◆『ポニョ』は本当に死後の世界を描いているのか?完成までの紆余曲折
<画像引用元:https://www.ghibli.jp/works/ponyo/ © 2008 Studio Ghibli・NDHDMT>
『となりのトトロ』が死を描いた映画ではない一方で、実は逆に死を描いた宮崎駿監督の映画が、『崖の上のポニョ』です。
主人公の5歳の少年・宗介が金魚のような生き物・ポニョと出会ったことから、周囲一帯が天変地異に巻き込まれるという物語で、当時はテーマソングも大ヒットとなりました。
この映画は制作の過程で、ストーリーの制作に紆余曲折があったことをプロデューサーの鈴木敏夫氏が当時、語っていました。
ラジオ『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』の2017年11月12日放送回では、制作当時の宮崎駿監督が「かつて亡くなった母親に自身が死後に再会したら第一声は何だろう……」と考えていたことが話されています。
そんな母親をモデルにしたとされるのがトキであり、当初はあの世を思わせる世界が長尺で描かれようとしており、鈴木氏がストップをかけたそうです。
『崖の上のポニョ』は『となりのトトロ』のころのような「子どものために」という理念ばかりではなく、すでに年を経た自身の死後への意識が強く反映されかけた映画でもあり、その名残がにじみ出ているといえるでしょう。