ドクター・ストレンジがマルチバースに飲み込まれる!

 2022年5月4日(水・祝)から『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』がついに上映をスタートしました。本作では、ドクター・ストレンジやワンダといったマーベルキャラクターが、従来の世界とは違った“マルチバース”と呼ばれるパラレルワールドのような世界を舞台に、新たな戦いへと巻き込まれていくことになります。

 ただし、実はこのマルチバースという設定の登場は、今回が初めてではありません。

 直近で公開された映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や、Disney+で配信されたドラマシリーズ『ロキ』でもマルチバースが重要なキーワードとして登場します。

 そしてもう一つ、それらよりも色濃くマルチバースをテーマに盛り込んだ作品がDisney+で2021年にアニメシリーズとして配信されています。それが『ホワット・イフ…?』です。

◆『ホワット・イフ…?』とは?

 『ホワット・イフ…?』では、もしもアベンジャーズたちに別の運命が待っていたとしたら……をテーマに毎エピソード、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)映画で描かれた展開が、途中で違う展開を迎えていくという内容になっています。

 『ホワット・イフ…?』自体は『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』とは直接的な関係はないものの、マルチバースという概念を楽しむための予習・復習にはうってつけのシリーズです。

 ただし、『ホワット・イフ…?』は既存の別のMCU映画がベースにある作品です。それらを楽しむにはやはり改変元を知っておいた方が楽しめます。そこで、各エピソードの元となっている映画と合わせて、全話をおさらいしていきます。

 それぞれの引用元映画の項目の作品を観ておくと、そのエピソードがより楽しめます。

◆『ホワット・イフ…?』1シーズン全話とオススメの予習用映画一覧

▼1話『もしも…キャプテン・カーターがファースト・アベンジャーだったら?』

 記念すべき『ホワット・イフ…?』1話では、MCUでも時系列的に一番古いエピソードとなる、キャプテンアメリカの出生に関するエピソード。スティーブ・ロジャースの代わりに、ヒロインのペギー・カーターがキャプテンアメリカになるというエピソードです。

 『キャプテンアメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』だけ観ておいても問題ないのですが、『アイアンマン』を観ておくと、“ある造形”にニヤリとできるはず。

(引用元映画:『アイアンマン』(2008)、『キャプテンアメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』(2011))

▼2話『もしも…ティ・チャラがスター・ロードになったら?』

 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の主人公がピーター・クイルではなく『ブラックパンサー』のティ・チャラだったら?という、もしもの世界を描いたエピソード。驚くべきはこの2作だけでなく『アベンジャーズ』シリーズの映画にも繋がりがあるので、実は密度の濃い作品となっています。小ネタも含めると、実はもっと多くの作品からも引用されています。

(引用元映画:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』(2017)、『ブラックパンサー』(2018)、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ エンドゲーム』(2019))

 

▼3話『もしも…世界が最強のヒーローたちを失ったら?』

 日本でもマーベル映画が大ヒットとなっていくきっかけとなった『アベンジャーズ』。そんな『アベンジャーズ』のメンバーが、次々に加入前に暗殺されていってしまうもしもの世界を描いたエピソード。意外な人物が犯人として登場するなど、多くの作品が下地になっています。

(引用元映画:『インクレディブル・ハルク』(2008)、『アイアンマン2』(2010)、『マイティ・ソー』(2011)、『アベンジャーズ』(2012)、『アントマン』(2015)、『キャプテン・マーベル』(2019))

▼4話『もしも…ドクター・ストレンジが手の代わりに恋人を失ったら?』

 『ホワット・イフ…?』の中でも比較的見やすいエピソードが、この4話。事故で両手を大怪我するはずのドクター・ストレンジが、腕ではなく恋人を失ったとしたらを描く作品です。『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』と直接的な関係はないものの、鑑賞前の予習・復習にこの回を観ておくと、双方の味わいも増すはずです。

(引用元映画:『ドクター・ストレンジ』(2017))

▼5話『もしも…ゾンビが出たら?』

 マーベル映画が急にゾンビものになったらどうなるのかを描いた仰天エピソード。
ただ単にヒーローがゾンビになってしまう様子を描くのではなく、その中でも何人かのヒーローたちが生き残り、どうにかして現状を打破しようと試みる様子が描かれるものとなっています。

(引用元映画:『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』(2016)、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018)、『アントマン&ワスプ』(2018))

▼6話『もしも…キル・モンガーがトニー・スタークを救ったら?』

 MCUの記念すべき第1作目にあたる『アイアンマン』のまさに一番最初のシーンに、10年後に公開された『ブラックパンサー』のヴィランとして登場したキル・モンガーが現れたらどうなるのかを描いたエピソード。両作を観ていれば、十分に楽しめる回です。

(引用元映画:『アイアンマン』(2008)、『ブラックパンサー』(2018))

▼7話『もしも…ソーがひとりっ子だったら?』

 ビターなエピソードが続く中、一転してパーティーピーポーとなったソーが地球にやってきたらどうなるかを描いたコメディ回。登場キャラクターも多く、ストーリーとシンクロするように賑やかな回です。

(引用元映画:『マイティ・ソー』(2011)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』(2017)、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)、『キャプテン・マーベル』(2019))

▼8話『もしも…ウルトロンが勝ったら?』

 『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』の勝敗がもしも覆ったらというバッドエンドから始まるもしものストーリーなのですが、この回は実質『ホワット・イフ...?』の1シーズン最終回の前編にもなっています。

(引用元映画:『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』(2014)、『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018))

▼9話『もしも…ウォッチャーが誓いを破ったら?』

 1シーズン最終回は『ホワット・イフ…』のこれまでのエピソードを踏まえた内容となっているため、満遍なく楽しむのであれば、全エピソードを観ておきたい重量回。その分、諸々を知っていると大興奮となる熱い回となっています。

 ただ、実は新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、現時点でお披露目されていないガモーラにスポットが当たったエピソードも踏まえた内容になっている曰く付きのエピソードでもあります。

(引用元映画:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)『ホワット・イフ…?』1話〜8話)

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◆『ホワット・イフ…?』第2シーズンの制作も発表済み!

 そしてこの『ホワット・イフ…?』にも、さらなる続編が制作されることが2021年末に発表されました

 まだ具体的な配信時期までは公式では発表されていないのですが、MCUはこのマルチバースの世界をこれからも描いていってくれるようです。

 それなりにMCUの本数が多くなってきた今、楽しむための敷居が高い印象を受ける人も多いでしょうが、観れば観るほど他の作品も楽しめるのがMCU。今やこのスケールで物語を楽しめる作品は他にないほどです。今、1からシリーズを追っていく場合、この『ホワット・イフ…?』をベースに作品を観ていくのもアリでしょう。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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