◆実は未来のスポーツかも? そもそも“戦車道”ってなんだ?

 『ガルパン 最終章 』第4話を“体験して思うのは“戦車道”という架空の文化の面白さです。

 茶道や華道と同じような感覚で、戦車を用いて主に女性が競い合う競技として成立している“戦車道”──この概念は『ガルパン』という作品が独自で作り出したものですが、冷静に考えるとかなりファンタジーめいた設定です。

 飛び交う砲弾がうっかり生身の人間に当たったりしないのかな? とか、戦車が結構な頻度で飛んだり跳ねたりしてるけど身体への負担はないのかな? とか現実的なことを考えると心配は尽きません。

 アニメーションの中の世界だからこそ、作品のテイストとして悲惨なことにはならないという安全性を感じながら、スポーツのように戦車同士の撃ち合いを楽しむことができるわけです。『ガルパン』を初めて見たという人にはそのあたりの実際の戦車とのギャップに戸惑うこともあるかもしれません。

 ただ、『ガルパン』の世界では戦車は“兵器”というより“競技の道具”になっているところが、ある種平和的にも映ります。

 たとえば、今では一つの競技として成立している剣道も元々は剣術という武術が先行して存在していたわけです。戦闘のために用いられてきたものが時代を経て“競技”となる前例があることを考えると、かつて日本人が帯刀していたものを手放していったように、現在兵器として使われている戦車も戦いの道具から、競技の道具に立ちかわる可能性もゼロではありません。

 いつの日か“戦車道”が本当に成立する未来が来たとしたら、今よりもいくらか平和になっているか、もしくはその遥か上をいく兵器が生まれている世界となっているでしょう『ガルパン』はそんな、もしかしたらの将来も想像させてくれる作品なのです。

〈文/ネジムラ89〉

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《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『EMOTION Label Channel』より


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