悪逆非道の盗賊団と思われていた「幻影旅団」でしたが、話が進むにつれて“悪者”と一括りにできない存在だと分かってきて『週刊少年ジャンプ』2022年51、52号、2023年1号では幻影旅団が結成されたいきさつも描かれました。
結成当初の目的は、故郷の流星街で悲しい事件を起こさないことだと考えられますが、それは現在も変わっていないのでしょうか? これまでの軌跡を踏まえて今後の展開を考察してみます。
◆ヨークシンシティでの大暴れは「仲間への弔い」
<画像引用元:YouTubeチャンネル『ジャンプチャンネル』より ©P98-21 ©V・N・M>
残虐かつ非情な集団のように見える幻影旅団ですが、実は作中で彼らなりの仲間意識などを感じさせるシーンがたびたび描かれています。それが、顕著に見られたのがヨークシンシティ編のエピソードです。
幻影旅団がヨークシンシティに集まったのは、マフィアンコミュニティが取り仕切る「地下競売」を狙うためでした。普段はバラバラに散っているメンバーが一同に介した大仕事。会場で参加者を虐殺し、追っ手までも返り討ちにします。
そんななかで、旅団きっての武闘派・ウボォーギンがクラピカに殺されてしまいます。
ウボォーギンの殺した相手を軽んじるような発言といい、戦闘狂のような態度といい、やはり主人公サイドであるクラピカのクルタ族を意味もなく襲った“悪者”のように見えました。
ウボォーギンの死は誰にも知らされませんでしたが、団長のクロロ・ルシルフルは、ネオン・ノストラードの「占い」によって彼が死んだと確証を得て涙を流します。そして、ウボォーギンが一番やりたかったこと……「大暴れ」を実行すべく、オークション会場や近隣で大殺戮を繰り広げて彼を弔うのです。
また、クロロがクラピカに捕まったときも、クロロを助けるか、旅団の存在を守るか団員たちの中で意見が割れました。クラピカも、仲間を助けるために一人でやって来たパクノダを前に、ずっと憎んでいた幻影旅団へのイメージとの違いに悩まされたようです。
仲間の死を悼んで団長が涙を流し、手段はどうであれ弔いを行なう団員たち。そして団長を取るか、旅団を取るかの意見の食い違い……。悪逆非道と思われた幻影旅団にも、彼らなりの仲間意識や主義・主張があると感じられるエピソードでした。