別に自分に子供がいるわけでもないのですが、これまでも映画シリーズを観続けていることから、2021年9月10日より上映をスタートした『おかあさんといっしょ  ヘンテコ世界からの脱出!』に、頼まれてもいないのに今回も足を運んできました。

 『おかあさんといっしょ  ヘンテコ世界からの脱出!』は言わずと知れたEテレの長寿番組『おかあさんといっしょ』の劇場版シリーズ最新作。2018年、2020年の公開を経て、今作が第3作目となります。作中では、歌や手遊び、体操コーナーなど、TVシリーズなどでもおなじみの内容が盛り込まれながら、スタジオ外での撮影やしっかりとストーリーが組まれていたり、意外なゲストが出演したりします。今年は同番組を卒業した小林よしひささんや横山だいすけさんが出演するのに加えて、あの小池徹平さんが出演しているのにも驚かされます。

 とはいえ、この映画は番組を観ている子供たちが基本対象となっている作品。

「大人が観ても面白いの?」と正直思われるかもしれないのですが、流石に大人がハラハラドキドキしたりできるような興奮はない一方で、実はこのシリーズで私が楽しみにしている要素があります。

 その要素とは『ガラピコぷ〜』の活躍です。

 この名前を聞いてピンと来ない人のために、そもそも『ガラピコぷ〜』ってなんだよって話から、映画シリーズだからこその見所が実は秘められていることを、普段「おかあさんといっしょ」を見ない人にこそお伝えしておきたいのです。

◆『ガラピコぷ〜』とは

 そもそも『ガラピコぷ〜』がわからない人に、本作がなんなのかを説明しておくと、TVシリーズの『おかあさんといっしょ』内の人形劇コーナーで、2016年に『ポコポッテイト』からバトンを引き継いでスタートしたシリーズです。

 物語の舞台は、地球から遠く離れた惑星しずく星。星の中心にある大きなホシノキの根元にあるムスービ村に住むハリケーンウサギの女の子・チョロミーと、村から離れたスヤスヤ森に住むオオカミの男の子ムームーが突如落ちてきた宇宙船を見つけます。中にはガラピコと名乗るロボットが居り、仲良くなった3人はそれ以来一緒に遊んでいくという内容となっています。

 ちなみにこの前提となる物語のあらすじは、OPアニメーションでも再現されており、このアニメーションを担当しているのが、映画『クレヨンしんちゃん』シリーズにも参加していることでもおなじみの久野遥子さんだったりと、一度は観ておきたい上質なアニメーションとなっています。

◆映画だけの特別な『ガラピコぷ〜』!

 そんな、『ガラピコぷ〜』は普段は人形劇として物語が繰り広げられるのですが、映画シリーズではいつもと違った見せ方で登場しています。その見せ方というのが、3DCGアニメーション! いつもは着ぐるみ姿でおにいさんやおねえさんたちと並んでいるのですが、映画に限っては、より小柄で可愛いデザインのアニメーションの状態で登場しているのです。

 そして、なんと言ってもこのアニメーション姿がとてつもなく可愛い!

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 着ぐるみの状態でも可愛いかったのですが、3DCGになって頭身も低くなり、表情も豊かに。着ぐるみだとどうしても人間的な体躯がベースになってしまうのですがアニメーションならその心配もなし。口を大きく開けたり、目を見開いたりといった細かい表現もできるようになり、元気なチョロミーはより活発に、穏やかなムームーはその優しさがより滲みでるようになり、ただでさえ可愛かった『ガラピコぷ〜』の面々がより可愛くなっています。

 中でも今回の映画では、チョロミーがおにいさんやおねえさんたちと共に異世界に飛ばされたりと、他の2人の仲間たちに比べて出番が多め。チョロミーの可愛さを存分に味わえます。

 ちなみに映画『おかあさんといっしょ』シリーズではエンドロールパートでスクリーンを撮影できるフォトセッションコーナーが恒例。『ガラピコぷ〜』の面々を撮影できるのですが、そんな写真待ちの姿を観るだけでもその可愛さの片鱗が味わえるのではないでしょうか。

<撮影/著者>

◆アニメの『ガラピコぷ〜』にも歴史あり

 3DCGアニメの『ガラピコぷ〜』にも実は歴史があり、一度デザインが変わっています。

 映画シリーズ第1弾『映画おかあさんといっしょ はじめての大冒険』では、実写パートとアニメーションパートが別れていて『ガラピコぷ〜』独自の中編アニメーションが展開されました。この時のデザインは現在のデザインよりも薄めの色味をしており、顔つきにも違いがありました。

https://youtu.be/zcEdrx6hiSw

 映画シリーズ第2弾『映画おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!』より、現在のデザインに変更が加えられ、キャラクターの表情や動きがより豊かなものとなりました。ぜひこの2バージョンの違いにも注目して欲しいのですが、やはりこれらの作品を観ると『ガラピコぷ〜』のキャラクターたちのアニメーション化のポテンシャルの高さに驚かされます。いつもが着ぐるみな分、アニメーションとして動き出すことの魅力がより際立っています。

 ぜひ今以上に人気を獲得して、もっとチョロミーやムームーたちがアニメーションの世界で動き回る世界を観てみたいところ。アニメ『ガラピコぷ〜』の出番を映画以外での拡大を制作陣の皆様に希望すると共に、一人でも多くの人にアニメーションの世界で活き活きと動き回るチョロミー、ムームー、ガラピコたちの姿を知ってもらえたら嬉しいです。

〈文・撮影(フォトセッション)/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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