◆復讐の道具にするためスレッタに行った教育

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 スレッタが第12話で見せた異常さ、これはプロスペラの“呪文”による強力な洗脳状態が原因だと考えられます。

 目の前でプロスペラの行った非人道的な行為に恐怖したスレッタ。しかし洗脳の呪文「逃げたら一つ、進めば二つ」を母から聞いただけで、ためらうことなく彼女はガンダムで生身の人間を叩き潰してしまいました。

 その直後、まるで幼い少女のような無邪気な姿を見せたスレッタには、一種の恐怖を感じた人も多かったはずです。

 スレッタの洗脳状態は、このエピソードだけでなく以前から垣間見えていました。

 彼女は「お母さんが言っていました」「お母さんに教わらなかったんですか?」というセリフを本編でよく言っていて、このことからスレッタにとってプロスペラは絶対的な存在となっていることが分かります。これも一種の洗脳状態だとも考えられます。

  優しい母としての一面もあったのかもしれませんが、幼い頃からスレッタを復讐の道具として利用することを考え、「母(プロスペラ)の考えは絶対正しい!」と信じ込むように洗脳教育してきたのでしょう。

 「強力なガンダムの完成と、その能力を最も引き出せる操縦者を育てる」こと。これがプロスペラが「Prologue」と本編第1話の間で行ってきた“復讐の準備”だと考えられます。

 水星で生活していた子どもを復讐のために犠牲にし、その犠牲から生まれたのがプロスペラが思い通りに動かせるコマとして洗脳教育を受けたスレッタ。そして、彼女の搭乗機のガンダム・エアリアルなのではないでしょうか。

 これはある種『機動戦士Ζガンダム』以降、『ガンダム』シリーズに登場した「強化人間」たちの境遇と似ています。

 プロスペラの復讐をともなう実験や、それによって生まれたスレッタからは、過去に放送された『ガンダム』シリーズの系譜のようなものを感じさせなくもありません。

 水星の子どもたちを犠牲にし、その犠牲から誕生した娘を道具として利用する彼女の非道さはまさに、“不気味な魔女”という言葉が似合います。そんなプロスペラの復讐計画の結末がどのようにして明かされるのかというのも第2クールの注目すべき点といえるでしょう。

〈文/織部樹 @itsuki_subcul

《織部樹》

平均3ヶ月に1度は仕事の関係で引っ越しを行う住所不安定ライター。夏は海辺、冬は雪山で過ごしつつ執筆を行なっている。好きなものはアニメと音楽と旅。好きな曲を流しながらのドライブと、全国各地のカフェ巡りやアニメの聖地巡礼が趣味。大手出版社のアウトドアメディアでも原稿を執筆中。

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