小説や漫画の創作者は、キャラクターの個性を際立たせるために、ありとあらゆる工夫を凝らします。
外見、目的、特技、趣味、喋り方などなどに分かりやすい特徴を持たせ、それをお話の中で発揮させていくことで、魅力的なキャラの数々が生まれていくのです。
そんな中、キャラに親近感を持たせるにあたって、最も便利な手法がありまして……。
「残念系」とは?
キーワードは「残念」。
残念な特徴を際立たせたキャラクターは、視聴者との距離を一足飛びで詰めていくポテンシャルを持っているのです。元祖は『ドラえもん』の野比のび太くんでしょうか。
最近では『えんどろ~!』のマオちゃん先生、『私に天使が舞い降りた!』のみゃー姉や小依ちゃんがズバリ残念系でした。残念な言動にツッコむ面白さはモチロン、「親近感」「かわいらしさ」「守ってあげたくなる感」が生まれるなどの良いことづくし。
この属性はもはや定番と化しており、「熱血」や「ツンデレ」等に並ぶ漫画・アニメキャラの一大カテゴリーに指定しても良いのではないでしょうか。
何を隠そう今季アニメでも、珠玉の残念キャラが大暴れ中ですから。
そう、本庄アルちゃん!
『ひとりぼっちの○○生活』に登場するメインキャラの一人、本庄アルちゃん。第5話「アルアルあるある」では、中学校指定の鞄と間違えてランドセルで登校する残念っぷりを発揮。その翌日には全身フル装備の小学生スタイルで登校してしまうなど、とにかく残念な子です。
自分では「完璧な副委員長」と自称しているのもまた残念。「残念」の二文字を使わずして彼女の紹介は不可能でしょう。
こちらもアニメ化された同作者の作品『三ツ星カラーズ』の三人組もぶっとんでましたが、『○○生活』も観ると「この世界観の小学生たちが中学に上がったら、こんな感じになるのか……」と妄想が膨らみます。
シリーズ構成・脚本が『ラブライブ!』でお馴染みの花田十輝さんという点もいいですね。安心して視聴できます。
「残念ポイント」を探す楽しみ
視聴者に親しみやすさを与える「残念系」ですが、アルちゃんのように際立った残念キャラの専売特許というわけではなく、周囲のキャラにも内包されていることが多いです。
主人公・一里ぼっちの個性はストレートに残念系ですが、普通にしてるのに周囲を怖がらせる砂尾なこ、忍者の実在を信じて疑わない金髪美少女ソトカ・ラキターの特徴も、ある意味で残念系に属するものです。
所々に「残念ポイント」を配置し、ストーリーの中で魅せることで、キャラクターを身近な存在として感じるように工夫されています。アニメを視聴していて「おっ、残念ポイントだ! 親近感を持たせにきたな!」と分析できる場面も多々あったり。
シリアスな世界観にはそぐわないことも多い「残念系」ですが、日常アニメにはもはや定番。日常系作品がお好きな方は、独自に研究してみると面白いかもしれません。
(Edit&Text/ヒダマル)
◆Check!!