャイアンの部屋には、子供用のおもちゃのキッチンやテーブル、かわいらしい人形などの本格的なおままごとセットが並べられていました。
はたして、これは妹のジャイ子に借りたものなのか、それともジャイアンが買ってもらったものなのか……。
普段はガキ大将として振る舞っているジャイアンの、隠された素顔が垣間見えるひとコマです。
◆ドラえもんは「20万円」で買える?
ドラえもんは、一般家庭向けに販売されている未来型猫型ロボットですが、実際に買うといくらになるのでしょうか?
1986年に発売された『ドラえもん道具カタログ』には、この疑問の答えが書かれています。
この本によると、ドラえもんの価格はなんと「20万円」とのこと。ただし、この価格は特価価格です。
なぜなら、ドラえもんは製造されたときに電撃を受け、ネジが1本外れた不良品だから。
不良品として廃棄寸前になりながらも、なんとか危機を乗り越えたドラえもんは、ロボット養成学校通を卒業したのち、のび太の子孫・セワシの子守ロボットになりました。
しかし、ドラえもんはネジが外れた不良品のため、同じ時期に造られた他の猫型ロボットよりも能力は低い個体です。そのようなデメリットから、ドラえもんの本体価格はほかの猫型ロボットよりも低価格に設定されています。
このドラえもんの出生秘話は、1995年に公開の映画『2112年 ドラえもん誕生』の物語で明らかとなりました。
もしドラえもんが不良品でなければ、妹のドラミちゃんと同じ100万円ほどの本体価格で売られていたはずです。
──このような設定のほかにも、『ドラえもん』にはさまざまな細かい設定がちりばめられています。
『ドラえもん』の連載が始まったのは、1969年と今から54年前のことです。そのため、コンプライアンスなどの問題で、今ではNGな描写も『ドラえもん』にはたびたび登場しています。
長寿作品になると、初期の設定が忘れ去られたり、時代の流れとともに表現が規制されたりすることは、仕方のないことでしょう。
〈文/伊藤悠 編集/乙矢礼司〉